「売上はそれなりにあるのに、月末に手元に残るお金が少ない」
「夜は毎日それなりに埋まっている。でも利益に変わっている感覚がない」
「家賃は24時間分かかっているのに、営業は夜の数時間だけ」
こういった悩みを抱えている飲食店のオーナーは、決して少なくないと思います。原材料費の上昇、光熱費の高騰、人件費のじわじわとした増加。夜営業一本で戦い続けるには、以前よりずっと厳しい環境になっています。
そこで耳にするようになるのが「間借り営業」や「二毛作営業」という言葉です。どちらも「今ある店舗や時間を活用する」という点で似て聞こえますが、経営の構造としては全く異なるものです。この記事では、その違いを整理しながら、夜営業中心の飲食店が昼の遊休時間で利益を生み出すために、どちらの考え方が実態に合っているかを具体的に見ていきます。
こんな方におすすめ
- ✅ 夜営業だけでは十分な利益が残らないと感じている飲食店オーナー
- ✅ 昼間に客席や厨房が空いていて、何かに活用したいと考えている方
- ✅ 間借り営業と二毛作営業の違いをはっきり理解したい方
- ✅ 新しく物件を借りずに収益源を増やしたい経営者
- ✅ ラーメンや別業態の導入を検討しているが、何から始めればよいか分からない方

間借り営業とは何か——「場所を貸す」という構造
間借り営業とは、店舗を所有・運営しているオーナーが、別の事業者に対して、一定の時間帯や曜日に厨房・客席を貸し出す形態です。貸し出す側のオーナーは、使われていない時間に場所代や光熱費の一部を得ることができます。
たとえば、夜だけ営業している居酒屋が、昼間の時間帯を別のラーメン事業者に貸す、というケースがこれに当たります。貸す側からすれば「遊んでいた時間を場所代に換える」という発想です。
ただし、ここで一度立ち止まって考えてほしいのが、「利益の構造」です。間借り営業では、厨房や客席を使って売上を生み出すのは借りている側の事業者です。貸しているオーナーは、場所代を受け取るだけにとどまります。得られる収入は限定的で、その場所の本来の収益ポテンシャルを十分に引き出せているとは言えません。
加えて、厨房を別事業者が使うことで、衛生管理の責任の所在や、夜営業への道具・仕込みへの影響、設備の損耗といった問題も生じやすくなります。「誰かに使ってもらう」という受け身の構造は、一見手軽に見えて、実際には管理コストやリスクが伴うことも少なくありません。
二毛作営業とは何か——「自分で稼ぐ」という構造
一方、二毛作営業とは、同じ店舗・厨房・客席を使いながら、自分自身(または自社スタッフ)が別の業態で営業する形です。農業で言う「二毛作」と同じ発想で、同じ畑(店舗)から年に二種類の作物(収益)を収穫するイメージです。
夜は居酒屋として営業し、昼は同じカウンター席でラーメンを提供する。夜は焼肉・ホルモン業態で回し、昼は定食やラーメンで別のお客様を取り込む。こうした形が二毛作営業です。
間借りとの決定的な違いは、売上の受け取り手が自分であるということです。昼に50人のお客様が来れば、その売上はそのまま自分のお店の収益になります。固定費(家賃・設備・光熱費の基本分)はもともと夜営業だけで負担していたわけですから、昼営業で得た売上は、そのぶんがほぼそのまま利益の上積みになりやすいという特性があります。
もちろん、昼営業にも材料費・人件費はかかります。しかし、新たに物件を借りる必要はなく、設備への追加投資も最小限で始められる。この「既存資産の稼働時間を増やす」という発想こそが、二毛作営業の本質です。
✓ ここまでのポイント
- 間借り営業は「場所を貸して収入を得る」受け身の構造。収益の上限が限られる
- 二毛作営業は「自分で別業態を営業する」能動的な構造。昼の売上がそのまま自社の利益になる
- どちらも遊休時間の活用だが、利益の受け取り方と経営の主体性がまったく異なる
夜営業の利益が残らない本当の原因は「時間の空白」にある
夜営業だけで利益が残らない理由を、「客数が少ない」「原価が高い」だけで説明しようとすると、解決策の方向が限られてしまいます。もう一つ見落とされがちな原因が、固定費の回収時間が短すぎることです。
家賃は24時間分発生しています。設備の減価償却も、使っていない昼間も刻まれています。夜だけの営業では、この固定費を夜の数時間だけで回収しなければなりません。客数が少し落ちた月や、仕入れ値が上がった月に、すぐ利益が消えてしまうのはこのためです。
