結論から言うと、「昼営業を始めたら夜に影響した」という経験は、私にはありませんでした。ただし、それは最初から動線がうまく設計できていたからではありません。何度も順番を入れ替え、時間を刻み、ようやく「この流れなら夜を壊さない」と確信できるかたちに行き着いたからです。
今日は、その試行錯誤の話を正直にお伝えしようと思います。
こんな方におすすめ
- ✅ 昼間に厨房や客席が空いているのに、夜営業への影響が心配で動けない方
- ✅ 居酒屋・焼肉店・焼鳥店など夜業態で、ランチ収益を新たに作りたい方
- ✅ 昼と夜の仕込み・片付けの動線がどう分けられるか知りたい方
- ✅ スタッフを増やさずに昼営業を組み込む方法を探している方
- ✅ 「昼を始める」ではなく「今ある店をどう活かすか」を考えている方

夜まで眠っていた厨房を、毎日見ながら思っていたこと
私が「侍ホルモン清水駅前店」を2009年に始めてから、ずっと気になっていたことがあります。昼の12時ごろ、店の中が静まり返っているあの状態です。厨房もカウンターも、何もしていない。家賃は一日分まるごと払っているのに、稼働しているのは夜だけ。
「もったいない」と感じながらも、長い間そのままにしていました。理由は単純で、昼営業を始めることで夜の仕込みが後回しになったり、スタッフが疲弊したりするのが怖かったからです。焼肉・ホルモン業態は、夜の仕込み量がそれなりにあります。タレの補充、肉の下処理、ホルモンの下茹でなど。その時間を昼営業に食われたら、夜の質が落ちる。そのリスクを考えると、どうしても踏み出せなかった。
ただ、ある時期から原材料費と光熱費が重なるように上がり始めて、「夜だけで十分な利益を残す」という前提が崩れてきました。売上は横ばいなのに、手残りが減っていく感覚。そのタイミングで、改めて「昼のあの時間を使えないか」と本気で考え始めました。
最初に試みて、気づいた「順番の問題」
最初に昼営業を試みたとき、私は順番を間違えていました。「11時から営業して、14時に終わって、それから夜の仕込みをする」という大まかな流れは描けていましたが、その間の細かい動きが整理できていなかった。
具体的にいうと、昼の片付けと夜の仕込みの切り替えポイントが曖昧だったのです。昼が終わった14時から、鍋を洗い、カウンターを拭き、食器を戻し、ゴミを出す。その流れが終わるころには15時を回っていることもありました。夜の開店は18時。仕込みに使える時間が、思ったより短い。
さらに、昼の準備を10時から始めると、それまでの仕込み時間も削られます。「昼営業を挟んだら、前後の時間が全部圧迫された」という感覚になった時期が正直ありました。
ここで気づいたのは、「昼を追加する」という発想自体が間違っていたということです。昼・夜という二つの営業を、一つのタイムラインの中で整理し直す必要があった。つまり、「昼営業を組み込む」のではなく、「一日の動線を昼込みで設計し直す」という考え方に切り替えることが先でした。
✓ ここまでのポイント
- 昼営業が夜に影響する根本原因は、片付け・仕込み・休憩の「順番と時間配分」が整理されていないこと
- 「昼を追加する」ではなく「一日の動線を昼込みで設計し直す」という視点の転換が必要
- 夜の仕込み時間を守るには、昼の終わり方(片付けの速度と範囲)を先に決めることがカギ
「片付けと仕込みが重なって、夜に余裕がなくなるのでは」という不安は、動線の順番が見えていないことから来ています。山道家モデルの詳細ページでは、店舗ごとのオペレーション設計と導入相談の内容を確認できます。自分の店の夜開店時間・仕込み量に照らして読んでみると、具体的な時間の組み方が見えてきます。
「10時・11時・14時・15時・18時」という区切りを作った
整理し直した結果、今の山道家(昼ラーメン営業)は次のような時間の区切りで動いています。
10:00 昼営業の仕込み開始(スープの用意、麺のセット、チャーシューのスライスなど)
11:00 昼営業スタート
14:00 昼営業終了・片付け開始
14:30〜15:00 昼の片付け完了・スタッフ休憩
15:00〜 夜営業(焼肉・ホルモン)の仕込みへ移行
18:00 夜営業スタート
ポイントは、昼の片付けを「30分以内に終わる範囲に設定した」ことです。家系ラーメンの場合、丼・レンゲ・箸・卓上調味料の管理が中心で、焼肉のように網やコンロを洗う必要がありません。昼営業に使う道具の種類を最初から絞ることで、片付けの時間を計算できるようにしました。
