結論から言うと、昼営業を追加しても夜の仕込みには影響しません。ただし、動線と時間割を整理してから動くことが前提です。
「昼に営業を始めたいけれど、夜の仕込みが間に合わなくなるんじゃないか」「スタッフに余分な負担がかかりそうで踏み切れない」——こういった声を、相談に来る飲食店オーナーからよく聞きます。
心配の根っこは、昼と夜の営業が時間の奪い合いになってしまうイメージです。でも実際には、流れを設計さえすれば、昼営業を終えてからそのまま夜の仕込みに移れる。むしろ午前中の作業がルーティン化することで、一日全体が整理されるケースが多いんです。
ここでは、夜営業中心の飲食店が昼の空き時間を収益化するまでの5つのステップを、静岡市清水区で実際に運営している実証店舗の記録をもとに解説します。
こんな方におすすめ
- ✅ 夜営業中心で、昼間の厨房・客席をそのまま遊ばせている方
- ✅ 昼営業を始めたいが、夜の仕込みへの影響が不安な方
- ✅ スタッフを増やさずに新しい収益源を作りたい方
- ✅ 少ない席数から試したいと考えている方
- ✅ 時間割の組み方が分からず、最初の一歩を踏み出せずにいる方
ステップ1:「何時に何をするか」を紙に書き出す
最初にやることは、現在の一日の動きを時系列で書き出すことです。何時に出勤して、何時から仕込みを始めて、何時に夜営業がスタートするか。これを書いてみると、昼間にどれだけ空白があるかが視覚的に分かります。
多くの夜業態の場合、午前中は完全に手が空いています。仕込みを16時前後から始めるとすれば、11〜14時の3時間は収益を生んでいない時間帯であることがほとんどです。
この「見えない空白」に気づくことが、最初のステップです。頭の中でなんとなく「忙しい気がする」と感じていても、書き出してみると意外と余白があることに気づく経営者は少なくありません。
ステップ2:昼と夜の「境界線」を決める
昼営業が夜の仕込みに影響する原因の多くは、終わりの時間があいまいなことです。「14時に営業終了」と決めていても、片付けや洗い物に時間がかかり、結果として仕込みの開始が遅れる——この繰り返しが「昼営業は無理」という判断につながります。
解決策はシンプルで、昼営業の終わりと夜仕込みの始まりに、明確な時間の仕切りを入れることです。
私が清水駅前で運営している実証店舗では、以下の流れを基本にしています。
- 10:00 昼営業の仕込み・準備開始
- 11:00 ランチ営業スタート
- 14:00 ラストオーダー・営業終了
- 14:00〜15:00 片付け・清掃
- 15:00以降 夜営業の仕込みへ移行
「10時に来て14時に終わる」という枠があることで、スタッフも「今日の昼は何時まで」が明確になります。終わりが曖昧だと疲弊しますが、終わりが決まっていると動きやすい。この感覚は、実際に運営してみると強く実感します。
また、夜営業の店舗を昼に活用するメリットは、単に売上が増えるだけでなく、一日の時間管理が整うという副産物もあります。
ステップ3:昼専用の「道具の置き場所」を決める
昼と夜で共用する厨房の場合、器材や食材の置き場が混在すると準備と片付けに余分な時間がかかります。これが「昼営業は手間がかかる」と感じる原因の一つです。
対策は、昼営業で使う器具・調味料・食材を決まった棚・エリアにまとめて固定することです。「どこに何があるか」が決まっていれば、10時に入ったスタッフがすぐに動けます。逆に言えば、これが整っていないと、毎日探すところから始まることになります。
席数を絞ることも有効です。実証店舗ではカウンター5席のみで運営しています。席が少ない分、回転管理もシンプルで、片付けも短時間で終わります。夜営業の席をすべて昼に使おうとすると、準備も後片付けも倍になる。最初から全力でやろうとしないことが、続けられる昼営業の条件の一つです。
✓ ここまでのポイント
- 現在の一日の動きを書き出して、昼間の空白時間を「見える化」することが最初の一歩
- 昼営業の終了時間と夜仕込みの開始時間を明確に分けることで、夜への影響を防げる
- 昼専用の置き場所を固定し、席数を絞ることで準備・片付けの時間を短縮できる
昼営業の時間割は頭では描けても、「自分の店の夜仕込みと実際に両立できるか」という確信はなかなか持てないと思います。山道家モデルの説明会では、実証店舗の10時〜15時の動線設計と、店舗ごとのオペレーション調整の考え方を具体的にお伝えしています。参加費等の詳細はページでご確認ください。
