光熱費が上がる中、昼営業を追加する意味はありますか?

二毛作・店舗活用

「光熱費がまた上がった。これ以上コストが増えるなら、昼まで開ける余裕はない」——そう感じている夜営業の店主さんは、少なくないと思います。

ただ、少し立ち止まって考えてみてください。光熱費が上がっているのは、昼営業をしてもしなくても同じことではないでしょうか。問題は「光熱費が増えること」ではなく、「払っている固定費に対して、店舗が何も生み出していない時間がある」という構造かもしれません。

この記事では、その問いに正面から答えていきます。私自身、静岡市清水区で夜営業の焼肉・ホルモン店を経営しながら、昼の遊休時間を使って家系ラーメンの昼営業を追加した経験をもとに書いています。

こんな方におすすめ

  • ✅ 夜営業中心で昼間の厨房・客席が空いている方
  • ✅ 光熱費や家賃の負担が増し、固定費の使い方を見直したい方
  • ✅ 昼営業を始めることに興味はあるが、コスト増が不安な方
  • ✅ 少人数・小規模で収益を追加できる方法を探している方
  • ✅ フランチャイズ以外の選択肢でラーメン導入を検討している方
光熱費が上がる中、昼営業を追加する意味はありますか? | 山道家二毛作モデル

光熱費が上がっている今、昼営業を追加するのは逆効果では?

結論から言うと、「昼営業を追加するかどうか」と「光熱費が上がっているかどうか」は、本来別の問題です。

夜だけ営業している店舗の場合、家賃・設備のリース料・保険料などの固定費は、24時間365日発生しています。光熱費も、冷蔵庫や冷凍ストッカーは昼間も動き続けています。つまり、昼に営業しなくても、ゼロではないコストはすでに払っているわけです。

そこに「昼営業の追加コスト」として発生するのは、主にガスや電気の使用量の増加分と、もし人を増やすなら人件費です。では、そのコスト増に対して、昼営業で得られる売上がどの程度あれば採算が合うのか——ここを具体的に考えることが大切です。

私が運営している実証店舗(カウンター5席・営業時間11〜14時・基本2名)では、月間の客数は250〜350名程度、月商は25万〜33万円ほどです。客単価が約950円のラーメン一本で、この数字が出ています。もちろん季節や営業日数によって変動はありますが、「5席・3時間」という規模でも収益は生まれています。

光熱費が上がっているのは事実ですが、それは昼営業を否定する理由にはなりません。むしろ、同じ固定費を払っている時間に何かを生み出せるかどうか、という問いのほうが本質的です。

昼間の「空き時間」はどれくらいのコストを生んでいるのか?

少し整理してみましょう。仮に月の家賃が15万円の店舗があったとします。一日24時間のうち、夜営業が17時〜24時の7時間だとすると、稼働率はおよそ29%です。残りの71%の時間、その店舗は「払い続けているだけ」の状態です。

これは極端な例ではなく、夜業態の多くに共通する構造です。居酒屋・焼肉店・ホルモン店・焼鳥店——夜に特化しているほど、昼間の遊休時間は長くなります。

光熱費が上がっているという話に戻ると、問題の本質は「コストが上がっていること」ではなく、「上がったコストを回収する仕組みが夜営業だけに集中していること」です。昼間に売上がゼロであれば、固定費の回収効率は下がる一方です。

逆に言えば、昼間に少しでも売上が立てば、固定費はその分だけ分散できます。ゼロと比べれば、どんな小さな売上でも意味があります。

✓ ここまでのポイント

  • 光熱費が上がっても、固定費の多くは昼夜関係なく発生している
  • 昼間の遊休時間に何も生み出さないことが、固定費の回収効率を下げている
  • 5席・3時間という小規模な昼営業でも、月25万円前後の売上を出すことは可能

昼営業を追加するとき、何から始めればいいのか?

