「夜の売上はあるのに、利益が残らない」「家賃は一日分払っているのに、店が動いているのは夜だけ」——こういった状況に、思い当たる節はありませんか。
昼間、厨房は静まり返っている。客席は空のまま。冷蔵庫だけが音を立てている。そのあいだも家賃の時計は動き続けている。夜営業で精いっぱいのなかで、「何かしなければ」と思いながらも、何から手をつければいいか分からない——そういう経営者の方は、決して少なくないと感じています。
私は静岡・清水駅前で焼肉・ホルモン店を2009年から経営しています。夜しか使っていなかったカウンター席と昼の空き時間を使って、家系ラーメン営業を加えたのが約3年前のことです。このページでは、同じ店舗で別業態を始めるまでに、実際に何を準備したか。そして、導入前と導入後でどんな変化があったかを、具体的にお伝えします。
こんな方におすすめ
- ✅ 昼間の客席や厨房が使われておらず、もったいないと感じている方
- ✅ 夜営業だけでは固定費の回収が追いつかないと感じている飲食店オーナー
- ✅ 新しく物件を借りずに収益源を増やしたい経営者
- ✅ ランチ営業を考えているが、どの業態・メニューにすべきか決まらない方
- ✅ 少人数・短時間でも成立する運営モデルを探している店主

導入前の状態:昼間、店が何も生み出していなかった
清水駅前の私の店は、夜専業のホルモン・焼肉店です。営業は18時スタートで、厨房の本格稼働もその頃から。逆に言えば、14時頃まで店は完全に空いています。
その状態で払い続けていた固定費——家賃、光熱費の基本料金、設備のリース料——は、夜営業の売上だけで回収しなければなりません。夜の客入りが良くても、それだけで手元に残る利益をしっかり確保するのは、正直なところ簡単ではありませんでした。
「昼に何か始めたい」という気持ちは以前からありました。ただ、何を始めればいいか。スープを何時間も炊くラーメン店ができるわけでも、まったく別のジャンルを一から作る時間があるわけでもない。夜の仕込みに影響が出るような業態は選べない。こうした条件を積み重ねると、選択肢がなかなか見えてきませんでした。
この「昼間が空いている」という状態は、一見すると小さな問題のように思えます。しかし月単位で考えると、使われていない時間帯に払い続けている固定費は相当な金額になります。店舗の空き時間を収益化するための考え方は、単純に「何かやる」だけでなく、何をどう設計するかが肝になります。
準備の全体像:動かす前に決めておくべきこと
別業態を同じ店舗に追加するとき、最初に必要なのは「何を売るか」よりも「どの条件で運営するか」を先に決めることだと、私は実感しています。
具体的には、次の4つを先に整理しました。
① 使える時間帯と席数
夜営業の仕込みを逆算して、片付けと準備を含めた昼営業の時間枠を決めます。私の場合は10時から準備を始め、11時〜14時を営業時間、14時以降を後片付けと夜の仕込みに充てる流れにしました。席数は夜に使っているテーブル席には手をつけず、カウンター5席だけに絞りました。
② 何人で回すか
新しいスタッフを採用することは最初から考えませんでした。基本2名、状況によっては1名が対応できる商品設計と動線にすることを前提に、業態を選んでいます。
③ 夜の仕込みへの影響を最小化する
昼営業で使う食材と夜営業の仕込み食材が干渉しないように、冷蔵庫・作業台の使い分けを事前に整理しました。ここを曖昧にすると、夜の営業に支障が出ます。
④ 商品を絞る
ランチで多品種を揃えようとすると、仕込みも複雑になり、少人数での運営が難しくなります。「何を売らないか」を決めることが、実際には一番重要な判断でした。
この4つを先に固めたうえで、「では何を売るか」という順番で考えると、業態の選択肢がかなり絞れてきます。一つの店舗で二つの業態を育てる二毛作経営の全体的な考え方は、この順番を意識するかどうかで、準備の密度が変わります。
業態選択:なぜ家系ラーメンだったのか
私自身、横浜の吉村家をはじめ、各地の家系ラーメン店をかなり食べ歩いてきました。ただ、「好きだから」だけで選んだわけではありません。
家系ラーメンをランチ業態として選んだ理由は、主に3つあります。
ひとつは、品数を絞れること。ラーメン1本を看板にすれば、仕込みと提供の動線がシンプルになります。多くのランチ業態が複数メニューを揃えようとして複雑になるのとは逆の発想です。
ふたつめは、長時間スープを炊く必要がないこと。昼の3時間営業のために、夜の10時から豚骨を炊き始めるような運営は現実的ではありません。業務用のスープをベースにしながら、タレ・鶏油・麺・チャーシュー・提供方法の全体を調整することで、商品としての完成度を作る方法を研究しました。「炊き方」にこだわるのではなく、「一杯の満足度」にこだわる方向に切り替えたことで、短時間営業との相性が生まれました。
