「売上は悪くない。でも、なぜか利益が残らない。」
そう感じながら月末の帳簿を眺めたことは、一度や二度ではないはずです。私にもそういう時期がありました。2009年に清水駅前で焼肉・ホルモン店を始めて、夜の営業をコツコツ積み上げてきた。客席は埋まっている。売上の数字も悪くない。なのに、原材料費・人件費・光熱費を引いたあとに残るものが、思ったより薄い。
そのとき私が最初にやったのは、「もっとお客さんを呼ぼう」という話ではありませんでした。代わりに手元の紙にこんな計算を書きました。「この店は一日のうち何時間、実際に売上を生んでいるか」と。
それが、私が客数を増やす前に店舗稼働率を見るようになったきっかけです。
こんな方におすすめ
- ✅ 夜営業だけで経営しており、売上はあるのに利益が薄いと感じている方
- ✅ 昼間の店舗・厨房・客席が空いていることを「もったいない」と思っている方
- ✅ 客数を増やす以外の利益改善の方法を具体的に知りたい方
- ✅ 新規出店や大きな設備投資をせずに収益源を増やしたい方
- ✅ 飲食店の「二毛作」という考え方に興味がある方

「稼働率」を計算してみて、初めて気づいたこと
私の焼肉・ホルモン店は、営業時間が夕方から深夜にかけてです。仮に一日24時間のうち、実際に売上が発生しているのが6時間だとすると、稼働率は25%です。残りの18時間、厨房も客席もカウンターも、ぜんぶ黙って家賃を消費している。
もちろん仕込みや清掃の時間もあります。でも率直に言えば、昼の時間帯は「何も生まない時間」になっていた。家賃は毎日発生する固定費です。光熱費も基本料金がある。それを夜だけの売上で回収しようとすると、一杯の利益に過大な負担がかかっている状態になります。
客数を増やす前に稼働率を見るべき理由は、ここにあります。客数を10%増やすより、今ゼロの時間帯に何か一つでも売上を作るほうが、構造的にはるかに効率がいい。客数増は集客コストも発生しますが、遊休時間の活用は、すでに払い続けているコストの中でやれることだからです。
この「飲食店の売上アップは客数を増やすだけで実現できるのか」という問いは、私が実店舗を運営しながら何度も繰り返し考えてきたテーマでもあります。
昼間の「空白」を直視するまでの経緯
とはいえ、すぐに行動に移せたわけではありません。「昼に何かやろう」と思っても、何を売ればいいか分からない。ランチの定食をやってみるか。でも仕込みが増えれば夜の準備に影響する。新しいスタッフを入れる余裕もない。そうこうしているうちに、昼の時間帯はまた何もしないまま過ぎていく。
転機になったのは、私自身が家系ラーメンをよく食べ歩いていたことです。横浜の吉村家をはじめ、あちこちの家系ラーメン店に足を運んでいました。食べながらいつも考えていたのは、「この一杯、自分の店でできないか」ということ。
ただ、一つ大きな壁がありました。一般的に家系ラーメンといえば、長時間豚骨を炊くイメージがある。昼の3時間だけのために、何時間もかけてスープを仕込む。それは現実的ではないし、夜の仕込みに影響が出てしまう。「炊く」ことを前提にしたまま考えていたら、踏み出せなかったと思います。
だから私は発想を変えました。「炊く」ことを価値の中心に置くのをやめ、完成した一杯のクオリティを中心に置く。スープだけでなく、タレ・鶏油・麺・チャーシュー・提供の仕方、全部を総合的に設計すれば、本格的な満足感は作れるはずだと。
実際に営業してみて分かった「5席・3時間」の可能性
試行錯誤を経て、2023年に「横浜家系ラーメン山道家」の昼営業を始めました。場所は同じ店舗。夜に使っていないカウンター5席を使い、11時から14時の3時間だけ。スタッフは基本2名。
最初は正直、5席で何になるんだろうという気持ちもありました。でも実際に数字が積み上がってくると、見方が変わりました。
現在の実証店舗の運営実績をそのまま書きます。客単価は約950円、月間の客数は約250〜350名、月商はおおよそ25万〜33万円。これは営業日数や季節によって変動しますが、カウンター5席・3時間・基本2名という体制の中で出ている数字です。
この数字で何が言いたいかというと、「5席だけでも収益は生まれる」ということです。新しい物件を借りていない。大きな設備投資もしていない。今ある店舗の、今まで何も生んでいなかった時間帯が、毎月25万〜33万円の売上を作り始めた。
お客さんの反応も、想像以上でした。
「真面目に家系をやっていると思わせる一杯」
実証店舗のご来店客
「間違いなく正統派の家系ラーメン」
実証店舗のご来店客
「炊かないと本格的にならない」という思い込みは、実際には私の中にある先入観だったのかもしれません。完成した一杯として何を提供できるかを突き詰めた結果が、こういう評価につながりました。
✓ ここまでのポイント
- 夜営業だけでは利益が薄い本質的な原因は、昼間の遊休時間・設備・客席に家賃だけ払い続けている構造にある
- 客数を増やすより、今ゼロの時間帯に一つでも売上を作るほうが構造的に効率がよい
- 5席・3時間・2名という小規模な体制でも、月25万〜33万円の売上は現実に出ている
5席・3時間で月25万〜33万円という実績を見て、「うちの店でも数字が出るのか」と気になっている方もいるはずです。説明会では、店舗の規模や業態に合わせた導入の考え方と、オリジナルプラン・ブランドプランの具体的な内容を確認できます。事前に何かを決めておく必要はありません。
「稼働率が低い」は悲観すべき話ではない
稼働率が低いというのは、裏返せば「まだ伸びしろがある」ということです。夜だけ動いている店なら、昼の時間帯は丸ごと可能性として残っている。新しく場所を探す必要も、大きな借り入れをする必要もない。
ただ、「では何を昼にやればいいか」という答えは、店舗ごとに違います。カウンターの席数、厨房の設備、スタッフの人数、立地の客層。同じ業態でも、最適な一手は変わる。だから私は、山道家モデルを一律に「こうやれ」と押し付けるつもりはありません。大切なのは、あなたのお店に合った方法を選ぶことです。
たとえば、昼の営業を毎日やるのか、週に数日だけにするのか。ラーメン一本で行くのか、既存メニューと組み合わせるのか。これも、実際の店舗の状況を聞いてから考えることです。客数を増やさずに飲食店の利益を増やす方法について、別の角度から整理した記事もあわせて読んでみてください。
まとめ:先に「稼働率」を見ると、打ち手が変わる
客数を増やすことを考える前に、今の店舗が一日のうち何時間、実際に売上を生んでいるかを計算してみてください。その数字を見ると、「もっと集客しなければ」より先に「今ある時間をどう使うか」という問いが浮かびます。
私が2023年に清水駅前のカウンター5席で始めた昼営業は、今もその問いへの一つの答えとして動き続けています。完成した一杯の満足度を最優先に設計し、少人数・短時間でも回せるオペレーションを整え、実際の営業の中で改善を重ねてきました。
新しく店を作るのではなく、今ある店舗を活かす。それが私の出発点であり、今もこの考え方は変わりません。
何かご質問があれば、お電話でも受け付けています。
📞 054-363-2766(山道家二毛作モデル)
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