先日、居酒屋を経営されている方からこんな相談をいただきました。「売上はちゃんとあるんです。でも月末に帳簿を見ると、手元にほとんど残らない。夜だけの営業では、もう限界かもしれない」
この言葉、刺さりました。私自身も、焼肉・ホルモン店を夜営業だけで回していた時期に、まったく同じ感覚を持っていたからです。売上が上がっても、原材料費・人件費・光熱費・家賃を引くと、「これだけしか残らないのか」という月が続く。あの重さは今でも覚えています。
私が昼にラーメン営業を始めたのは、その課題を解決するためでした。しかし「始めればすぐ利益が出る」なんて単純な話ではありませんでした。試行錯誤を重ねながら、小規模だからこそ意識すべき工夫があることに気づいていったのです。今回は、その実体験から生まれた5つの工夫を整理してお伝えします。
こんな方におすすめ
- ✅ 夜営業の売上はあるのに、月末の利益が薄いと感じている方
- ✅ 昼間の店舗・厨房・客席を使わずに家賃だけ払っている方
- ✅ 小規模なラーメン営業で本当に利益が出るのか知りたい方
- ✅ カウンター数席から新しい収益源を作ることを検討している方
- ✅ 少人数・短時間でランチ営業を回す工夫を探している方
「売上があるのに利益が残らない」の正体
夜営業の飲食店が抱える構造的な問題は、じつはシンプルです。家賃・設備・厨房は24時間コストがかかっているのに、営業しているのは夜の数時間だけ。この「使っていない時間にもコストが発生している」という状態が、利益を薄くする根本原因です。
客数を増やすことだけを考えると、集客コストがかかり、スタッフも増やさなければならず、結局利益率は変わらない。そこで視点を変えて「既存の資産を稼働させる時間を増やす」という発想に行き着きました。昼の遊休時間に、今ある客席と厨房を使って別の売上を立てる。これが、私が「二毛作」と呼んでいるモデルの出発点です。
ただし、ただ昼営業を始めれば解決するわけではありません。小規模だからこそ、利益を残すための設計が必要です。
工夫① 席数・時間・人数から「損益分岐点」を先に計算する
最初に決めるべきは、「何席・何時間・何人で・いくら売れば黒字になるか」という数字です。これを曖昧なまま始めると、頑張っているのに利益が出ない状態が続きます。
私の実証店舗では、カウンター5席・11時〜14時の3時間・基本2名運営という条件でスタートしました。客単価は約950円。この設定で損益分岐点を出し、「1日何杯売れば固定費を回収できるか」を明確にしてから営業を始めました。
大切なのは、大きな目標より「今ある条件で黒字になる最小単位」を先に設計することです。小規模ランチ営業を始めるための具体的なステップでも触れていますが、この計算なしにスタートすると、やめどきの判断もできなくなります。
工夫② 商品設計で「原価率の上限」をあらかじめ決める
ラーメン営業で利益を残す上で、原価率のコントロールは最重要課題のひとつです。特に小規模営業では、1杯あたりの原価が数十円ずれるだけで、月間の利益に大きく影響します。
私が取り組んだのは、スープだけでなく、タレ・鶏油・麺・チャーシューのすべてを一体として設計し直すことでした。どこかのパーツだけを高品質にしても、全体のバランスが崩れると原価率も満足度も崩れます。チャーシューひとつ見ても、切り方・厚み・仕込み量で原価と提供クオリティは大きく変わります。
「本格的な家系ラーメン」「真面目に家系をやっていると思わせる一杯」という言葉をお客様からいただけているのは、この全体設計の積み上げからだと思っています。原価率を先に決め、その中で満足度を最大化する順番で設計することが、小規模営業で利益を守る基本です。
工夫③ オペレーションを「夜の仕込みに影響させない」設計にする
夜営業中心の店主が昼ラーメンを始めるときに最も恐れるのは、「昼の準備が夜の本業に響くこと」です。この懸念は正しい。だからこそ、オペレーションの設計が命です。
具体的には、昼営業の仕込みが夜の準備時間と重ならないよう、工程を分離すること。ラーメンの仕込みで使う設備が、夜の焼肉・ホルモンの準備と干渉しないよう導線を整理すること。そして、2名でも滞りなく動けるよう、ポジションと役割を事前に明確にしておくことです。
