結論から言うと、居酒屋ランチを始めるとき、屋号を変える必要はありません。自分の店の名前のまま、あるいは自分でつけた新しい名前で昼営業を始められます。その具体的な進め方を、7つのステップに沿って説明します。
「昼も使えば家賃の元が取れる」と頭では分かっていながら、一歩が踏み出せない居酒屋オーナーは多い。なかでも相談を受けていて一番多いのが、「屋号を変えたくない」という声です。
フランチャイズの説明会に行ったら、看板も店名もすべて統一が条件だった。それでは自分の店じゃなくなる、と感じて踏み出せなかった——そういう経緯を話してくれる方が少なくありません。
私自身も2009年に「侍ホルモン清水駅前店」を開業して以来、この店の名前に愛着があります。昼に家系ラーメンを始めたとき、最初に決めたのは「侍ホルモンの屋号は夜のままにする」ということでした。だからこそ、同じ悩みを持つ方の気持ちはよく分かります。
この記事では、自店のブランドを守りながら居酒屋ランチを立ち上げる7つのステップを、実際の経験を交えて書いています。
こんな方におすすめ
- ✅ 自分の店の屋号を変えずに昼営業を始めたい方
- ✅ フランチャイズに興味はあるが屋号や運営方針の制約が気になっている方
- ✅ 居酒屋・焼肉店・ホルモン店を経営していて昼間の店舗が空いている方
- ✅ ランチの看板メニューを何にすればよいか決めかねている方
- ✅ 新しいスタッフを雇わずに昼営業を回したい方

なぜ「屋号を変えたくない」が出発点になるのか
居酒屋のオーナーが昼営業を検討するとき、選択肢として思い浮かぶのがフランチャイズです。仕組みが整っていて、看板商品もある。入りやすそうに見えます。
ただし、多くのフランチャイズには「統一された屋号・看板・店舗表現の使用」が条件として含まれます。それ自体は理由のあるルールですが、10年・15年かけて育ててきた屋号を昼間だけ別の名前に変えることへの抵抗感は、ごく自然な感覚だと思います。
大切なのは、フランチャイズか自力かという二択ではなく、「自分の店に合った始め方があるかどうか」を先に確認することです。
実際、昼間のラーメン営業を自店の屋号のままで始める、あるいは自分でつけた新しい昼用ブランドで動かす、という方法は選択肢として成立します。そのための手順が、以下の7ステップです。
ステップ1〜3:方針を決めて土台を作る
ステップ1:屋号の扱いを先に決める
最初に決めることは、昼営業の「顔」をどうするかです。選択肢は3つあります。
- 夜と同じ屋号で昼営業を追加する
- 昼用に独自の新ブランド名をつける
- 既存の実証済みブランドの使用権を取得する
どれが正解かは店舗によって異なります。夜の業態と昼のメニューのギャップが大きい場合(例:焼肉店がラーメンを出す)は、昼用に別ブランドを立てる方が集客しやすいケースもあります。一方で「あの店が昼もやってる」という既存客へのアプローチとして、同じ屋号のまま始める方が効果的な場合もある。
重要なのは、この判断を最初に固めておくことです。後から屋号を変えると、看板・メニュー表・SNSなどすべてをやり直す手間が発生します。
ステップ2:昼に使える「席数・時間・人数」を確認する
次に、現状の店舗リソースを棚卸しします。カウンター席はいくつあるか。昼間に使える調理スペースはどの程度か。仕込みに動けるスタッフは何人いるか。
私の実証店舗では、カウンター5席・営業時間11〜14時・基本2名という体制で動いています。5席という小ささは制約ではなく、「これだけあれば始められる」という基準として捉えています。月間250〜350名のお客様にお越しいただき、月商25万〜33万円という実績は、規模を大きくしなくても利益の出る運営が成立することを示しています。
店舗の空き時間を収益化する5つのステップでも触れていますが、「何席使えるか」より「何時間・何人で回せるか」を先に確認する方が現実的な計画が立てられます。
ステップ3:昼営業が夜の仕込みに影響しない動線を設計する
「昼営業を始めたら夜の準備が間に合わなくなるのでは」という不安は、よく聞かれます。これは動線を整理することで対処できます。
基本の流れは「10時に昼営業の準備・11時開店・14時に閉めて片付け・その後に夜の仕込みへ移る」というサイクルです。この流れを自店の厨房レイアウトと仕込み内容に合わせて調整することが、スタートアップ時に一番時間をかけるべき部分です。
✓ ここまでのポイント
- 屋号の扱い(夜と同じ/新ブランド/既存ブランド)は最初に決め、後で変えない
- 席数の多さより「何時間・何人で回せるか」が運営設計の起点になる
- 昼の片付け→夜の仕込みへの動線を事前に組んでおくことで、夜営業への影響を最小化できる
