「昼間、誰もいない厨房を見るたびに、もったいないと思ってしまう」
「家賃は一日24時間分払っているのに、稼働しているのは夜の数時間だけ」
「ランチも始めようかと考えたことはあるけど、何を売ればいいか分からないまま数年が過ぎた」
こういう話、居酒屋や焼肉店・焼鳥店を経営しているオーナーから本当によく聞きます。やる気がないわけじゃない。ただ、何から手をつければいいのか分からない——そこで止まっているケースがほとんどです。
この記事では、使っていない厨房を活かして別業態を始めるための具体的な考え方と手順を、実際の運営経験をもとにお伝えします。理想論ではなく、今ある設備・席数・人員でどこまでできるかを一緒に考えていきましょう。
こんな方におすすめ
- ✅ 夜営業中心で昼間の厨房・客席がまるごと空いている方
- ✅ 固定費は変わらないのに昼間の売上がゼロという状況を変えたい方
- ✅ 新しく物件を借りずに収益源を増やしたい方
- ✅ 少人数・短時間でも回せる昼業態を探している方
- ✅ 別業態への興味はあるが、何をどう始めるか分からない方

「空いている厨房」は、負債ではなく未活用の資産です
まず前提として確認したいのですが、夜営業の飲食店が抱える固定費——家賃、設備のリース料、光熱費の基本料金——これらは昼間に営業しているかどうかに関係なく発生し続けます。
つまり昼間の厨房が空いているということは、「損をしている」というより「回収できていない時間がある」という状態です。この見方を変えるだけで、厨房は負担ではなく可能性として見えてきます。
ただ、こう言うと「じゃあ何でも始めればいいのか」となりがちです。そうじゃない。大切なのは、今ある設備・席数・スタッフの動きに合ったものを選ぶこと。
たとえば、カウンター席が5〜6席ある居酒屋や焼肉店なら、昼間はそのカウンターだけを使って、ランチ営業を回すことができます。全席を使う必要はありません。夜営業の店舗を昼に活用するメリットについては別の記事でも詳しく触れていますが、ポイントは「すべてを動かさなくていい」という発想の転換です。
別業態を始めるとき、最初に決めること
厨房を昼に活用すると決めたとして、次に考えるのは「何を売るか」です。ここで多くの店主が迷う理由は、選択肢が多すぎるからです。定食、カレー、パスタ、ラーメン……それぞれに仕入先・仕込み・オペレーションの違いがあります。
私が別業態を始めるときに最初に確認することは、次の3点です。
① 夜の仕込みを圧迫しないか
昼営業の準備が夜業態の仕込みに食い込むと、本業の品質が落ちます。10時に準備を始めて14時に片付け終わり、そこから夜の仕込みへ——この流れが成立するかどうかを先に確認します。
② 既存の設備で対応できるか
新しい設備を大きく追加する必要があるなら、初期投資が膨らみます。今ある厨房機器・客席・動線でどこまでカバーできるかを見てから、必要なものを足す順番で考えます。
③ 少人数で回せるメニューか
夜のスタッフと昼のスタッフを別で採用できる状況でないなら、メニュー数を絞り、1〜2名で回せる設計にする必要があります。種類が多いほど仕込みが増え、提供スピードも落ちます。
この3点を整理するだけで、「うちに向いているもの・向いていないもの」がかなり絞れてきます。
✓ ここまでのポイント
- 昼間の厨房が空いている状態は「固定費を回収できていない時間」。設備は活用できる資産として捉え直す。
- 別業態を始める前に「夜の仕込みへの影響」「既存設備で対応できるか」「少人数で回せるか」の3点を確認する。
- 全席・全設備を動かす必要はない。カウンター数席から始めるだけでも収益は生まれる。
「仕入先も決まらない、レシピもない、オペレーションも一から作るしかない」——そこで止まっているなら、実証済みの仕組みをそのまま使う方法があります。山道家モデルでは、レシピ・仕入先紹介・オペレーション・開業研修までをまとめて提供しています。どんな内容か、説明会の詳細とあわせて確認できます。
