飲食の現場を長く見てきて、つくづく思うことがあります。昼営業を「やってみたい」と考える経営者は多いのに、「でも夜に響きそうで…」という一言で止まってしまうケースが、本当に多い。
その気持ちはよくわかります。夜営業で生計を立ててきた店にとって、昼に何かを始めることは、今うまく回っているものを壊すかもしれないリスクに見えるからです。
ただ、6ヶ月という時間が経つと、その不安が「整理できていなかっただけ」だったと気づく経営者が多い。今回の記事は、導入前と6ヶ月後でどう変わったか——特に「夜への影響」という点に絞って、具体的にお伝えしていきます。
こんな方におすすめ
- ✅ 昼営業を始めたいが、夜の仕込みやスタッフの勤務に影響が出ないか心配な方
- ✅ 夜中心の居酒屋・酒場を経営していて、昼間の厨房や客席が空いている方
- ✅ 新しい収益源を作りたいが、ゼロから業態を作る余力がない方
- ✅ 動線や時間割をどう設計すれば昼営業が成立するか知りたい方
- ✅ 小さく始めて、夜営業への負担を最小限に抑えたい方

導入前の「不安の正体」は何だったか
昼営業を始める前、多くの店主が感じる不安は漠然としています。「夜に影響が出そう」という感覚はあるものの、何がどう影響するのかが言語化されていない。
具体的に分解すると、こういった懸念が混在していることが多いです。
- 昼営業の片付けが夜の仕込みの開始時間を遅らせないか
- スタッフが昼も夜も出勤することで疲弊しないか
- 昼の洗い物や補充作業が、夜の準備スペースを圧迫しないか
- 昼の食材調達が、夜の仕入れルーティンを乱さないか
これらはどれも、「動線が整理されていない状態」から来る不安です。逆に言えば、動線さえ整理できれば、多くは解消できます。
導入前の段階でこれが見えていなかった店主ほど、6ヶ月後に「思ったより夜に影響しなかった」と言います。
10時・11時・14時という時間割が変えたもの
山道家モデルの昼営業は、11:00〜14:00という3時間の営業枠を基本としています。この時間設定は、夜営業との動線を分けるために意図して設計されたものです。
実際の1日の流れはこうなります。
- 10:00〜 昼営業の仕込み・開店準備
- 11:00〜14:00 昼営業(実証店舗ではカウンター5席・3時間)
- 14:00〜15:00頃 片付け・清掃・休憩
- 15:00〜16:00以降 夜営業の仕込みへ移行
このスケジュールで回している実証店舗では、営業時間11:00〜14:00という枠が、昼と夜の間に「空白のクッション」を作る役割を果たしています。
14時に昼営業が終わってから夜の仕込みが始まるまでに、片付けと休憩を挟む時間が取れる。これが「昼が夜に食い込む」感覚をなくす最大の要因です。
逆に、この時間割が崩れると問題が起きます。14時を過ぎても昼の営業が続いていたり、片付けが長引いて15時半まで続いたりすると、夜の仕込み開始が遅れます。だからこそ、終了時間の管理を最初から徹底しておくことが重要です。
6ヶ月後に変わっていた「現場の体感」
導入から6ヶ月が経過すると、動線の設計に慣れてきて、体感として変化が出てきます。
最も大きい変化は、「昼と夜が別の店のように動けるようになった」という感覚です。最初は一つの厨房の中で昼と夜が混在しているように感じていたのが、3ヶ月を過ぎる頃から自然に切り替えができるようになってくる。
具体的に起きた変化を挙げます。
- 昼の仕込みで出た余り食材を夜に回す動線ができてきた
- 昼専用の仕入れと夜の仕入れが整理され、発注ミスが減った
- 昼担当・夜担当のスタッフの役割が明確になり、勤務の疲労感が下がった
- スープや調味料の在庫管理が「昼分・夜分」で分けて考えられるようになった
これらは最初から全部うまくいくわけではありません。1〜2ヶ月の間は試行錯誤があります。でも6ヶ月後には、多くの店で「体に染み込んだルーティン」になっています。
✓ ここまでのポイント
- 「夜に影響しそう」という不安の多くは、動線が言語化・整理されていないことから来ている
- 10時準備・11〜14時営業・片付け後に夜仕込みという時間割が、昼と夜のクッションを作る
- 6ヶ月後には昼と夜が「別の動線」として体に染み込み、体感の負担が大きく変わる