逆に言えば、昼間に少しでも売上を積み上げることができれば、固定費に対する収益の割合が改善されます。月に25万円の昼売上が加わるだけで、経営の安定感はかなり変わります。これは客数を倍にしようとする努力よりも、現実的で取り組みやすい方法です。
私自身、静岡市清水区で「侍ホルモン清水駅前店」を2009年から経営してきて、同じ問題を長く抱えてきました。夜営業の売上は安定していても、原価・人件費・光熱費を積み上げると、思ったほど手元に残らない。その答えとして行き着いたのが、夜使っていないカウンター席と昼の空き時間を使った、家系ラーメンの昼営業でした。
「本格的」という評価は、炊き方ではなく設計で作られる
二毛作で昼ラーメンを始めようとしたとき、最初に突き当たるのが「スープをどうするか」という問題です。「本格的なラーメンには長時間スープを炊く必要がある」というイメージが、踏み出せない理由になっているオーナーも多いと思います。
ただ、私が実際に横浜の吉村家をはじめとする多くの家系ラーメン店を食べ歩いて考え続けた末に出た答えは、「お客様が評価するのは一杯のトータルの満足感であって、炊き方のプロセスではない」ということでした。
山道家では、長時間店内で豚骨やガラを炊き続ける方式は採っていません。しかしスープだけでなく、タレ・鶏油・麺・チャーシュー・提供方法の全体を丁寧に調整することで、実際にお客様から高い評価をいただいています。
「間違いなく正統派の家系ラーメン」
実証店舗ご来店のお客様
「真面目に家系をやっていると思わせる一杯」
実証店舗ご来店のお客様
一杯の完成度は、炊き方だけでは決まりません。タレのかえし、鶏油の質と量、麺のかたさとスープとの絡み方、チャーシューの仕上がり、丼の温度管理——こういった全体のバランスが揃ったとき、お客様は「本格的だ」と感じてくださいます。
夜営業の仕込みを圧迫せず、昼の短時間で提供できる設計を作ること。それが二毛作としてラーメンを成立させるための核心です。
間借りと二毛作、どちらが自分に合っているか——条件別の考え方
ここまで読んでいただくと、「二毛作のほうが良さそう」と感じる方が多いかもしれません。ただ、どちらが正解かは、店舗の状況と経営者の判断によります。以下の条件で整理してみてください。
間借りが向いているケース
・自分では昼営業を運営する余力がまったくない
・厨房を使う別事業者が既に決まっており、管理負担を受け入れられる
・売上よりも「場所代が入れば十分」という割り切りができる
二毛作が向いているケース
・昼間の固定費回収と新しい利益源の両方を目指したい
・少人数でも回せる業態を、自分の店名・自分のオペレーションで始めたい
・月に一定の売上を自社の収益として積み上げたい
・新しい物件を借りる費用や、FCの加盟金・ロイヤリティを避けたい
清水駅前の実証店舗では、カウンター5席・営業時間11時〜14時・基本2名というオペレーションで、月間250〜350名のお客様にご来店いただき、月商25万〜33万円を生み出しています。この数字が大きいか小さいかは見る人によって異なりますが、「5席・3時間でも収益は生まれる」という事実として受け取っていただければと思います。
大切なのは、あなたのお店に合った方法を選ぶことです。新しく作るのではなく、今ある店舗を活かす。この発想が、利益改善への近道になることは少なくありません。
まとめ——「空いている時間」を誰のために使うか
間借り営業と二毛作営業、どちらも昼間の遊休時間を活用するという点では同じです。ただし、その時間から利益を受け取るのが「別の事業者か、自分か」という点で、経営への影響はまったく異なります。
夜営業だけでは利益が残りにくくなっている今、昼の空き時間・空き席・空き厨房は、使い方次第で新しい利益源になります。必要なのは新しい物件でも大きな投資でもなく、今ある資産をどう動かすかという発想の転換です。
山道家モデルは、そのための実践的な仕組みとして、静岡市清水区の実証店舗で現在も営業を続けながら改善を重ねています。レシピ・オペレーション・仕入先紹介・開業研修まで含めた形で、あなたのお店の状況に合わせてご提案することができます。
ご興味のある方は、まずお気軽にご相談ください。あなたのお店に合った進め方を一緒に考えます。
お電話でのお問い合わせはこちら:054-363-2766


コメント