夜は焼鳥、昼はラーメン。小さく始める5つの方法

二毛作・店舗活用

先日、焼鳥店を営む経営者の方からこんな相談をいただきました。

「昼にラーメンを始めたいとは思っているんですが、仕込みが夜と被りそうで踏み出せないんです。うちは夕方から仕込みを始めるので、昼営業と時間が重なるのが怖くて」

焼鳥店は夜が本番です。串の仕込み、タレの管理、炭の準備——夕方からの仕込みが翌日の品質を決めます。だからこそ、昼にラーメンを始めることで「そこが崩れるのでは」という不安は、むしろ経営者として真っ当な感覚だと思います。

私自身、2009年から「侍ホルモン清水駅前店」を営みながら、昼に家系ラーメン「山道家」を始めました。夜の焼肉・ホルモン店と昼のラーメン営業を同じ厨房・同じスタッフで回す経験の中で、どうすれば夜に影響を出さずに昼を成立させられるか、数字を見ながら調整を重ねてきました。この記事では、その実績をもとに「小さく始める5つの方法」をお伝えします。

こんな方におすすめ

  • ✅ 焼鳥店・酒場を営んでいて、昼間の厨房や客席が空いている方
  • ✅ ランチ営業を始めたいが、夜の仕込みへの影響が心配な方
  • ✅ 新たなスタッフを採用せず、現在の人数で昼営業を回したい方
  • ✅ フランチャイズではなく、自店の屋号のまま新しい収益源を作りたい方
  • ✅ 5席・3時間という小規模から試してみたい方
夜は焼鳥、昼はラーメン。小さく始める5つの方法 | 山道家二毛作モデル

「夜に影響が出る」という不安の正体

昼営業が夜に影響する、という不安の多くは「時間の重なり」よりも「動線が整理されていないこと」から来ています。

焼鳥店の仕込みが16時スタートだとすれば、14時に昼営業を終えて、15時には厨房の片付けが終わります。時間の余裕は理論上あります。それでも不安が残るのは、「昼営業を終えてから夜の仕込みに入るまでの動線」が頭の中で描けていないためです。

実際、私が山道家を始めた当初に一番悩んだのも、ここでした。昼の片付けを何時までに終わらせれば夜の仕込みが間に合うか。休憩をどのタイミングに置けばスタッフが無理なく動けるか。こうした動線の設計が先に決まっていれば、不安のほとんどは解消されます。

逆に言うと、動線を決めずに「なんとなく昼営業を始める」ことが、夜への影響を生み出す最大の原因です。

小さく始める5つの方法

① 「10時準備・11〜14時営業・14時半片付け完了」のタイムラインを先に設計する

最初にやるべきことは、昼営業の終わり時間から逆算することです。

14時に昼営業を終えて、30分で片付けを終わらせる。14時半には厨房が夜仕込みの状態に戻っている——この順番で考えると、昼に何をどこまでやれるかが自然と決まります。

10時に仕込みを始めれば、1時間で準備を終えて11時に開店できます。家系ラーメンの場合、業務用スープを使う方式であれば、店炊きのように数時間前から火を入れ続ける必要がありません。スープの温度管理・タレの準備・麺の確認といった工程が30〜60分で収まるため、10時スタートは現実的な選択です。

焼鳥店が夕方16〜17時から仕込みを始めるなら、14時半に昼の片付けが終わっていれば1〜2時間の余裕が生まれます。この余裕が、スタッフの休憩時間にもなります。

② 洗い物・仕込みの「優先順位」を昼と夜で分ける

昼営業終了後に厨房が混乱する原因の一つは、昼の片付けと夜の仕込みが同時進行になることです。

「昼の麺釜を洗いながら、夜の串を仕込んでいる」という状態は、どちらも中途半端になりやすい。順番を決めることが重要です。

具体的には、14時営業終了→ラーメン器具の洗浄・片付け→厨房リセット→休憩→16時から夜仕込み開始、という流れを明文化します。「次に何をするか」が決まっていれば、スタッフの動きも迷いません。

焼鳥店は夜のタレ管理・串の本数・炭の準備など、仕込みに独自のリズムがあります。その夜のリズムを壊さないために、昼営業の片付けを「一段落」として切り分けることがポイントです。

③ カウンター席だけで始め、席数を「増やさない」ことを前提にする

山道家の実証店舗はカウンター5席で運営しています。月間客数は250〜350名、月商は25万〜33万円。これを2名・3時間で実現しています。

焼鳥店のカウンター席は、夜は常連客の指定席になりがちです。昼間は使われていないことがほとんどで、その5〜8席を昼ラーメンに充てることは、設備的には最もハードルが低い選択です。

「席数を増やさない」ことは、仕込み量・洗い物の量・客席回転の管理をシンプルに保つためにも有効です。満席にできなくても、少ない席を確実に回す方が、夜営業への影響を最小化しながら収益を積み上げられます。焼肉店の昼ラーメンで利益を残す5つの方法でも触れていますが、席数よりも「回転数と客単価の掛け算」で考える方が実態に合っています。

