焼鳥店がランチ営業を試みて、1年以内に撤退するケースは珍しくありません。理由のひとつは「何を売るか」ではなく、「どのブランドで売るか」を後回しにしたまま見切り発車してしまうことです。特にフランチャイズ加盟を検討したとき、「屋号の変更」という条件に直面して踏みとどまる経営者が少なくない、というのが現場で見えてきた実態です。
私は2009年から静岡市清水区でホルモン・焼肉の夜営業店を続け、昼間の遊休時間を活用して家系ラーメン営業を始めた経験があります。その過程で、焼鳥店や酒場の経営者からも「ランチをやりたいが、自分の店の看板を外したくない」という相談を多くいただきました。この記事では、焼鳥店がランチを始める前に押さえておきたい5つのポイントを、数字と実体験をもとにお伝えします。
こんな方におすすめ
- ✅ 焼鳥店を経営していて昼間の厨房・客席が空いている方
- ✅ ランチ営業を始めたいが、FCの屋号変更条件に違和感がある方
- ✅ 自分の店名・ブランドを守りながら新しい利益源を作りたい方
- ✅ 少人数・短時間で回せる昼業態を探している方
- ✅ まず小さく試してから拡大したいと考えている方

ポイント①「屋号を変えないこと」を最初の条件にする
焼鳥店でランチを始めようとしたとき、最初に候補に上がるのがラーメンや定食のフランチャイズです。知名度のあるブランドを使える点は魅力ですが、フランチャイズの多くは統一された店舗表現や屋号の使用を契約条件に含んでいます。つまり、夜は「○○焼鳥店」、昼は「△△ラーメン(FC)」という二枚看板状態になるわけです。
これは集客上の混乱を生むだけでなく、長年かけて育ててきた地域のお客さんに「この店は変わった」という印象を与えるリスクがあります。焼鳥店のブランドそのものが、夜営業の集客資産であることを忘れてはいけません。昼営業は夜の補完であるべきで、夜の資産を損なう形で設計するのは本末転倒です。
だから、最初の条件として「現在の屋号か、自分で決めた新ブランドで始められるか」を確認することが、ランチ導入の出発点になります。屋号を守ることは、感情論ではなく経営判断です。
ポイント②「遊休時間」と「遊休席数」を正確に把握する
焼鳥店の昼間は、多くの場合こんな状況です。厨房は空いている。カウンター席も空いている。それでも家賃は丸1日分かかっている。この「空白の時間」を見える化することが、ランチ導入の起点です。
私自身の実証店舗では、夜に使用していないカウンター5席と11〜14時の3時間を使って家系ラーメン営業を行っています。月間の客数は250〜350名、客単価は約950円で、月商25万〜33万円という実績があります。席数5・営業時間3時間・基本2名という規模です。
焼鳥店の場合、夜の仕込みに使うカウンター周辺が昼間は完全に空いているケースが多い。この「5席でも収益は生まれる」という事実は、大きな改装や新規投資なしにランチを始められる根拠になります。まず自店の「使えていない時間・席・設備」を書き出してみることが、次の一手を考えるための地図になります。
焼鳥店特有の課題と解決策については、焼鳥店の昼間の店舗を収益化する方法でも詳しくまとめていますので、参考にしてみてください。
ポイント③メニューは「自店でオペレーションが回るか」を基準に選ぶ
焼鳥店のランチで失敗しやすいのは、「映えるメニュー」や「流行りの一品」を選んでしまうパターンです。昼間の人員は夜より少ない。仕込みに使える時間も限られている。そこで問うべきは「これは2名で3時間回せるか」という一点です。
ラーメン、特に家系ラーメンは、この条件を満たしやすい業態です。提供のオペレーションがシンプルで、ドリンク対応が少なく、回転率を上げやすい。さらに、スープ・タレ・鶏油・麺・チャーシューの組み合わせで品質を安定させやすいという特性があります。
「長時間スープを炊かなければ本物ではない」という思い込みがあるかもしれませんが、実際には完成した一杯の満足度は、スープだけで決まるわけではありません。タレの設計、鶏油のバランス、麺の選定、チャーシューの仕上がり、提供の温度感。これらを総合的に調整することで、「間違いなく正統派の家系ラーメン」という評価をいただいています。
