飲食店にランチ営業を追加する7つのステップ

ランチ営業・小規模運営

夜だけ営業している飲食店のうち、昼間に厨房を一切使っていない店舗は、想像以上に多い。肌感覚で言えば、夜業態を持つ個人店の半数以上がこの状態にあると感じています。焼肉・居酒屋・焼鳥・バー。どの業態でも、昼の時間帯はカウンターに誰も座らず、厨房の火も入らない。

でも、家賃は一日分かかっています。光熱費の基本料金も、設備の償却も。昼間に店を閉めていても、固定費はきっちり発生し続ける。これが夜営業中心の飲食店にとって、長年見て見ぬふりをしてきた「静かなコスト」です。

私は2009年に静岡市清水区で「侍ホルモン」を始めて以来、ずっと夜営業で食べてきました。それでもある時期から、昼間の遊休時間がどうしても気になりはじめた。そこで自分の店のカウンター5席を使い、午前11時から14時の3時間だけ家系ラーメンの営業を追加しました。

この記事では、私自身がたどった道筋をもとに、夜営業店がランチを追加するための7つのステップを具体的に整理します。「何から手をつければいいか分からない」という経営者のヒントになれば幸いです。

こんな方におすすめ

  • ✅ 夜しか営業しておらず、昼間の客席・厨房が空いている飲食店の経営者
  • ✅ 家賃は一日分払っているのに稼働時間が短いと感じている方
  • ✅ ランチ営業を始めたいが、何から準備すればいいか分からない方
  • ✅ 少ない席数・短い営業時間から小さく試してみたい方
  • ✅ 新しい利益源を作りたいが、新規出店の資金も余裕もない方
飲食店にランチ営業を追加する7つのステップ | 山道家二毛作モデル

ステップ1|まず「何のために昼営業を追加するのか」を明確にする

最初にやるべきことは、目的の整理です。「ランチを始める」という行動自体が目的になってしまうと、商品選びも価格設定も方向を見失います。

私の場合、目的はシンプルでした。「昼間に何も生んでいない固定費の一部を、別の売上で回収すること」。それだけです。月の家賃が20万円なら、昼営業で5万〜10万円でも利益が出れば、実質的に夜営業の収益性が上がる。この発想で始めました。

「昼も繁盛店にしたい」という夢を持つことは悪くありませんが、最初のステップとしては現実的な目標を設定するほうが続きます。「月に何万円の利益を、昼営業から生み出したいか」を数字で決めてからスタートしてください。

参考として、飲食店の営業利益を増やすには固定費の活用が有効かどうかという視点で整理した記事もあります。目的の言語化に迷ったときに読んでみてください。

ステップ2|自店の「使えるもの」を棚卸しする

新しく何かを始めるとき、多くの経営者はまず「何を買えばいいか」を考えます。でも順番が逆です。まず「今あるもので何ができるか」を見てください。

確認するのは次の4点です。

  • 昼間に使えるカウンターや座席が何席あるか
  • 厨房の火口・冷蔵庫・作業台は昼間も使えるか
  • 昼に動けるスタッフ(自分を含めて)は何人いるか
  • 夜営業の仕込みと時間帯が重ならないか

私の実証店舗ではカウンター5席を使い、基本2名体制で11時〜14時の3時間だけ動いています。「席が少なすぎる」と感じるかもしれませんが、飲食店で月10万円の利益を増やすことが現実的かどうかという観点で試算すると、5席でも十分な利益を生み出せる数字になります。新しく作るのではなく、今ある店舗を活かすことが出発点です。

ステップ3|昼業態の商品を絞り込む

ランチメニューは多ければいいわけではありません。少ない人数・短い時間で回すには、商品の絞り込みが欠かせません。

選ぶ商品の基準は3つです。

  1. 夜営業の仕込みや仕入れと重ならないこと(または共用できること)
  2. 少ない工程で提供できること
  3. 単価が低すぎず、客単価800〜1,200円程度を設計できること

私が家系ラーメンを選んだのも、この基準に合っていたからです。長時間スープを炊き続けることなく、スープ・タレ・鶏油・麺・チャーシューの組み合わせ全体を設計することで、本格的な満足感を実現できる。実際に食べたお客様から「本格的な家系ラーメン」「真面目に家系をやっていると思わせる一杯」という声をいただいています。

「間違いなく正統派の家系ラーメン。チャーシューが本当に美味しい」

実証店舗へお越しのお客様

商品の完成度は、スープだけで決まるわけではありません。全体のバランスをどう整えるかが、評価につながります。

✓ ここまでのポイント

  • ランチ追加の目的は「固定費の一部を昼売上で回収すること」と明確に定める
  • 新しく設備を揃える前に、今ある席数・厨房・人員で何ができるかを先に確認する
  • 商品は絞り込み、少人数・短時間で提供できるメニューを選ぶ

