飲食店の利益を増やすには、売上と利益のどちらを見るべきですか?

経営改善・利益アップ

先日、焼鳥店を経営されている方からこんな相談をいただきました。「売上は悪くないんですよ。でも、なぜか手元にお金が残らないんです」と。

この言葉、実は私自身も「侍ホルモン清水駅前店」を始めた頃に何度も感じてきたことです。レジを閉めると売上は出ている。なのに通帳の残高がじわじわ減っていく。「何かが間違っているんだろうけど、何が問題なのかわからない」という感覚です。

今回の記事では、売上と利益のどちらを経営の軸に置くべきか、そして夜営業中心の飲食店が利益を増やすためにどんな視点が必要なのかを、私の実体験を交えながら整理してみたいと思います。

こんな方におすすめ

  • ✅ 夜営業を続けているのに、なぜか利益が残らないと感じている方
  • ✅ 売上を増やそうと努力しているが、経費も一緒に増えてしまう方
  • ✅ 昼間の厨房・客席が空いていて、もったいないと思っている方
  • ✅ 新しい収益源を作りたいが、何から手をつければよいか分からない方
  • ✅ FCではなく、自分の店舗を活かした形で収益を改善したい方
飲食店の利益を増やすには、売上と利益のどちらを見るべきですか? | 山道家二毛作モデル

売上を追いかけても、利益が増えない理由

飲食店の経営を長くやっていると、「売上を上げれば解決する」という思考パターンにはまりやすいことに気づきます。客単価を上げる、メニューを増やす、イベントを打つ——どれも間違いではありませんが、売上と同時に原価・人件費・光熱費も増えていくことが多く、結果として手元に残るお金はさほど変わらない、というケースがあります。

特に夜営業中心の業態では、この構造が顕著です。客が増えれば食材の発注量が増え、スタッフのシフトを厚くする必要が出てきて、繁忙対応の光熱費もかかる。売上1万円増やして、利益として残るのが数百円、というのは決して珍しい話ではありません。

ここで一度立ち止まって考えてほしいのは、「利益=売上-コスト」という基本式を、コスト側から見直しているかという点です。売上を増やすことだけに目が向いていると、固定費の使い方という視点が抜け落ちます。

固定費は「払っている」のではなく「使いきれていない」

飲食店の固定費の代表格が家賃です。月20万の家賃を払っている店があるとして、夜だけ5時間営業している場合、その家賃は1日24時間分・月720時間分に対して発生しています。実際に使っている時間は月換算で150時間程度。残り570時間分の家賃は、稼働させずに支払っている計算になります。

設備も同じです。厨房機器・冷蔵庫・客席——これらは夜だけでなく、24時間分の減価償却が進んでいます。昼間に誰も使っていなくても、機器は古くなっていきます。

この「昼間に何も生み出していない時間・設備」こそが、利益が残らない大きな原因のひとつです。売上を増やすよりも先に、今ある資産をどれだけ稼働させているかを見直すことが、経営改善の出発点になります。

新しく店を作るのではなく、今ある店舗を活かす——この考え方は、私が山道家を立ち上げる際に最も大切にしたことでもあります。

✓ ここまでのポイント

  • 売上を増やすだけでは、コストも連動して増えるため利益は思ったより伸びにくい
  • 夜営業中心の店は、昼間の時間・厨房・客席が稼働していない「遊休資産」になりやすい
  • 利益を増やすには、売上だけでなく「固定費をどれだけ稼働させているか」を見直すことが重要

売上より「新しい利益源」をつくる発想へ

では具体的にどうするか。私が実践したのは、夜営業で使っていないカウンター5席と、昼間の遊休時間を使って家系ラーメンを始めるという選択でした。

重要なのは、夜営業の売上を増やそうとするのではなく、まったく別の時間帯に別の利益源を作ったという点です。夜の設備・家賃は変わらない。でも昼の3時間、5席を稼働させることで、それまでゼロだった時間帯から収益が生まれる。

山道家(横浜家系ラーメン)として清水駅前で昼営業を始めた実証店舗の実績は次のとおりです。

  • 席数:カウンター5席
  • 営業時間:11:00〜14:00(3時間)
  • 客単価:約950円
  • 月間客数:約250〜350名
  • 月商:約25万〜33万円
  • 基本運営人数:2名

数字は営業日数や季節によって変動しますが、実績の中心的な意味は、5席・3時間という小規模営業でも収益を生み出せるということです。新しい設備投資も、新しいスタッフの大量採用も必要ありません。昼間に空いていた5席が、毎月25万〜33万円の売上を生む時間帯に変わりました。

もちろん、この売上がそのまま利益になるわけではありません。食材費・人件費・光熱費はかかります。ただ、家賃や設備費はすでに夜営業で支払っているものです。追加の固定費負担はほぼなく、昼の売上は圧倒的に利益率の高い構造で成立します。これが「売上を増やす」ではなく「新しい利益源を作る」という発想の実例です。

「売上重視」と「利益重視」、状況別の考え方の違い

念のため整理しておくと、売上を見ることが悪いわけではありません。開業直後や認知拡大の時期は、まず売上をつくることが先決です。ただ、安定期に入った既存店舗が「もっと利益を残したい」と考えるとき、売上追求だけでは限界があります。

状況 重視すべき指標 主なアクション
開業直後・認知拡大期 売上・客数 集客・SNS・口コミ拡大
安定営業期・利益改善期 利益・固定費稼働率 遊休資産の活用・営業時間の再設計
コスト上昇・経営圧迫期 利益・原価率・人件費率 業態追加・メニュー絞り込み・オペレーション改善

今、多くの夜営業中心の飲食店は「安定営業期・利益改善期」に差しかかっているタイミングです。原材料費・人件費・光熱費が上がり続ける環境では、夜営業の売上を少し増やしたところで改善幅は小さい。だからこそ、昼間の遊休資産をどう稼働させるかという問いが、経営課題の中心に来るべきだと考えています。

「真面目に家系をやっていると思わせる一杯」

実証店舗ご来店のお客様

「チャーシューが本当に美味しい」

実証店舗ご来店のお客様

お客様からこういった声をいただけているのは、私たちが「手間をかけてスープを炊くこと」を価値の中心に置かず、タレ・鶏油・麺・チャーシュー・提供方法の全体バランスを調整し、一杯として完成した満足感を追求してきたからだと思っています。昼の限られた時間でも提供できる商品設計にこだわった結果です。

まとめ:利益を増やしたいなら、まず「空いている時間」に目を向けてみてください

売上と利益、どちらを見るべきか——この問いに対する私の答えはシンプルです。利益を増やしたいなら、まず今の固定費がどれだけ稼働しているかを見てください。

昼間の厨房が空いている。カウンターが使われていない。夜営業の家賃を昼間も払い続けている。その状態が続く限り、夜の売上を少し増やしても、利益の改善は限定的です。

新しく店を作るのではなく、今ある店舗を活かす。その考え方から始めれば、大きな投資なしに新しい利益源を作ることができます。山道家二毛作モデルは、そのための具体的な仕組みとして、実際の店舗で営業しながら改善を重ねてきたものです。

「うちの店で使えるかな」「何から相談すればいいかわからない」という段階でも、ぜひお気軽にご連絡ください。あなたのお店の状況を聞いた上で、何ができるかをいっしょに考えます。

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