先日、焼鳥店を営むオーナーの方からこんな相談をいただきました。「ランチ営業を始めたいんですが、今のスタッフだけでは絶対に無理で…かといって新しく人を採れるほど余裕もなくて」というお話でした。
その言葉、よく分かります。わたし自身、2009年に清水駅前で焼肉・ホルモン店を始めてから17年、ずっと少人数で店を回してきました。「人を増やせば解決する」という考え方が通じない場面を、何度も経験してきたからです。
結論からお伝えすると、原価高騰・人手不足の状況でも、新業態を始めることはできます。ただし、「人を増やして対応する」のではなく、「少ない人数で回せる仕組みを最初から設計する」という順番が大切です。この記事では、その考え方と具体的な手順をお伝えします。
こんな方におすすめ
- ✅ 新業態を始めたいが新たにスタッフを採用する余裕がない方
- ✅ 原価・人件費の高騰で利益が残らず、収益構造を変えたいと考えている方
- ✅ 昼間の店舗や厨房が空いていて、活用方法を探している飲食店オーナー
- ✅ 少人数・短時間から新しい売上軸を作りたい方
- ✅ フランチャイズは負担が大きいと感じており、別の選択肢を知りたい方

なぜ「人を増やせば解決する」という発想が危ないのか?
新業態を始めようとするとき、多くの店主が最初に考えるのは「誰かを雇えば動かせる」という発想です。でも、これが今の時代に一番リスクの高い考え方だとわたしは思っています。
人件費の上昇は止まっていません。採用できても定着するとは限らない。そして新業態の売上が軌道に乗るまでには、当然時間がかかります。その間、増やしたスタッフの人件費は固定費として出続けます。
昼営業を始めたのに、人件費のせいで利益がほとんど残らない、というケースは珍しくありません。「人を増やして対応する」のではなく、「今いる人数で回せる業態を設計する」という順番で考えることが、小規模飲食店の現実に合った方法です。
少人数で新業態を回すには、何を絞ればいいのか?
少人数で新しい業態を動かすために、最も有効な手段のひとつが「商品数を絞る」ことです。
メニューが多ければ多いほど、仕込みの種類・調理の判断・提供のミスが増えます。夜営業を抱えながら昼も動かすなら、昼の営業は「判断が少なくて済む設計」にしなければ、スタッフへの負荷は確実に積み重なっていきます。
たとえばわたしの実証店舗「山道家」では、家系ラーメンを中心に商品構成を絞り込んでいます。選択肢を減らすことで、仕込みの時間・調理の難易度・提供のばらつきを抑え、基本2名のスタッフで11時から14時の3時間営業を回せる状態を作りました。
「品数が少ないと選んでもらえないのでは」と思う方もいると思います。でも実際は、「何を食べに来るか明確な店」のほうが、昼のお客様には伝わりやすい。来店理由がはっきりしていると、常連になってもらいやすい面もあります。
✓ ここまでのポイント
- 人手不足の状況で新業態を始めるなら、「人を増やす」より「少人数で回せる設計」を先に考える
- 商品数を絞ることが、少人数オペレーションの基本。仕込み・調理・提供の手間を同時に減らせる
- 昼営業は「来店理由が明確な業態」にするほど、集客と常連化がしやすくなる
5席・3時間・2名でも、収益は生まれるのか?
「そんなに小さな規模で、本当に意味があるのか」と思う方は多いです。わたし自身も最初は半信半疑でした。
ただ、実際に清水駅前の実証店舗で営業を続けてみて分かったのは、規模が小さくても、設計次第で収益は生まれるということです。カウンター5席・11時から14時の3時間・基本2名という体制で、月間客数は約250〜350名、月商は約25万〜33万円という数字が出ています。
これを「大きい」と見るか「小さい」と見るかは、見る人によって違うと思います。でも、夜営業のかたわらに、新しく物件を借りることも大人数を雇うこともなく生まれた利益だという点を、一緒に考えてほしいのです。
大切なのは、売上の絶対額よりも「この数字が、今ある店舗の昼の遊休時間から生まれている」という事実です。数字は営業日数や季節によって変動しますが、実績の中心的な意味は、5席・3時間という小規模営業でも収益を生み出せることにあります。
「間違いなく正統派の家系ラーメン」
実証店舗ご来店のお客様
「チャーシューが本当に美味しい」
実証店舗ご来店のお客様
長時間スープを炊き続けているわけではありませんが、タレ・鶏油・麺・チャーシュー・提供方法を総合的に調整することで、こうした評価をいただいています。「どうせ手を抜いているんでしょ」ではなく「本格的」と言ってもらえるかどうかは、商品設計の問題です。手間のかけ方の問題ではないと、実際の営業を通して実感しています。
昼営業を始めると、夜の仕込みに影響するのか?
これも、相談でよく出てくる不安のひとつです。「昼に人を使ったら、夜の仕込みが追いつかなくなるんじゃないか」という心配は、正直なところだと思います。
この問題を解決するカギは、昼・夜の動線を時間軸でしっかり分けることです。わたしの店舗では、10時に仕込み開始・11時から14時が昼営業・14時以降は後片付けと夜営業の仕込みという流れを基本にしています。昼営業の仕込みを最小限に抑える商品設計になっているので、夜の仕込みと干渉しにくい構造になっています。
もちろん、どの店舗にも同じ流れが当てはまるとは思っていません。夜の仕込みが早い店・スタッフの出勤時間が違う店・キッチンのレイアウトが異なる店、それぞれに合った動線があります。「この通りにやれば大丈夫」という一律の答えは持っていませんが、店舗ごとの状況を聞きながら一緒に考えることはできます。
フランチャイズ以外に、現実的な選択肢はあるのか?
新業態の導入を検討するとき、フランチャイズを調べる経営者の方は多いと思います。ブランドがあって、レシピがあって、研修がある。確かに魅力的に見えます。
ただ、加盟金・月額ロイヤリティ・契約期間・指定仕入先という条件が重なると、小規模店舗にとっては固定費がさらに増える形になります。「始めたはいいが、ロイヤリティを払い続けると利益が残らない」という声も、実際に耳にしてきました。
わたしが体系化した山道家モデルは、加盟金・月額ロイヤリティ・契約期間を設けない形にしています。必要なのは、実店舗で検証されたレシピ・仕入先・オペレーションを一度導入することだけ。あとは自分の店舗に合わせて自由に運営していただけます。自店の屋号を使いたい方はオリジナルプランで、山道家のブランドとロゴ・メニューデータ・POPデータをまとめて使いたい方はブランドプランという形で対応しています。
フランチャイズが悪いとは言いません。ただ、それだけが選択肢ではない、ということを知っておいてほしいのです。大切なのは、あなたのお店に合った方法を選ぶことです。
まとめ:新業態は「人を増やす」より「設計を変える」から始まる
原価高騰・人手不足の時代に新業態を始めるとき、「どこかから人を連れてきて回す」という発想では、固定費がふくらむだけになりかねません。
商品数を絞り、仕込みを軽くし、昼・夜の動線を分ける。この設計を先に整えることが、少人数で新しい利益源を作るための現実的な出発点だとわたしは考えています。5席・3時間でも収益は生まれる。それはわたし自身が清水駅前で今も営業しながら確かめてきたことです。
もし「うちの店でもできるのか」「具体的に何から手をつければいいか」という疑問があれば、お気軽にご相談ください。店舗の規模・スタッフ数・夜営業の仕込みスケジュールなど、現状を聞いた上で一緒に考えます。
お電話でのご相談も受け付けています:054-363-2766


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