少人数でランチ営業を回すための工夫でも詳しく書きましたが、「2人でどう動くか」の設計なしに始めると、昼営業が終わるころにはスタッフも店主も疲弊してしまいます。夜の本業のクオリティを守ることが、二毛作の前提条件です。
✓ ここまでのポイント
- 「売上があるのに利益が残らない」原因は、既存資産の稼働時間が少ないことにある
- 損益分岐点と原価率の上限を先に設計することで、小規模営業でも利益を残せる
- 夜営業への影響を防ぐオペレーション設計が、二毛作継続の前提になる
損益分岐点の計算・原価率の設計・オペレーションの分離と、工夫の方向性は見えてきたけれど、「自分の店に当てはめるとどうなるのか」がまだ見えていない方も多いと思います。説明会では、席数・営業時間・スタッフ構成に合わせた導入の考え方と、レシピ・仕入先・研修を含む具体的なサポート内容をお伝えしています。
「5席・3時間という小規模営業でも収益を生み出せることが、実績の中心的な意味です」
山道家二毛作モデル 運営記録より
この言葉は、私自身が最も伝えたいことを表しています。数字は営業日数や季節によって変動します。ただ、月間客数250〜350名・月商25万〜33万円という実績は、「小さな規模でも新しい利益源は作れる」という事実を示しています。大きな店舗を増やすことが目的ではなく、今ある場所で利益を生み出す仕組みを作ることが目的だからです。
工夫④ 「何を省くか」を決めることが、短時間営業の核心
3時間営業で利益を残すには、「何をやるか」より「何をやらないか」を決める方が先です。メニューを絞ること、トッピングの種類を管理すること、券売機や事前準備で接客の手間を最小化すること。これらはすべて「省く判断」の積み重ねです。
私が家系ラーメン一本に絞ったのも、その理由からです。ラーメンの種類を増やすほど、仕込みが複雑になり、スタッフへの教育コストも上がります。小規模・少人数だからこそ、「シンプルに、深く」という設計が力を発揮します。
何を削るかの基準は、「お客様の満足度に直結しないもの」から省くこと。ここを間違えると、削ったことで評判が落ちてしまいます。カウンター席だけでランチ営業を回す工夫でもこの観点を整理していますので、参考にしていただければと思います。
工夫⑤ 「始めたら終わり」にせず、数字を見ながら改善を続ける
小規模ラーメン営業で長く利益を残すために、最後に重要なのが「改善を続けること」です。レシピを渡されて終わり、ではなく、実際に営業しながら調整していく姿勢が必要です。
私自身、山道家を始めてから今に至るまで、スープのバランス・タレの配合・チャーシューの仕上がり・提供のタイミングを繰り返し見直してきました。「間違いなく正統派の家系ラーメン」「家系を食べるならここ一択」というお客様の声は、一度で完成したものではなく、営業しながら積み上げてきた評価です。
数字を月単位で確認し、「客数が少ない曜日はどこか」「原価率が上振れしている月は何が原因か」を定期的に見ていく。この習慣が、小規模営業を持続的な利益源に育てていきます。
まとめ 5席・3時間から始める利益の設計
今回お伝えした5つの工夫を、改めて整理します。
- 席数・時間・人数から損益分岐点を先に計算する
- 原価率の上限を商品設計の前提に置く
- オペレーションを夜の本業に影響させない設計にする
- 何を省くかを決め、シンプルな構成を維持する
- 営業しながら数字を見て改善を続ける
「新しく店を作るのではなく、今ある店舗を活かす」という考え方を実行に移すとき、この5つがあるとないとでは、最初の3ヶ月の結果がかなり変わってきます。月商25万〜33万円という数字は大きくないかもしれませんが、既存の家賃・設備・厨房を使いながら、2名・3時間で積み上げた利益です。その意味を、ぜひ自分のお店に置き換えて考えてみてください。
ご相談やご質問は、お電話でも受け付けています。
054-363-2766(山道家二毛作モデル 鈴木)
5つの工夫を読んで「自分の店でも試せそう」と感じた方は、次は実際の導入イメージを具体的に固める段階です。山道家モデルの詳細ページでは、オリジナルプランとブランドプランの違い、および説明会の申込み方法を確認できます。まず情報を揃えてから判断していただいて構いません。


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