④ スープの仕込みを「昼だけのために長時間かけない」設計にする

焼鳥店が昼だけのために豚骨を何時間も炊くことは、現実的ではありません。仕込みの時間・ガスコスト・においの管理——どれをとっても、夜営業への影響が避けられない。

山道家では、長時間店内で豚骨やガラを炊き続ける方式は採用していません。その代わり、スープだけでなく、タレ・鶏油・麺・チャーシュー・提供方法の全体を調整することで、本格的という評価を得ています。「スープを炊くこと」を価値の中心に置かず、「完成した一杯の満足度」を軸に設計するという考え方です。

これは焼鳥店にとって特に相性がいい。夜の仕込みに集中するために、昼の準備を合理的に設計できるからです。

⑤ 最初の1ヶ月は「データを取ること」だけを目標にする

昼営業を始めた最初の1ヶ月は、売上よりも「動線の確認」を優先することをすすめています。

何時に仕込みを終えられたか。片付けに何分かかったか。夜の仕込みを始める前に何分の余裕があったか。スタッフが無理なく動けたか——これを記録することで、「夜への影響が出るポイント」が具体的に見えてきます。

問題が見つかれば、翌週に動線を一つ変える。それだけです。一度に全部を完成させようとしないこと。小さく始めて改善する、という順番が、夜の品質を守りながら昼を育てる最も確実な方法です。

✓ ここまでのポイント

  • 「夜への影響」は時間の重なりより「動線が未整備」なことが原因。終わり時間から逆算して設計すること。
  • カウンター席・少人数・3時間の小規模から始め、仕込み量・洗い物量をコントロールする。
  • スープを長時間炊かない設計にすることで、夜仕込みとの衝突を避けながら本格的な一杯を成立させられる。

動線を先に設計する重要性は分かった、でも「自分の店の厨房でどう組むか」がまだ見えない——そこが一番の詰まりどころだと思います。山道家モデルの説明会では、店舗ごとのオペレーション設計の考え方と、導入の流れを具体的に確認できます。

山道家モデルの説明会・導入の流れを確認する

実際のお客様はどう評価しているか

山道家の実証店舗に来てくださったお客様からは、こんな声をいただいています。

「真面目に家系をやっていると思わせる一杯」

実証店舗ご来店のお客様

「間違いなく正統派の家系ラーメン」

実証店舗ご来店のお客様

この評価は、長時間スープを炊いているからではありません。タレ・鶏油・麺・チャーシュー・提供方法を含めた全体のバランスを、実際の営業の中で繰り返し調整してきた結果です。

焼鳥店が昼にラーメンを始めるとき、「本格的かどうか」を心配する方は多い。ただ、正直に言えば、本格かどうかを最終的に判断するのはお客様です。店炊きかどうかではなく、「また来たい」と思ってもらえる一杯かどうかが問われます。

夜は居酒屋、昼はラーメン。二毛作経営の7つのコツでも書いていますが、二毛作で大切なのは「昼だけで完結する仕組み」を作ること。夜の業態に影響を与えず、昼に独立した利益を生み出す設計が整えば、焼鳥店の昼時間は新しい収益源に変わります。

焼鳥店の昼ラーメンを「小さく」始めることの意味

「小さく始める」というのは、妥協することではありません。夜の品質を守りながら昼を成立させるための、現実的な順番です。

5席・3時間・2名——この規模は、焼鳥店のカウンター席と既存スタッフで再現できる数字です。月商25万〜33万円という実績は、この規模でも新しい利益が生まれることを示しています。夜営業の売上に上乗せできる利益源を、新たな物件を借りることなく作れる。それが二毛作の持つ可能性です。

ラーメンを導入することが目的ではなく、利益を生み出すことが目的です。そのために「今ある店舗を活かす」という発想が、焼鳥店には特に合っていると感じています。

動線の設計に不安がある方は、夜は焼肉、昼はラーメン。導入までの6ステップも参考にしてみてください。業態は異なりますが、仕込み・片付け・夜仕込みへの移行という流れは共通しています。

まとめ:夜の焼鳥を守るために、昼の動線を先に設計する

焼鳥店が昼にラーメンを始めるとき、最も守らなければいけないのは夜の仕込みのリズムです。そのために必要なのは、昼営業の「終わり方」を先に決めること。

10時準備・11〜14時営業・14時半片付け完了・休憩・16時から夜仕込み——この流れを先に設計してから昼営業を始めれば、夜への影響を最小化しながら新しい利益源を作れます。

カウンター席だけ・2名・3時間という小さな規模から始め、最初の1ヶ月はデータを取ることを目標にする。完成した仕組みを一気に導入しようとするより、この順番の方が夜の品質を守りながら昼を育てられます。

山道家モデルについて、もう少し具体的に話を聞いてみたいという方は、お電話でも受け付けています。
054-363-2766(静岡市清水区・山道家二毛作モデル)

昼の動線を整えて夜の仕込みを守る、その具体的な組み方は記事では書ききれない部分があります。オリジナルプランとブランドプランの違い、仕入先・研修・オペレーション設計のサポート内容は、説明会のページで確認できます。

山道家モデルの詳細・説明会申込みはこちらから確認する

コメント