結論から言うと、焼肉店がランチを始めるのに新しい店舗は要りません。必要なのは、今ある店舗・厨房・客席の使い方を変えることだけです。その具体的な手順を、この記事でお伝えします。
私は静岡市清水区で焼肉・ホルモンの夜営業を続けながら、昼間のカウンター席5席を活用して家系ラーメンのランチ営業を始めました。準備を始めたときに痛感したのは、「何を揃えればいいか分からない」という感覚でした。やる気はある。でも手順が見えない。そういう状態で動くと、無駄な投資や無駄な時間が生まれます。この記事では、その経験をもとに焼肉店ランチ導入に必要な6つの準備を整理しています。
こんな方におすすめ
- ✅ 焼肉店を経営していて昼間の店舗・厨房が空いている方
- ✅ 新規出店の資金がなく、今ある店舗を活かして収益を増やしたい方
- ✅ ランチ営業を始めたいが、何から手をつければよいか分からない方
- ✅ 少人数・短時間で回せる業態を探している方
- ✅ FCのロイヤリティや契約縛りを避けて新業態を始めたい方

焼肉店がランチを始めるとき、最初に決めるべきことがある
多くの焼肉店オーナーが「ランチを始めよう」と考えたとき、真っ先に動くのはメニュー決めです。でも私が実際にやってみて分かったのは、メニューより先に決めるべきことがあるということでした。
それは「何席・何時間・何人で動かすか」という運営の枠組みです。
焼肉店の夜営業は、テーブル席中心で複数名が入ることが多い。でも昼は一人客やランチ需要の短時間利用が主流です。カウンター席が夜に使われていないなら、まずそこをランチの場として設定することが出発点になります。席数が決まれば、必要な食材量・スタッフ数・回転率の目安が出てきます。感覚で動くより、この枠組みを先に決めておくと、後の準備がすべてシンプルになります。
初期投資を増やさないための「設備確認」が第一の準備
焼肉店には厨房設備がすでにあります。ガスコンロ、シンク、冷蔵・冷凍庫、煙を排出する換気システム。これを昼営業に転用できるかどうかを確認することが、最初の準備です。
新店舗を借りれば、敷金・礼金・内装・什器・設備・採用、すべてゼロから費用が発生します。現実的な数字として、小規模な飲食店でも開業費用は数百万円規模になることが珍しくありません。一方、既存の焼肉店であれば、そのほとんどがすでに揃っている。
確認すべき点は主に3つです。
- 昼営業に使う調理器具が夜営業と重複しないか
- 冷蔵庫のスペースに昼用食材を入れる余裕があるか
- 昼の仕込み作業が夜の段取りと時間的に干渉しないか
この3点をクリアできれば、初期投資をほぼゼロに近い形でランチ営業を始められる土台があります。新しく何かを作るのではなく、今あるものを棚卸しするところから始めてください。
商品設計が第二・第三の準備——「何を出すか」より「なぜそれか」を先に考える
設備の確認ができたら、次はランチの看板商品を決める段階です。ここで多くの焼肉店オーナーが悩むのは「焼肉ランチがいいのか、定食がいいのか、ラーメンがいいのか」という選択です。
私がラーメン、とりわけ家系ラーメンを選んだ理由を正直にお伝えします。
焼肉ランチは、仕込みと提供オペレーションが夜営業と構造的に似ています。つまり、夜の仕込みや人の動きに影響が出やすい。一方でラーメンは、スープ・タレ・麺・トッピングという要素ごとに準備を分けられ、仕込みの量と時間をコントロールしやすい。少人数でも回せる業態として設計しやすいのです。
商品選定で外せない準備は2つあります。
第二の準備:看板商品の絞り込み
ランチメニューは最初から多品種を並べる必要はありません。1〜2品に絞ることで、仕込みの手間を減らし、提供のクオリティを安定させられます。「選択肢を増やす=集客力アップ」という思い込みを一度外すことが大切です。
第三の準備:商品設計の完成度を上げる
商品が決まったら、「なぜこれが食べに来る理由になるか」を確認します。家系ラーメンで言えば、スープだけでなく、タレ・鶏油・麺・チャーシュー・提供温度・器の組み合わせ全体が商品です。一つひとつのパーツを丁寧に設計すると、長時間スープを炊き続ける方式に頼らなくても、お客様に本格的な満足感を届けることができます。
実際に山道家に来てくださったお客様からは、こんな声をいただいています。
「真面目に家系をやっていると思わせる一杯」
実証店舗ご来店のお客様
この声は、私が商品設計で最も大切にしていることを表してくれていると思っています。「本格的かどうか」を決めるのはお客様です。だからこそ、作る側の手間の多さよりも、食べる側が感じる満足度を基準に設計を組み立てることが重要です。
✓ ここまでのポイント
