先日、居酒屋を経営されている店主からこんな相談をいただきました。「昼営業を始めたいのですが、誰を何時に来させればいいか、まったく見当がつかないんです」という内容でした。メニューを何にするかよりも先に、人の動かし方で詰まってしまっている。これ、実は非常によくあるパターンです。
山道家の実証店舗でも、最初から人員配置がうまくいっていたわけではありません。夜営業のスタッフをそのまま昼に引っ張ってきて、疲弊させてしまったこともあります。試行錯誤の末にたどり着いた「11:00〜14:00・基本2名」という形は、最初から設計されたものではなく、現場で削り出したものです。
この記事では、二毛作営業における人員配置の失敗パターンと、現実に機能している考え方を具体的なケースで紹介します。
こんな方におすすめ
- ✅ 夜営業のスタッフをそのまま昼に使おうとして行き詰まっている方
- ✅ 昼だけのために新規スタッフを採用するのが難しいと感じている方
- ✅ 二毛作営業の具体的なシフト設計の考え方を知りたい方
- ✅ 少人数で回せる昼業態を探している飲食店オーナー
- ✅ 夜の仕込みに影響させずに昼営業を始めたい方

「夜のスタッフを昼に回せばいい」という発想が最初の罠
相談を受けた居酒屋オーナーのケースでは、夜22時まで働くホールスタッフを翌日11時から昼営業に入れる計画を立てていました。表面上は人件費の追加ゼロで昼営業ができる、という計算です。ところが現実はそう簡単ではありませんでした。
夜遅くまで働いた翌朝、11時に元気よく動けるスタッフは多くありません。パフォーマンスが落ちた状態で昼営業に入ると、接客の質が落ち、回転も遅くなる。結果として「昼は儲からない」という結論を早々に出してしまうことになります。
もうひとつよくあるのが、昼と夜を同じ1人に担わせるケースです。昼の仕込み・営業・片付けをこなした後に、夜の準備に入らせる。これは人を潰す設計で、長続きしません。二毛作は「一人の人間を二倍働かせる仕組み」ではなく、「空いている時間帯を別のチームが使う仕組み」です。ここを混同すると必ず失敗します。
実際に機能しているのはどんな体制か——11:00〜14:00・2名の現実
山道家の実証店舗では現在、11時開店・14時閉店の3時間営業を基本2名体制で回しています。カウンター5席という小さな規模ですが、この枠組みが成立している背景には、明確な役割分担があります。
1名がラーメンの提供に集中し、もう1名がホール・会計・補充を担う。これだけです。仕込みは開店前の1時間以内に終わるよう設計しており、10時過ぎに入れば十分間に合います。夜のオープンは17時前後が多いため、14時に昼営業を終えてもスタッフには3時間近い余裕があります。これが、夜の体制を崩さずに昼営業を入れられる理由です。
「ラーメン営業は仕込みが大変では」と思われる方も多いのですが、スープ仕込みの時短にこだわった設計をすることで、昼だけのために早朝から厨房に立つ必要はありません。仕込みの負荷を下げることが、人員配置の柔軟性に直結しているのです。
2名という人数も、最初から「これで十分」と決まっていたわけではありません。3名体制で試した時期もありましたが、5席という規模では動線が交錯して却って効率が落ちました。小さい箱には小さい体制が合う。当たり前のことですが、実際に試してみないと見えてこない感覚です。
✓ ここまでのポイント
- 夜スタッフをそのまま昼に転用する計画は、疲弊とパフォーマンス低下を招きやすい
- 二毛作は「空いている時間帯を別チームが使う」設計が基本であり、一人に昼夜を掛け持ちさせる設計は長続きしない
- 仕込みの負荷を下げることで、昼専属の小さなチームが成立しやすくなる
「11:00〜14:00・2名体制」の設計がどうやって成立しているのか、もう少し具体的に知りたいと感じているはずです。説明会では、オペレーション設計・仕入先・研修内容を含めた山道家モデルの全体像を確認できます。読んだだけで終わらせず、自店に当てはめて考える場として使ってもらえます。
「昼だけ入れるパート」という選択肢を軽視しないこと
あるホルモン焼肉店のオーナーから聞いた話です。昼営業を始めようとしたとき、「夜のスタッフに頼むのは申し訳ない」と感じて躊躇していたそうです。ところが実際に昼専用でパートを1名入れてみると、その人が非常に安定して働いてくれた。夕方以降は別の予定がある、という方にとって、昼の3時間はむしろ働きやすい時間帯だったのです。
10時半〜14時半のシフトで、実働は4時間程度。昼ピークが終われば清掃して終了です。夜の居酒屋営業を知らないパートのほうが、昼営業のルーティンをシンプルに覚えてくれるという側面もあります。
もちろん、採用コストや教育の手間は発生します。しかし人手不足の時代に複雑な業態を導入することのリスクと比較すれば、シンプルなオペレーションに絞ることで採用のハードルは下がります。「少人数で回せる設計であること」が、人員確保のしやすさにも影響するのです。
「真面目に家系をやっていると思わせる一杯」
実証店舗ご来店のお客様
この評価は、2名という体制で提供している一杯に対していただいたものです。人数が少ないから手を抜いているわけではなく、少人数だからこそ提供に集中できるという面もあります。
「11:00〜14:00」という時間設定に込めた意味
山道家の実証店舗が11時開店・14時閉店に落ち着いている理由は、単純に「昼のピーク時間を挟んでいるから」だけではありません。この時間設定が、夜の仕込みスケジュールと干渉しない最大の理由でもあります。
14時に閉めると、厨房は14時半前後には空きます。夜の仕込みを本格的に始めるのが15時〜16時だとすれば、間に1〜2時間のバッファがある。この緩衝地帯が、昼と夜を同じ厨房で運営するときの精神的な余裕を生みます。
逆に15時閉店にしてしまうと、後片付けと夜仕込みが重なり始め、スタッフも厨房も慌ただしくなります。「14時に終わる」という設計は、昼営業を小さく収めるためだけでなく、夜営業を守るための線引きでもあります。
この「夜営業を壊さない昼営業の設計」という考え方は、既存店舗を活かすことへのこだわりと根っこでつながっています。新しく何かを増やすのではなく、今あるものを守りながら上乗せする。この順番を間違えると、昼を増やして夜が崩れるという本末転倒になります。
まとめ——人員配置の失敗は、設計の問題であって根性の問題ではない
二毛作営業の人員配置で失敗する多くのケースは、「誰かに無理をさせて乗り切ろう」という方向に向かっています。それは根性でカバーできる範囲を超えていることがほとんどで、早晩疲弊します。
山道家の実証店舗が「11:00〜14:00・基本2名」にたどり着いたのも、最初からその答えがあったのではなく、現場で何度も調整した結果です。小さく始めて、動かしながら直す。この繰り返しが唯一の正解に近づく方法だと思っています。
人員配置に「こうすれば必ずうまくいく」という万能な答えはありません。ただ、設計の方向性は明確にできます。夜の体制を壊さない時間設定、シンプルなオペレーション、昼専属チームという発想。この3点を起点に考えると、整理しやすくなります。
個別の状況についてのご相談は、お電話でも受け付けています。
電話: 054-363-2766
夜の体制を壊さない時間設定・シンプルなオペレーション・昼専属チームという3つの軸で考え始めたなら、次は自店の規模と状況に合わせた具体的な組み立て方が必要です。山道家モデルの説明会では、導入前の個別相談にも対応しています。加盟金もロイヤリティも発生しない仕組みの全体像を、一度確認してみてください。


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