みっつめは、チャーシューに差別化の余地があること。私は調理師の資格を持っていて、肉を扱う経験も長い。ここに力を入れることで、「どこにでもあるラーメン」にはならないと判断しました。
✓ ここまでのポイント
- 別業態を追加するとき、最初に決めるのは「何を売るか」ではなく「どんな条件で運営するか」
- 夜営業への影響を最小化するには、時間・席数・食材・動線を事前に整理することが不可欠
- 業態選択は「好き嫌い」よりも「今ある条件に合うか」で判断する
5席・3時間で月商25万〜33万円という実績を見て、「自分の店に置き換えたらどうなるか」と考え始めている方もいると思います。レシピや仕入先、オペレーション設計まで含めた山道家モデルの全体像は、説明会でひととおり確認できます。申込みに際して、事前に用意が必要なものは特にありません。
導入後の変化:5席・3時間で数字はこうなった
実際に運営を始めてからの実績をそのままお伝えします。
- 席数:カウンター5席
- 営業時間:11:00〜14:00(3時間)
- 客単価:約950円
- 月間客数:約250〜350名
- 月商:約25万〜33万円
- 基本運営人数:2名
数字は営業日数や季節によって変動します。ただ、この実績が示しているのは、「5席・3時間でも収益は生まれる」という事実です。新しく物件を借りたわけでも、大きな設備投資をしたわけでもありません。もともとあった空間と時間を、ただ動かし始めただけです。
導入前は、昼間の3時間は店舗にとってゼロの時間でした。今は、その時間が収益を生んでいます。この「ゼロだった時間が動く」という変化が、固定費の回収効率に直接影響します。
お客様からの声も、商品設計の方向性が間違っていなかったことを確認させてくれています。
「真面目に家系をやっていると思わせる一杯」
実証店舗ご来店のお客様
「チャーシューが本当に美味しい」
実証店舗ご来店のお客様
長時間スープを炊く方式をとらずに、こうした評価をいただけているのは、タレ・鶏油・麺・チャーシュー・提供方法の全体バランスを調整し続けた結果だと思っています。どこか一点だけ突出させるのではなく、一杯として受け取ったときの満足度を軸に設計しています。
準備を整えるうえで、見落としやすいこと
同じ店舗で別業態を運営するにあたって、準備段階で「意外と見落としていた」という点をいくつかお伝えします。
仕入先の整理
業務用スープやチャーシュー用の肉、麺の仕入先は、夜営業の仕入れルートと別に確認が必要です。既存の取引先で対応できる場合もありますが、そうでない場合の代替先を先に把握しておくと、スタート後に慌てません。
提供方法の標準化
店主一人が仕込んで一人で出す、という想定だけで設計すると、スタッフが変わったときに再現性が落ちます。「誰が作っても同じ一杯が出る」状態にするための手順書やポーションの基準を、最初から意識して作ることをすすめています。
告知と集客の準備
昼営業を始めても、近隣の方に知られなければお客様は来ません。清水駅前グルメ通りのように、地域の飲食店同士のつながりや商店街の掲示板なども活用できます。SNSやGoogleビジネスプロフィールの昼営業情報の更新は、スタート前に済ませておくことが大切です。
昼と夜で別業態を同時に運営するときに整理すべき注意点については、運営を始めてから気づくことも多いですが、事前に把握しているかどうかで、最初の数週間の安定感が大きく変わります。
まとめ:「昼間の空き」は問題ではなく、準備次第で資産になる
夜営業中心の飲食店にとって、昼間の空き時間はずっと「仕方のないもの」として受け入れてきた部分があるかもしれません。ただ、その時間に家賃は動いています。設備は眠っています。
同じ店舗で別業態を動かすことは、新しい店を作ることではありません。今ある店を、もう少しだけ長く働かせることです。準備の順番と設計さえ間違えなければ、5席・3時間という小さな営業でも、月単位では無視できない収益の変化が生まれます。
「何から始めればいいか分からない」という段階の方も、まずは「使える時間帯と席数」と「夜営業への影響」の2点を書き出してみるところから始めてみてください。それだけで、具体的な相談ができる準備が整います。
直接お話を聞きたい方は、お電話でもご相談を受けています。
📞 054-363-2766
「使える時間帯と席数」「夜営業への影響」を書き出してみると、次に必要なのはレシピ・仕入先・オペレーション設計の具体的な中身です。山道家モデルでは、導入相談からオペレーション設計まで含めた支援内容を案内しています。まず詳細ページで全体像を確認してから、自店に合うかどうかを判断してください。


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