- 焼肉店がランチを始めるには、まず席数・時間・人数の枠組みを決めることが先決
- 既存の設備・厨房・客席の棚卸しが、初期投資を抑える第一歩になる
- 商品は絞り込むほど仕込みが安定し、少人数でも回しやすくなる
商品設計やオペレーション設計の方向性は見えてきても、「実際に自分の店舗でどう組み立てるか」という具体的な手順がまだ見えていないかもしれません。山道家モデルの詳細ページでは、レシピ・仕入先紹介・開業研修・オペレーション設計まで含めた導入支援の内容と説明会への申込み方法を確認できます。
運営設計・仕入れ・集客——第四から第六の準備
第四の準備:オペレーションの設計
昼営業が夜営業の足を引っ張らないためには、時間の流れを整理しておく必要があります。私が実際に回しているのは「10時頃から準備・11時開店・14時閉店・その後に夜の仕込みへ移行」という流れです。この動線が崩れると、スタッフの疲弊につながり、夜営業のクオリティにも影響が出ます。
ポイントは「昼営業の終了時間と夜の仕込み開始時間の間にバッファを作ること」です。後片付け・補充・休憩の時間を設計の中に組み込んでおくことで、無理のない二毛作営業が実現します。
焼肉店の昼の空き時間をどう使うかの具体的な考え方についても別の記事で触れていますので、参考にしてください。
第五の準備:仕入れルートの確保
商品が決まったら、食材・資材の仕入れ先を確定させます。ここで注意したいのは「夜営業で使っている業者にそのまま相談すればいい」という思い込みです。昼業態で必要な食材が夜と異なる場合、既存の業者が対応できないケースもあります。特にラーメンであれば、麺・スープ素材・チャーシュー用の肉・器など、夜営業とは異なる仕入れ体系が必要です。
仕入れルートを早い段階で確定させておくことで、開業後の「品切れ」「品質のばらつき」を防ぐことができます。
焼肉店の昼間の店舗活用にラーメンが向いているかどうかについては、業態選定の視点からまとめた記事もあります。
第六の準備:最小限の集客手段を決める
開業前に、「誰にどうやって知らせるか」を決めておきます。広告予算をかける必要はありません。既存の夜営業のお客様への告知・店頭の看板・Googleビジネスプロフィールへの登録・SNSへの投稿。これだけでも、初期の集客として十分に機能します。
大切なのは「始めてから告知する」ではなく「告知してから始める」という順序です。オープン初日から認知がゼロの状態にならないよう、最低でも2週間前から情報を発信し始めることをおすすめしています。
「今ある店舗を活かす」という選択肢が、焼肉店に合っている理由
焼肉店はもともと夜営業に最適化された業態です。設備・空間・スタッフの動き、すべてが夜に向けて組み立てられています。だからこそ、昼の遊休時間が生まれやすく、その時間を収益に変える余地がある。
新規出店という選択肢を否定するつもりはありません。ただ、物件取得・内装・設備・採用まで含めると、最低でも数百万円規模の投資が必要になる現実があります。その投資を回収するまでの期間、夜営業の利益で補填し続ける経営はリスクを伴います。
一方で既存店舗を活用する方法は、初期投資を大幅に抑えながら新しい利益源を作れる。5席・3時間という小規模から始めて、月25万〜33万円程度の売上を積み上げている実績は、理論ではなく実際の営業で確認したものです(数字は営業日数・季節によって変動します)。
「小さく始める」ことは、消極的な選択ではありません。リスクを管理しながら新しい利益源を作るための、現実的で賢い方法です。
焼肉店で利益が出ない原因が夜営業への依存にあるかどうか、という視点から書いた記事も参考にしてみてください。自店の状況を整理するヒントが見つかるかもしれません。
まとめ:準備の順番が、ランチ導入の成否を分ける
焼肉店ランチを始めるための6つの準備をまとめます。
- 運営の枠組みを決める(席数・時間・人数)
- 既存設備の棚卸しと活用可能範囲の確認
- 看板商品を絞り込む
- 商品設計の完成度を上げる
- 昼夜の動線を壊さないオペレーションを設計する
- 仕入れルートと集客手段を事前に確定させる
この6つは、すべて「新しく店を作らずに始める」ことを前提に整理しています。今ある厨房・客席・スタッフの動きを再設計するだけで、昼間の空き時間は収益に変わります。
準備の順番を間違えると、動き始めてから余計な手間や費用が発生します。逆に順番通りに動けば、最小限の投資で昼営業をスタートさせることができます。
具体的なことを話してみたいという方は、お電話でのご相談も受け付けています。
📞 054-363-2766
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