「間違いなく正統派の家系ラーメン」
実証店舗を訪れたお客様の声
これは私の実証店舗に対してお客様からいただいた言葉です。長時間炊き続けることを前提にしていない営業スタイルでも、完成した一杯として正統派と評価される。そのことが、焼鳥店のような夜業態でも昼にラーメンを提供できる根拠になっています。
✓ ここまでのポイント
- 「屋号を変えない」を最初の条件にすることで、ブランド資産を守りながらランチを始められる
- カウンター5席・3時間・2名という規模でも月商25万〜33万円の実績がある
- ラーメンはスープだけでなく、全体の設計で品質を担保できる業態である
「屋号を変えずに昼営業を始める」という方向性は分かっても、レシピ・仕入先・研修の三点セットをどう揃えるかで手が止まる経営者が多いのが現実です。山道家モデルの詳細ページでは、オリジナルプランとして仕入先紹介・開業研修・オペレーション設計まで含めた内容を案内しています。説明会への申込みも同ページから行えます。
ポイント④「仕入先・レシピ・研修」の三点セットで始める
焼鳥店の経営者が昼にラーメンを始めようとしたとき、最初の壁になるのがこの三点です。「どこから仕入れればいいか」「レシピをどうするか」「スタッフに何を教えればいいか」。これが揃っていないと、試行錯誤の期間が長くなり、その間の損失が積み上がります。
既存の厨房・設備を活かして新業態を始める際の考え方については、既存厨房を活かして新業態を始める6つのポイントにまとめていますが、焼鳥店の場合に特に意識してほしいのは「夜の仕込みに影響を与えない設計にする」という点です。
昼に使う食材・器具・調理スペースが夜の仕込みと競合しないよう、最初から分けて考える。タレやチャーシューの管理動線が夜営業の流れを乱さないか。この確認を事前にしておくことで、昼営業の開始後に「やっぱり夜の準備が追いつかない」という事態を防げます。
ポイント⑤「まず3か月」の数字を設定してから始める
昼営業を始める前に、「3か月後にこの数字を下回ったら見直す」という撤退・改善ラインを決めておくことをおすすめします。感覚で続けると、損失が広がってから気づくことになります。
目安として参考にしてほしいのは次の数字です。カウンター5席・3時間・月稼働日数20日前後の場合、月間客数250名を一つのベンチマークにしてみてください。客単価950円であれば月商約23万円。食材原価・人件費・光熱費の増分を差し引いて、新しい利益が手元に残るかを確認します。
「月5万〜10万円の新しい利益を作る」という目標であれば、カウンター5席からでも十分に射程圏内です。大切なのは最初から大きく張ることではなく、自店の規模に合った数字を持って始めることです。
居酒屋や酒場での昼営業立ち上げに共通する視点については、居酒屋の昼営業を成功させる5つのポイントも合わせて読んでみてください。焼鳥店にも応用できる内容が含まれています。
まとめ:自分の店名を守ることは、正しい経営判断です
焼鳥店がランチを始めるとき、最大の落とし穴は「屋号の問題を後回しにすること」です。フランチャイズの知名度に引っ張られて加盟したものの、夜の顧客に混乱を与え、夜のブランドを損なってしまうケースは少なくありません。
「新しく店を作るのではなく、今ある店舗を活かす」という考え方に立てば、現在の屋号か自分で決めた新ブランドで昼営業を始めることは、十分に現実的な選択です。5席・3時間・2名という小規模から始めて、数字を見ながら改善していく。それが、夜営業の資産を守りながら昼の利益を積み上げる現実的な道筋です。
詳しい内容や個別のご相談は、お電話でも受け付けています。
📞 054-363-2766(山道家二毛作モデル・鈴木)
「自店の屋号を守りながら、昼の利益を積み上げる」という5つのポイントを読み終えて、次に必要なのは自店の規模と条件に合った具体的な設計です。山道家モデルの説明会では、オリジナルプランとブランドプランの違いも含めて個別に話を聞くことができます。


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