「5席・3時間」で月商25万円を生み出した実例
私自身、2009年から清水駅前で夜営業の焼肉・ホルモン店を経営してきました。昼間は使っていないカウンター席と、空いている厨房——この2つを活かして始めたのが、昼限定の家系ラーメン営業です。
運営の規模はシンプルで、カウンター5席、営業時間は11時〜14時の3時間、基本は2名で回します。客単価は約950円、月間の来客数は250〜350名ほど。月商は約25万〜33万円という実績で運営しています(数字は営業日数や季節によって変動します)。
この数字を見て「小さい」と思う方もいるかもしれません。ただ、ここで大事なのは金額の大きさより、「新しく物件を借りず、今ある厨房と席数だけで利益源が一つ増えた」という事実です。
私が家系ラーメンを選んだ理由の一つは、長時間スープを炊き続ける必要がなく、夜の仕込みに影響させずに運営できる形を設計できたからです。スープそのものを一から炊くのではなく、タレ・鶏油・麺・チャーシューの組み合わせ全体で「本格的な一杯」を作るアプローチです。
実際に食べたお客様からは、こんな声をいただいています。
「真面目に家系をやっていると思わせる一杯」
実証店舗ご来店のお客様
「スープを炊いていないのに、なぜ本格的と感じさせられるのか」——これが、私がこの数年間で一番力を入れてきた部分です。スープだけで勝負するのではなく、一杯として完成した満足度を作ること。そこに時間をかけてきました。
厨房活用を「うまくいかせる」ための現実的な準備
別業態を始めて「なんとなく動いている」状態と「利益を生み出している」状態は別物です。後者に近づくために、準備段階で整えておくべきことをお伝えします。
仕入先と商品の設計を先に決める
「売れるかどうかは始めてみないと分からない」は本当ですが、商品のクオリティと原価のバランスは最初に決めておく必要があります。試行錯誤の期間が長くなるほど、時間とコストが積み上がります。実績のあるレシピや仕入先を最初から使うことで、この期間を大幅に短縮できます。
オペレーションを紙に書き出す
「頭の中では分かっている」では、2人目のスタッフが入ったときに崩れます。開店前の準備・注文から提供までの流れ・片付けと夜仕込みへの引き継ぎ、この3段階を書き出しておくだけで、運営の安定度が変わります。
最初は席数・曜日を絞る
全曜日・全席で始める必要はありません。週3日・カウンターのみで試して、集客と回転の実態を見てから拡大するほうが、リスクを小さくできます。厨房の遊休時間を収益化する際に気をつけたい点については別の記事でも整理していますが、焦って広げるより、小さく動かして確認する順番が重要です。
集客の入口を一つ作る
Googleビジネスプロフィールへの昼営業時間の登録、Instagramへの投稿など、「昼もやっている」と伝える入口を一つでも作るだけで、来店のきっかけになります。販促物がゼロのまま始めると、存在を知ってもらえないまま終わることがあります。
これらは特別なことではありませんが、「やっていない」飲食店は意外と多い。厨房の稼働率を改善するための見直しポイントも参考にしながら、一つずつ整えていくのが現実的な進め方です。
まとめ:厨房はすでにある。あとは「使い始めること」だけです
使っていない厨房は、今すぐ別業態の舞台になれます。新しく物件を探す必要も、大きな内装工事をする必要もありません。今あるカウンター席、今ある厨房機器、今いるスタッフ——この組み合わせで何ができるかを考えることが、最初の一歩です。
私自身、清水駅前の夜営業店舗から昼のラーメン営業を立ち上げた経験を通じて、「新しく作るのではなく、今ある店舗を活かす」という考え方の手応えを実感しています。5席・3時間という小さな単位でも、整えれば利益は生まれます。
「うちの厨房でも同じことができるか」「どんな業態が向いているか」を個別に確認したい方は、まずはお電話でご相談ください。
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