夜の仕込み時間は15時から確保できるので、焼肉・ホルモンの下処理に影響が出ていません。昼を始める前と比べて、夜の準備が遅れたという感覚はほとんどない。むしろ、10時からの仕込みで「一日の始まり方」が整ったぶん、店全体のリズムが出てきた感じさえあります。
ただし、この時間割はどの店舗にもそのまま当てはまるわけではありません。夜の開店が17時の店と19時の店では、昼の終了後に使える時間がまったく違います。業態によって仕込み量も異なるので、家系ラーメン二毛作を成功させるための時間設計のポイントでも触れていますが、時間割は店舗ごとに作るものだと考えています。
「本格的」という評価が、設計の正しさを教えてくれた
動線を整えながら、もう一つ気にしていたことがあります。それは、「昼に出すラーメンの質を落とさないこと」でした。
昼だけのために長時間スープを炊くことは、夜業態との二毛作では現実的ではありません。それは最初から分かっていました。だからといって、「とりあえずラーメンを出す」という姿勢では、昼のお客様はリピートしてくれない。二毛作で利益を出すには、昼の一杯に満足してもらえるかどうかが全てです。
スープの選定から始まり、タレの配合、鶏油の量、麺の選択、チャーシューの製法、そして提供方法まで、何度も調整を重ねました。実際にお客様から届いた声が、それを確かめる手段でした。
「真面目に家系をやっていると思わせる一杯」
実証店舗ご利用のお客様
「間違いなく正統派の家系ラーメン」
実証店舗ご利用のお客様
この言葉は、焼肉店の厨房から出てきた一杯への評価です。店炊きのスープを使っていないことを伏せて出しているわけではありませんが、それでも「本格的」「正統派」と受け取ってもらえている。これは、スープ単体ではなく、一杯全体の設計で満足感を作れた結果だと思っています。
ラーメン二毛作モデルを理解する7つのポイントの中でも詳しく書いていますが、昼の質を守ることと、夜の動線を守ることは、矛盾しません。どちらかを犠牲にする必要はない。設計次第で、両立できます。
「昼を始めると夜に響く」という不安の正体
多くの経営者が最初に抱く「昼営業が夜に影響するのでは」という不安、その正体は「動線が見えていないこと」だと今は思っています。
影響が出るのは、昼と夜の時間をぼんやり「同じ一日」として捉えているときです。片付けにどれだけかかるか、休憩をどこに置くか、夜の仕込みをいつ始めるか。この三点が明確になると、「本当に夜に響くのかどうか」が数字で確かめられるようになります。
私自身が実証店舗(カウンター5席・11〜14時・基本2名)で検証してきた経験から言うと、設計された動線の中で動けば、昼営業は夜営業の邪魔にはなりません。むしろ、「使われていなかった時間が利益に変わる」という実感が出てきます。
もちろん、どの店舗でも全く同じ流れが通用するとは言いません。夜の開店時間、仕込みの種類と量、スタッフの人数。これらが違えば、昼の終わり方も変わります。ラーメン二毛作で開業する前に確認したい10項目も参考にしながら、自分の店の条件を一度整理してみることをおすすめします。
まとめ:眠っていた時間に、仕組みを入れる
夜まで眠っていた厨房を見て、私が二毛作を始めた理由は単純です。「もったいない」という感覚と、「夜だけでは利益が足りなくなってきた」という現実。この二つが重なったとき、昼の時間に仕組みを入れることを決めました。
最初から完璧な動線が引けたわけではありません。順番を間違えて、片付けと仕込みが重なって、「やっぱり難しいか」と思った時期もあります。でも、「昼と夜を分けて設計する」という考え方に切り替えてからは、夜営業に影響が出たことはありません。
夜営業を守りながら、昼に新しい収益源を作る。それが二毛作という選択です。「新しく店を作るより、今ある店舗を活かす」というのは、きれいごとではなく、私自身が今も続けている方法です。
動線の設計について、あなたのお店の条件に合わせた相談をご希望の方は、お気軽にお電話ください。
📞 054-363-2766
「昼を始めると夜に響く」という不安の正体が動線設計の問題だと分かった今、次は自分の店の条件でどう組み立てるかです。説明会では、夜の開店時間・業態・スタッフ人数をもとに店舗別の時間割を一緒に考えることができます。まず内容だけでも確認しておくと、判断がしやすくなります。


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