仕入先・仕込みルーティン・商品設計と、整えるべき要素が重なるほど「どこから手をつければいいか」が見えにくくなってきたのではないでしょうか。山道家モデルの詳細ページでは、レシピだけでなく仕入先紹介・開業研修・オペレーション設計まで、実際に営業できる状態を目指す支援内容を確認できます。説明会への申込みも同じページから行えます。

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ステップ4|仕入先・仕込みルーティンを設計する

商品が決まったら、次は仕入れと仕込みのルーティンを設計します。ここで意識してほしいのは、「夜営業の仕込みに影響させない」という原則です。

昼営業を始めた初期に失敗しやすいのは、昼の仕込みが夜の準備時間を圧迫してしまうパターンです。仕入れ先・仕込みのタイミング・仕込み量の管理を、最初から夜営業と分けて設計しておく必要があります。

また、業務用の資材・食材の仕入先は、実際に使っているルートから紹介してもらえると確認が早い。自分で一から探すと時間がかかります。信頼できる仕入先とのつながりがあるかどうかが、立ち上げ速度に直結します。

ステップ5|価格・客単価・月間目標を試算する

商品と仕入れが固まったら、数字を置いてみます。難しく考える必要はなく、次の順番で整理するだけです。

  1. 1杯あたりの原価(食材費)を出す
  2. 目標客単価を決める(私の実証店舗は約950円)
  3. 1日に何人来れば採算が取れるかを計算する
  4. 月何日営業するかを決めて月間目標を置く

私の店では月間250〜350名のお客様が来てくれています。5席・3時間という営業規模で月商25万〜33万円。これが「理想の数字」ではなく、実際に積み上がってきた実績です。最初からこの数字を目指す必要はなく、まず採算ラインを割らない最小の客数を確認することが先です。

なお、数字は営業日数や季節によって変動します。ここで大切なのは「試算してみる」こと自体であり、やってみて改善する前提でいることです。

ステップ6|最初の集客は「外に向けて発信すること」から

営業の準備が整ったら、次は認知を作ることです。ただ、大きな広告費をかける必要はありません。夜営業の常連客への告知、Googleビジネスプロフィールの更新、SNSでの投稿。この3点だけでも、最初の集客には十分機能します。

Googleビジネスプロフィールは、地域名+業態での検索で上位に出やすい重要な無料ツールです。営業時間・写真・メニュー情報を昼営業に対応した形で更新しておくだけで、検索からの来客数は変わります。

私が拠点を置くJR清水駅前でも、「清水 ランチ」「清水 ラーメン」で検索するお客様は一定数います。地名との組み合わせで発信することは、小規模店舗にとって有効な集客の入り口です。

夜営業の店がランチを始めるための5つの判断基準という記事でも、集客の考え方について触れています。ランチ開始のタイミングを判断する際の参考にしてみてください。

「家系を食べるならここ一択。また来ます」

実証店舗へお越しのお客様

ステップ7|営業しながら改善を重ねる

7つ目のステップは、「始めてから改善する」ことです。これが最も重要で、かつ最も見落とされがちなステップです。

ランチ営業を追加した最初の1〜2ヶ月は、うまくいかないことが必ず出てきます。回転が遅い、仕込み量が合わない、客数が読めない。これは準備不足ではなく、実際に営業して初めて分かることです。

私自身も、最初から今の形だったわけではありません。スープのバランス、タレの配合、チャーシューの提供方法。実際のお客様の反応を見ながら、少しずつ整えてきました。「完成してから始める」ではなく、「始めながら完成させる」という順番です。

小さく始められることが最大の強みです。5席で始めた営業は、うまくいかなくてもダメージが小さい。逆に言えば、小さな規模で試行錯誤できることが、改善の機会を増やします。

まとめ|固定費を払い続けるより、昼時間を動かす

7つのステップをまとめると、次の流れです。

  1. 何のためにランチを追加するのかを明確にする
  2. 今ある設備・席数・人員を棚卸しする
  3. 少人数・短時間で回せる商品に絞り込む
  4. 仕入れと仕込みを夜営業と切り分けて設計する
  5. 客単価・採算ラインを試算する
  6. Googleビジネスプロフィールを中心に発信する
  7. 営業しながら改善を続ける

「ランチ営業を追加する」というのは、新しい店を出すことではありません。今払っている家賃・光熱費・設備費の一部を、昼の時間帯でも回収できる状態にすること。その発想の転換が、最初の一歩です。

何か気になることがあれば、電話でも気軽にどうぞ。054-363-2766(山道家二毛作モデル)

7つのステップを読んで「自分の店に当てはめるとどうなるか」が気になっている段階だと思います。山道家モデルの詳細ページでは、5席・3時間・2名という実証店舗の実績と、オリジナルプラン・ブランドプランそれぞれの内容を具体的に確認できます。まず自分の店に合う形かどうかを見極めるところから始めてみてください。

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