空き時間をラーメン営業に変える店主の本音

開発ストーリー・店主の想い

少し前のことになりますが、関西から連絡をくれた居酒屋の店主さんにこんなことを言われました。

「鈴木さん、正直に教えてください。昼にラーメンやりたいんですけど、豚骨スープって毎日炊くんですか?朝から何時間もかけてたら、夜の仕込みが全部崩れる気がして…」

この質問、すごくリアルだと思いました。ラーメンをやってみたいけど、スープを炊く工程がネックになって踏み出せない。その気持ちは、私自身が通ってきた道でもあります。今日はそのあたりを、少し赤裸々にお話しようと思います。

こんな方におすすめ

  • ✅ 夜の焼肉・居酒屋営業が中心で、昼の厨房が空いている方
  • ✅ ラーメンを始めたいが、長時間スープを炊く時間が取れないと悩んでいる方
  • ✅ 新しい利益源を作りたいが、夜営業の仕込みに影響させたくない方
  • ✅ 「本格的」と言ってもらえるラーメンを、小さな規模から始めたい方
  • ✅ フランチャイズ以外の選択肢で、ラーメン営業を検討している方
空き時間をラーメン営業に変える店主の本音 | 山道家二毛作モデル

私がスープを炊くことをやめた理由

私は2009年に「侍ホルモン清水駅前店」を静岡市清水区で開業しました。それから十数年、夜の焼肉・ホルモン営業一本でやってきました。

昼間の店舗は、ずっと空いていました。席も、厨房も、光熱費の基本料金も、毎日発生しているのに、昼は何も生んでいない。この感覚が、ずっと頭の片隅にあったんです。

家系ラーメンが好きで、横浜の吉村家をはじめ、関東のいろんな家系店を食べ歩いてきた経緯もあって、「昼に家系ラーメンをやってみよう」という気持ちは自然と生まれてきました。

ただ、すぐに壁にぶつかりました。家系ラーメンといえば、豚骨を何時間も炊き続けるスープが代名詞です。でも現実問題として、昼の3時間だけのために、朝から大量の豚骨を炊き始めたら何が起きるか。夜の仕込みが始まる前にスタッフは疲弊しているし、厨房の匂いや熱は環境を変えてしまう。火を使い続けることによる光熱費の増加も無視できません。

「それが家系というものだから仕方ない」と思う前に、一度立ち止まりました。私がやりたいのは、豚骨を炊き続けることではなく、お客様に満足してもらえる一杯を出すことだ、と。

「本格的」の正体は、スープの炊き方ではなかった

そこから始めたのが、要素の分解です。家系ラーメンの一杯を構成しているものを一つずつ拾い出していきました。

スープ、タレ、鶏油、麺、チャーシュー、のり、ほうれん草、提供の仕方。これだけの要素が合わさって、初めてあの一杯になる。

だとすれば、スープについては業務用のものを活用しながら、それ以外の要素を自分で丁寧に設計すれば、完成した一杯の満足度を高めることができるはずだ——そういう仮説を立てて、実際に営業しながら検証を重ねました。

タレは何度も配合を変えました。鶏油も、市販のものをそのまま使うのではなく、風味の出方を確認しながら調整しています。麺は家系らしいコシと太さのものを選び、チャーシューは自前で仕込みました。提供の際の温度管理や、スープとタレを合わせる比率も、お客様の反応を見ながら少しずつ修正してきました。

そうして実際に提供し始めたとき、お客様から返ってきた言葉が「本格的な家系ラーメン」でした。

「本格的な家系ラーメン」

実証店舗ご来店のお客様

この言葉が、私の仮説が間違っていなかったことを教えてくれました。お客様が「本格的」と感じるかどうかを決めるのは、スープを何時間炊いたかという工程ではなく、テーブルに運ばれてきた一杯の完成度だということです。

✓ ここまでのポイント

  • 昼営業のためだけに長時間スープを炊くと、夜営業の仕込みや労働時間を圧迫する
  • 家系ラーメンの「本格感」はスープの炊き方だけで決まるのではなく、タレ・鶏油・麺・チャーシュー・提供方法の総合バランスで生まれる
  • 業務用スープを活用しながら、他の要素を丁寧に設計することで、お客様から「本格的」という評価を得ることは現実的に可能

タレ・鶏油・チャーシューまで設計し直すとなると、「何をどこから仕入れればいいか」という部分で手が止まる方が多いです。山道家モデルの詳細ページでは、レシピと仕入先紹介・開業研修までの流れをまとめて確認できます。

山道家モデルの仕入先紹介・開業研修の詳細を見る

夜営業を守りながら昼営業を成立させる設計

現在、山道家はカウンター5席、11時から14時の3時間営業、基本2名体制で動いています。月の客数はおよそ250〜350名、月商は25万〜33万円ほどです(営業日数や季節によって変動します)。

この規模感を最初から意図して設計したのには理由があります。夜の焼肉営業に影響を与えないことが、何より大切だったからです。

昼営業の仕込みは、夜の仕込みが始まる前に完結できる量に留める。スタッフの動線も、昼と夜で役割が交差しすぎないよう考える。「小さく始める」というのは妥協ではなく、夜の本業を守るための意図的な選択です。

実際、長時間スープを炊くことをしていないからこそ、昼の仕込みが夜の準備を圧迫することがありません。これは、夜営業中心の店舗が昼を始めるうえで、思った以上に大きなメリットでした。

昼3時間の営業にこだわった理由については、別の記事でも詳しく書いていますので、興味がある方はあわせて読んでみてください。

「スープを炊けない」は、始められない理由にはならない

先ほどの関西の店主さんに、私はこう答えました。

「毎日豚骨を炊く必要はありませんよ。でも、それ以外の部分を手を抜かないでほしい。タレも、鶏油も、チャーシューも、全部が揃って初めて一杯になる。そこだけは妥協しないでください」

業務用スープを活用すること自体は、飲食業界では珍しいことではありません。問題は、スープ以外の設計をどこまで丁寧にやれるか、です。そこを曖昧にしたまま始めると、「なんとなくラーメンっぽいもの」で終わってしまいます。

私がこれまで改善を重ねてきたのは、「本格的」と感じてもらえる一杯のために必要な要素が何で、それぞれどうあるべきかという部分です。家系ラーメン開業の準備から営業までの流れを整理した記事もありますので、具体的な手順を知りたい方は参考にしてみてください。

また、二毛作を始めてから気づいたこととして、人員配置の設計も思った以上に重要なポイントでした。少人数で昼と夜の両方を回すには、誰がいつ何をするかを事前に決めておくことが欠かせません。

まとめ:空き時間は、設計次第で利益になる

「昼営業のために豚骨を炊く時間はない」——この悩みは、ラーメンを始めることを諦める理由にはなりません。むしろ、その制約があるからこそ、スープ以外の要素をどう設計するかという問いが生まれ、結果として無駄のない仕組みが作れました。

ラーメンを始めることが目的ではなく、今ある店舗の空き時間を利益に変えることが目的です。その手段として家系ラーメンが機能するかどうかは、スープを炊けるかどうかではなく、一杯の完成度を作れるかどうかにかかっています。

5席から始めた私の経験が、同じ悩みを持つ店主さんの参考になれば幸いです。個別のご相談はお電話でも受け付けています。054-363-2766までお気軽にどうぞ。

「夜営業を守りながら昼の3時間を利益に変える」という設計を、自分の店舗でどう動かすか——その具体的なステップと説明会の日程は、以下のページから確認できます。一律の正解を押しつけるのではなく、あなたのお店の状況に合わせた話ができる場です。

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