ステップ4:売るものを絞って、オペレーションを単純化する
昼営業に失敗するパターンのひとつが、「せっかくやるなら」とメニューを増やしすぎることです。メニューが増えれば仕込みが増え、スタッフの動きが複雑になり、昼営業のために余分な労力が生まれます。
昼営業の目的は「夜営業を支える新しい利益源を作ること」であって、昼だけで完結した飲食店を作ることではありません。ラーメン1品・トッピング数種、という構成でも、客単価950円前後の売上を積み上げることは十分できます。
実証店舗の実績を共有します。
- 席数:カウンター5席
- 営業時間:11:00〜14:00(3時間)
- 客単価:約950円
- 月間客数:約250〜350名
- 月商:約25万〜33万円
- 基本運営人数:2名
数字は営業日数や季節によって変動しますが、伝えたいのは「5席・3時間という小さな枠組みでも、継続的な収益が生まれる」という事実です。席数を増やさなくても、メニューを増やさなくても、設計次第で利益は出せます。
実際に食べに来たお客様からは、こんな声をいただいています。
「真面目に家系をやっていると思わせる一杯」
実証店舗ご来店のお客様
「チャーシューが本当に美味しい」
実証店舗ご来店のお客様
長時間スープを炊く方式ではなく、タレ・鶏油・麺・チャーシュー・提供方法を総合的に調整することで、こうした評価をいただいています。昼3時間の営業だからこそ、複雑な仕込みをなくして品質を安定させることが重要だと考えています。
使っていない客席をどう収益化するかという視点で考えると、「全席使うより、使う席を絞って確実に回す」ほうが、少人数での運営に向いていることが分かります。
ステップ5:2週間試して、動線を見直す
計画を立てたら、まず2週間動かしてみることをすすめています。頭の中でシミュレーションしていても、実際に動いてみないと見えないことが必ず出てきます。
たとえば「片付けに思ったより時間がかかった」「昼のピークが12時に集中して回しきれなかった」「夜の仕込みに間に合わなかった日があった」——こうした具体的な問題が出て初めて、修正できます。
大切なのは、問題が出たときに「やっぱり無理だった」と結論づけないことです。問題が出るのは当然で、それを一つずつ調整していくのが「試す」ということの意味です。
私自身、清水駅前の実証店舗を運営しながら、片付けの順番、仕込みの量、券売機の位置、スタッフの役割分担など、多くのことを営業の中で改善してきました。最初から完璧な設計はありません。小さく始めて、動かしながら整えていくのが現実的なやり方です。
遊休時間の収益化を具体的にどう進めるかについては、店舗の業態や営業時間によって最適な方法が異なります。一律の手順を当てはめるのではなく、自分の店の時間割に合わせた形を探していくことが重要です。
まとめ:夜営業を守りながら、昼を利益に変える
昼営業を追加することが、夜営業の邪魔になるかどうかは、動線と時間の設計によって決まります。
今回紹介した5つのステップを振り返ります。
- 現在の一日の動きを書き出して、空白時間を「見える化」する
- 昼営業の終わりと夜仕込みの始まりに、明確な時間の仕切りを入れる
- 昼専用の器材・食材の置き場所を固定し、毎日の準備を短縮する
- メニューを絞り、少人数で回せるオペレーションを設計する
- 2週間試して、実際に動かしながら動線を修正する
どのステップも、大きな投資や新しいスタッフを必要としません。今の店舗・厨房・客席を使って、昼間の空白を利益に変えることが目的です。
「やれるかどうか分からない」という感覚は正直なところで、最初から確信を持てる経営者はほとんどいません。だからこそ、5席・2名・3時間という小さな枠から試せることに意味があると考えています。
個別のご相談はお電話でも受け付けています。お気軽にどうぞ。
📞 054-363-2766
5つのステップを読んで「自分の店でも動かせそうだ」と感じた方も、「うちの業態だと少し違うかもしれない」と感じた方も、まず現状を整理することから始まります。山道家モデルの詳細ページでは、導入の流れとオリジナルプラン・ブランドプランの違いを確認できます。


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