「やってみたい気持ちはあるけど、何から手をつければいいかわからない」という相談を受けることがよくあります。特に、夜営業を回しながら新しいことを始めるのは、時間的にも体力的にも負担が大きい。それは私自身が経験してきたことです。

私がお勧めしているのは、まず「今ある設備と席数の中で完結できるメニューを一つ決める」ことです。新しい調理機器を買う必要がなく、仕込みが夜営業の作業と干渉しない業態から始めることが重要です。

私自身の場合、夜は焼肉・ホルモン店として使っているカウンター席を、昼は家系ラーメンの提供スペースとして活用しています。カウンター5席という狭い空間ですが、ラーメン一杯を丁寧に提供するには十分な環境でした。

ここで多くの方が心配するのが、「ラーメンって長時間スープを炊かないといけないんじゃないの?」という点です。確かに、豚骨やガラを何時間も炊き続けるとなれば、昼営業のために深夜から仕込みが必要になり、夜営業への影響も避けられません。

山道家では、その前提を最初から外して設計しています。長時間の炊き出しに頼るのではなく、業務用スープをベースにしながら、タレ・鶏油・麺・チャーシュー・提供方法の全体をバランスよく調整することで、商品としての満足度を作っています。

「真面目に家系をやっていると思わせる一杯」

実証店舗ご来店のお客様

「間違いなく正統派の家系ラーメン」

実証店舗ご来店のお客様

スープを自分で炊いているかどうかではなく、お客様が一杯を食べ終えたときにどう感じるか——それが評価の基準だと考えています。そして実際に、こうした声をいただいています。

光熱費の増加分を「昼営業の追加コスト」と捉えていいのか?

もう少し具体的に整理します。昼営業を追加したときに増える光熱費は、主にガスコンロ・IH・換気扇の稼働時間の増加分です。ラーメン営業の場合、湯切りのためのお湯を沸かす作業が中心になります。

一方、冷蔵庫・冷凍庫・エアコン(季節による)・照明などは、営業していなくても一定程度は動いています。昼営業で純粋に増える光熱費は、多くの店舗で月数千円〜数万円の範囲に収まることがほとんどです。

客単価950円・月250名で計算すると、月商は約23万7500円。このうち光熱費の増加分が仮に月2万円だとしても、それが追加の売上から賄えるなら、固定費の回収効率は改善されます。

もちろん、原材料費・人件費との兼ね合いもあります。ただ、「光熱費が上がるから昼営業を諦める」という判断の前に、「昼営業で得られる売上が光熱費の増加分を上回るかどうか」を試算してみることが先です。

大切なのは、昼営業を「コストを増やすもの」ではなく、「払い続けている固定費から利益を回収する仕組みを追加するもの」として捉え直すことです。

昼営業が「夜営業の足を引っ張らない」ようにするには?

昼営業を始める際に最も多い懸念が、「夜の仕込みや営業に影響が出ないか」という点です。これは正当な不安です。昼営業が夜の疲れやオペレーションの乱れにつながるなら、本末転倒になります。

私が実践しているスケジュールは、10時頃から昼営業の準備を始め、11時に開店、14時に閉店、その後片付けと清掃を終えてから夜営業の仕込みに入る流れです。この動線をあらかじめ整理しておくことで、昼と夜の作業が干渉しないように設計できます。

メニューを絞ることもポイントです。ラーメン一本に集中することで、仕込みの種類が増えず、スタッフの動きもシンプルに保てます。「少ないメニューで短時間・少人数」というオペレーション設計が、夜営業との共存を可能にします。

実際、私の店舗では基本2名で昼営業を回しています。多くの人手を確保しなくても始められるという点は、人手不足が深刻な現在の飲食業界において、大きな現実的メリットです。

まとめ:光熱費が上がる今こそ、固定費の使い方を見直す機会

光熱費の上昇は、すべての飲食店が直面している課題です。ただ、その対策として「コストを削る」という発想だけでは限界があります。もう一つの視点として、「今払っている固定費から、もっと多くの売上を生み出す」という方向を検討する価値があります。

昼間に空いている客席と厨房は、すでに家賃や設備費がかかっています。そこに新しい業態を小さく追加することは、新たなリスクを取るというより、今ある資産の稼働率を上げるという発想です。

「新しく作るのではなく、今ある店舗を活かす」——これが山道家モデルの基本的な考え方です。5席・3時間・2名という規模から始めて、実際に月25万〜33万円の売上を出している実証店舗は、静岡市清水区のJR清水駅西口からすぐそこで、今も営業を続けています。

昼営業の追加を「コスト増」として見るか、「固定費の回収機会」として見るか——その視点の切り替えが、最初の一歩になるかもしれません。

具体的な導入の流れや、自分の店舗に合った方法が気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。店舗の規模・業種・現在の営業スタイルに合わせて、一緒に考えます。

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