10時準備・11〜14時営業・片付け後に夜仕込みという流れは整理できても、「うちの厨房とスタッフ体制でこの時間割が成立するか」という判断は、記事を読むだけでは出しにくいと思います。山道家モデルの説明会では、レシピや仕入先の紹介に加え、店舗ごとのオペレーション設計の組み立て方まで扱っています。まず全体像を把握してから、自店への当てはめを考える順番で使っていただけます。
「夜への影響ゼロ」は目指さない。「管理できる影響」を目指す
正直に言うと、昼営業を始めて夜に一切の影響が出ない、ということはありません。
光熱費は昼の分だけ増えます。仕入れの管理工数も少し増えます。スタッフが昼に入る日は、拘束時間も変わります。
ただ、問題にしなければならないのは「影響があるかどうか」ではなく、「その影響が管理できるかどうか」です。
管理できない影響とは、夜の売上・品質・スタッフのコンディションを下げる影響です。管理できる影響とは、コストとして計上でき、昼営業の利益で十分に吸収できるものです。
実証店舗では、カウンター5席・3時間の営業で月間250〜350名ほどのお客様が来てくださっています。客単価は約950円ですので、月商は25万〜33万円ほど。この数字から昼営業に関わる追加コストを差し引いても、夜営業だけの頃にはなかった利益の層が一枚加わります。
「5席だけでも収益は生まれます」というのは、机上の話ではなく、今も清水駅前で毎日確認していることです。
「本格的な家系ラーメン」「真面目に家系をやっていると思わせる一杯」
実証店舗ご来店のお客様
「家系を食べるならここ一択」
実証店舗ご来店のお客様
昼営業の中核となるラーメンの評価がこの水準にあることが、「昼に来てよかった」というリピートを生み、月間の客数を安定させています。
また、居酒屋が昼営業を始めた3ヶ月後の客数・利益・負担の実数についても公開していますので、数字の目安を知りたい方はあわせてご覧ください。
動線設計は「一律の答え」がない。だからこそ店舗ごとに調整する
ここまで読んでいただいて、「うちの店でも同じようにできるか」という疑問が出てくると思います。
答えは「店舗ごとに違う」です。これは曖昧に言っているのではなく、実際に厨房の広さ・導線・現在のスタッフ体制・夜の仕込み開始時間は店によってまったく異なるからです。
たとえば、夜の仕込みが15時から始まる店と、17時から始まる店では、昼営業の終了後に使える時間がまったく違います。スタッフが1名で昼夜を回す店と、昼担当を別で立てられる店でも、設計は変わります。
山道家モデルの導入支援では、レシピや仕入先の紹介だけでなく、こうしたオペレーション設計を店舗ごとに一緒に組み立てることを重視しています。「こなせる動線を作ってから営業を始める」という順番が、6ヶ月後の体感の差を生みます。
開業研修を受けた前後で何が変わったかという記事でも、この「オペレーション設計」の重要性について触れています。昼営業の準備として参考にしてみてください。
また、居酒屋の昼営業メニューで失敗しない7つのポイントでは、商品選びと動線の両面から具体的な注意点をまとめています。動線を組む前に確認しておくと、設計の精度が上がります。
まとめ:6ヶ月後にわかること
昼営業を始めて6ヶ月が経つと、最初に持っていた「夜に影響しそう」という不安が、どれだけ「動線の未整理」から来ていたかがわかります。
10時に準備を始め、11〜14時の3時間だけ営業し、片付けと休憩を挟んで夜の仕込みに入る。この流れが体に染み込むまでの期間が、おおよそ3〜4ヶ月。その後は昼と夜が「別々に動く構造」として定着してきます。
もちろん、6ヶ月後もすべてが完璧になるわけではありません。季節によって客数は変わりますし、スタッフの体制が変わればオペレーションの見直しが必要になることもあります。大切なのは、そのたびに「この店に合った動線」を更新し続けることです。
新しく店を作るのではなく、今ある店舗を活かす。その発想で昼営業を始めることは、思っているよりずっと現実的な選択肢です。
個別に話を聞いてみたい場合は、お電話でも受け付けています。
📞 054-363-2766(山道家二毛作モデル)
「夜への影響」という不安を動線で解消できることは記事でお伝えしましたが、実際に自店の時間割とスタッフ体制に当てはめると、どこに調整が必要かは店ごとに違います。説明会では、今の店舗状況を踏まえた具体的な導入の進め方を確認できます。


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