屋号をどう扱うか決めないままメニューや仕込みの話に進んでしまうと、告知・看板・POPの方向がぶれて立ち上げがやり直しになります。山道家モデルの説明会では、屋号の扱い方(独自ブランドかブランドプランか)の選び方から、仕入先・オペレーション設計まで、店舗の状況に合わせて一緒に確認できます。
ステップ4〜5:商品を決めてオペレーションを固める
ステップ4:昼の看板商品を1本に絞る
昼営業の失敗でよくあるのが、メニューを増やしすぎることです。種類を増やせば仕込みが増え、少人数では対応できなくなります。
昼の看板商品は最初は1〜2種類に絞ることを強く勧めています。特にラーメンは、1種類の完成度を高める方が集客力があります。
山道家では、スープだけでなくタレ・鶏油・麺・チャーシュー・提供方法の全体を組み合わせて一杯の満足度を設計しています。長時間スープを炊き続けることは昼営業の現実には合いませんが、それ以外の要素を丁寧に整えることで、お客様から厳しい評価をいただくことができています。
「家系を食べるならここ一択」
実証店舗ご来店のお客様
この声は、店炊きスープに頼らなくても、完成した一杯として認めてもらえることを示しています。
ステップ5:チャーシューと仕込みのルーティンを作る
ラーメンの満足度を左右する要素として、チャーシューへの評価は想像以上に大きい。「チャーシューが本当に美味しい」という声をいただくことも多く、スープと同じくらい丁寧に設計しています。
チャーシューは前日または夜営業の隙間で仕込むことができます。この「いつ仕込むか」を昼・夜の業務フローのどこに組み込むかを決めると、毎日のルーティンが安定します。
また、仕入先の選定は商品設計と切り離して考えないことが重要です。どこから何を仕入れるかによって、完成形のバランスが変わります。はじめての飲食店二毛作・導入までの8ステップでも触れていますが、仕入先を含めた全体の仕組みを一緒に設計することが、立ち上げ後の安定につながります。
ステップ6〜7:集客を始めてPDCAを回す
ステップ6:屋号に合わせた告知を先行させる
「昼も始めました」を周知する手段は、夜の常連客への案内が最初の一手です。SNS・貼り紙・口頭での案内でも十分です。
このとき、屋号の扱いが決まっていないと告知の内容がぶれます。「侍ホルモンの昼営業」として告知するのか、「山道家として独立した告知をする」のかによって、写真の使い方・ハッシュタグ・看板の表記がすべて変わります。ステップ1で屋号を先に決めた理由がここで効いてきます。
なお、JR清水駅から徒歩約1分という立地で営業している実証店舗では、駅利用者の流入がランチの集客に一定の役割を果たしています。立地が集客の補助線になるかどうかは、開業前に改めて確認する価値があります。
ステップ7:最初の1ヶ月で数字を確認して調整する
開業後1ヶ月は、売上より「何が機能していて何が機能していないか」を見ることに集中します。客数・客単価・仕込みの過不足・スタッフの負荷・夜営業への影響——これらを記録して、翌月に一つずつ改善します。
「大切なのは、あなたのお店に合った方法を選ぶこと」と私がよく言うのは、正解の形が一つではないからです。5席でも収益は生まれますし、3時間の営業でも月に25万〜33万円という実績は出ています。ただし、それはあくまで私の実証店舗の数字であり、同じ数字を別の店舗が必ず出せると言っているわけではありません。自店の規模と条件に合わせて、小さく始めて改善していくことが、長続きする昼営業の作り方です。
居酒屋で利益が出ないとき昼営業を検討すべきかどうかについては別の記事でも整理していますが、昼営業は「始めること」より「続けながら改善すること」の方がずっと重要です。
まとめ:屋号を守ることと、昼営業を始めることは両立できる
居酒屋ランチを始める7つのステップを整理するとこうなります。
- 屋号の扱いを先に決める
- 使える席数・時間・人数を確認する
- 昼〜夜の動線を設計する
- 看板商品を1本に絞る
- チャーシューと仕込みのルーティンを作る
- 屋号に合わせた告知を先行させる
- 最初の1ヶ月で数字を確認して調整する
フランチャイズを選ぶかどうかは、屋号の問題だけで決める必要はありません。自店の名前を守りながら昼の収益源を作りたいなら、既存の設備と時間を活かした別の入り方があります。新しく店を作るのではなく、今ある店舗を活かして利益を生む——その考え方が、山道家モデルの出発点です。
ご相談は電話でも受け付けています。
054-363-2766(山道家二毛作モデル)
7つのステップを読んで「自分の店ではどのステップが一番詰まるか」が見えてきた方は、次に実際の仕組みを確認する段階です。山道家モデルの詳細ページでは、オリジナルプランとブランドプランの違い・説明会の申込み方法を案内しています。


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