「昼営業を始めたいけど、夜の仕込みが回らなくなりそう」「スタッフの体力が心配」「片付けと仕込みが重なって現場が混乱しそう」——こういった不安を持つ経営者のかたから、よく相談を受けます。
夜営業だけで店を維持してきた人ほど、昼に何かを追加することへの警戒感は強い。それは当然の感覚だと思います。ただ、不安の正体を少し解きほぐしてみると、多くの場合「動線が整理されていないことへの漠然とした恐怖」だったりします。
この記事では、飲食店の二毛作がなぜ今これほど注目されているのか、そして「夜に影響が出るのでは」という最もよくある懸念に対して、実際の営業現場から具体的にお答えします。
こんな方におすすめ
- ✅ 夜営業中心で、昼間の厨房・客席が使われていない飲食店の経営者
- ✅ 昼営業を始めたいが、夜の仕込みへの影響が心配な方
- ✅ 「二毛作」という選択肢が自分の店に合うか知りたい方
- ✅ フランチャイズ以外の方法で収益を増やしたい方
- ✅ 少人数・短時間で新しい利益源を作りたい方

飲食店の「二毛作」とは何ですか?
一枚の田んぼで一年に二回収穫する農業の手法から転じた言葉で、飲食業では「同じ店舗・厨房・客席を使って、時間帯の異なる別業態を運営すること」を指します。
わかりやすい例でいうと、夜は居酒屋として営業している店が、昼間の空き時間にラーメンやランチ定食を提供する形です。新しく物件を借りるわけでも、設備を一から揃えるわけでもない。すでにある資産を、使われていない時間帯に稼働させるという発想です。
私自身、2009年に「侍ホルモン清水駅前店」を創業し、焼肉・ホルモンの夜営業を長年続けてきました。夜は使っているカウンター席も、昼間は完全に休眠していた。その事実に気づいたとき、「この時間を活かせないか」と考えたのが、山道家を始めるきっかけでした。
なぜ今、二毛作が注目されているのでしょうか?
シンプルに言えば、「夜だけ営業していては、固定費を回収しにくくなってきた」からです。
家賃は24時間分発生しています。光熱費・設備の減価償却も同様です。それなのに収益が生まれる時間帯が夜の数時間だけというのは、資産の活用効率としてかなりもったいない構造です。
さらに、原材料費の上昇、人件費の高騰、集客コストの増加が重なり、夜営業単体での利益確保が難しくなっている店舗は増えています。かといって、新しく物件を借りて別業態を出すほどの資金的余裕はない。そのギャップを埋める選択肢として、二毛作という発想が現実的な解になりつつあります。
「売上を増やす」よりも「今ある資産を最大限に使う」という視点の転換が、今の飲食業には必要だと感じています。
昼営業を始めると、夜の仕込みに影響しませんか?
これが、二毛作を検討している経営者から最も多く聞かれる懸念です。結論から言えば、「動線を整理すれば、影響は最小限に抑えられます」。ただし、整理しないまま始めると確かに混乱します。
私が実際に運営している山道家の場合、一日の流れはざっくりこうなっています。
- 10:00:仕込み開始(スープの温め、チャーシューの切り出し、薬味・トッピングの準備など)
- 11:00〜14:00:ランチ営業(カウンター5席・基本2名体制)
- 14:00〜14:30:片付け・清掃
- 14:30以降:夜営業の仕込みへ移行
昼営業の仕込みは約1時間。提供メニューを絞り、工程を単純化しているからです。片付けも30分以内に終わるよう設計しています。夜の仕込みが始まる時間帯には、昼の痕跡がほぼなくなっている状態を目標にしています。
重要なのは「何を出すか」の設計です。複雑なメニューを昼に追加してしまうと、仕込みも片付けも時間がかかり、夜に食い込む。山道家モデルでは、家系ラーメンという「品数を絞れる業態」を選んでいる理由の一つがここにあります。
✓ ここまでのポイント
- 二毛作とは、同じ店舗・厨房を時間帯で使い分けて収益化する手法
- 固定費の回収効率を上げるために、遊休時間の活用が現実的な選択肢になっている
- 昼営業が夜に影響するかどうかは、動線設計と提供メニューの設計次第で大きく変わる
実際の現場では、どんな工夫をしていますか?
動線の話をもう少し具体的にすると、「道具・食材・作業場所の棲み分け」がポイントになります。
夜の焼肉営業で使うカウンター周りのスペースと、昼のラーメン営業で使う器・道具類を、ゾーンとして分けておく。昼の営業終了後に「夜の道具を出す前に昼の道具をしまう」という順序を徹底するだけで、現場の混乱は大幅に減ります。
スタッフの動きについても同様です。昼営業に入るスタッフと、夜の仕込みを始めるスタッフのシフトが重複する時間帯を短くするか、役割を明確に分けておく。そうすることで、お互いの作業が干渉しにくくなります。
これは「一つの正解」ではなく、店舗ごとに厨房の広さ・設備の配置・スタッフの人数が違うので、それぞれの店に合わせた調整が必要です。山道家モデルとして体系化しているのも、「こう設計せよ」という固定の型ではなく、「この考え方で設計する」という原則の部分です。
「真面目に家系をやっていると思わせる一杯」
実証店舗ご利用のお客様
この言葉は、山道家の昼営業で提供しているラーメンへの評価として、実際にいただいた声です。長時間スープを炊き続ける方式ではないにもかかわらず、こう言っていただけるのは、スープ単体ではなくタレ・鶏油・麺・チャーシュー・提供方法の全体を設計しているからだと思っています。昼だから手を抜く、という発想では、こういう評価は得られません。
二毛作を始める前に、確認すべきことは何ですか?
始める前に整理しておきたいのは、次の3点です。
① 昼に使える席数と時間を確認する
カウンター5席・3時間という小さな規模でも、月間25万〜33万円の月商を生み出すことは可能です(実際の山道家の実績です。営業日数・季節によって変動します)。完璧な環境が揃わなくても、今ある状態で小さく始めることが現実的な第一歩です。
② 提供するメニューを絞り込む
昼営業に多くのメニューを並べると、仕込み・調理・片付けのすべてが複雑になります。1〜2品に絞り、オペレーションを単純化することが、夜への影響を最小限にする鍵です。
③ 昼→夜の切り替え時間を設計する
「何時に昼を終えて、何時から夜の仕込みを始めるか」の時間割を、実際のスタッフの動きをイメージしながら設計する。机上の計画ではなく、現場の動線ベースで考えることが重要です。
これらを一人で考えるのが難しければ、実際に二毛作を運営している人間に相談するのが一番の近道だと思っています。
まとめ:「夜に影響が出そう」という不安の正体
二毛作への最大の不安は、「昼営業が夜の仕込みや体制を壊すのでは」という恐れです。ただ、それは「設計されていない状態で始めること」への不安であって、動線と提供メニューをきちんと設計すれば、夜への影響は想像よりはるかに小さくなります。
大切なのは、完璧な準備が揃ってから始めることではなく、今ある店舗の現実に合った形で、小さく始めること。5席でも、3時間でも、収益は生まれます。
新しく店を作る必要はありません。今ある店舗を、昼の時間帯にも動かすだけです。
山道家モデルでは、レシピや仕入先の提供だけでなく、こうした昼営業の動線設計や夜への切り替え方も含めて、店舗ごとの状況に合わせた相談に対応しています。「うちの店でできるかどうか」という段階からでも、ぜひ気軽にご連絡ください。
お電話でのご相談も受け付けています:054-363-2766

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