先日、名古屋で居酒屋を経営されている方からこんな相談を受けました。「昼にラーメンを始めようと思って麺の問い合わせを始めたんですが、製麺所によって言ってることが全然違うし、何を基準に選べばいいか分からなくて。3社に見積もりを取ったところで止まっています」と。
気持ちは痛いほど分かります。私自身、2023年に「横浜家系ラーメン山道家」として昼営業をスタートさせるまで、麺の選定だけで何ヶ月も費やしました。家系ラーメンを名乗る以上、麺の選択は一杯の印象を大きく左右する。でも、スープやタレほど情報が出回っておらず、製麺所に問い合わせても「うちのは全部家系に使えます」と言われることも少なくない。
この記事では、私が実店舗で試行錯誤した経験と、導入を検討している飲食店オーナーから受けてきた相談内容をもとに、麺仕入れで失敗しないための6つの方法を整理しました。「とりあえず近くの製麺所に頼む」前に、一度目を通してみてください。
こんな方におすすめ
- ✅ 夜営業中心で昼間の厨房が空いており、ラーメン営業を検討している方
- ✅ 家系ラーメンの麺選びで何を基準にすればよいか分からない方
- ✅ 製麺所に問い合わせたが、違いが整理できずに止まっている方
- ✅ 少ない席数・短時間営業で麺の発注ロットをどう設定するか悩んでいる方
- ✅ 独学でラーメン営業を始めようとして、仕入れ先探しに行き詰まっている方

家系ラーメンの麺に「正解は一種類」という思い込みを捨てる
まず最初に確認しておきたいのが、「家系ラーメンの麺はこれでなければならない」という先入観です。横浜の吉村家をはじめ、私自身が食べ歩いた数十店舗の家系ラーメン店を振り返っても、麺の太さや加水率には一定の幅があります。共通しているのは「中太・低加水・ストレート系」という方向性であって、そこから先は各店の調整が入っています。
これを「どれでもよい」と受け取るのは違います。幅があるということは、自分の店のスープ・タレ・提供スタイルに合わせて選ぶ余地があるということです。仕入れる前に「どんなスープに合わせるか」「麺の硬さをどのレベルで提供するか」「ゆで時間の管理を誰がやるか」を先に決めておくと、製麺所への問い合わせが格段に具体的になります。
麺の仕入れを考える前に、店舗向け家系ラーメンの作り方を学ぶ6ステップで一杯全体の設計を確認しておくと、麺選びの軸が定まりやすくなります。
失敗しない麺仕入れ6つの方法
① 試作用のサンプルを必ず取り寄せる
製麺所のカタログや数値スペックだけで麺を決めることは避けてください。加水率28%と書いてあっても、小麦の種類や製法が違えば茹で上がりの食感は全く異なります。必ずサンプルを取り寄せ、自分のスープ・タレ・鶏油と合わせた状態で食べて確認する。これが出発点です。
サンプルを取り寄せる際は、「ゆで時間の目安」「推奨保存温度と保存期間」「最小発注ロット」の3点を必ず確認してください。この3点を聞いて回答が曖昧な製麺所は、小規模店舗への納品経験が少ない可能性があります。
② 加水率と太さの関係を数字で把握する
家系ラーメンに使われる麺は一般的に加水率26〜32%程度、太さは2.0〜2.4mm程度のものが多い傾向にあります(あくまで目安であり、店によって異なります)。加水率が低いほど麺はスープを吸いやすく、低加水の麺は早く伸びる特性があります。つまり、提供スピードが遅い場面では不利になることがある。
5席・3時間営業という私の実証店舗の規模であれば、提供が集中する時間帯でも比較的コントロールしやすいのですが、席数が多い店舗やワンオペに近い体制の場合は、加水率をやや高めにした麺の方が扱いやすいケースもあります。「家系だから低加水」と一律に決めず、自分の営業スタイルに合わせて検討してください。
③ 最小発注ロットと廃棄リスクを先に計算する
これが最も見落とされやすいポイントです。製麺所の最小発注単位が「1ケース=20kg」だとすると、カウンター5席・週5日・昼3時間営業で月間250〜350名の客数を想定した場合、1ヶ月の麺消費量と発注頻度が合わなくなることがあります。
生麺の場合、納品から一定期間内に使い切れないと廃棄が発生します。廃棄が出始めると、どんなに客単価が高くても利益が削れていきます。最小発注ロットを確認したうえで、「週に何回発注できるか」「1週間で消費できる量か」を実際の客数見込みから逆算して確認してください。
この計算は、家系ラーメン経営ノウハウの基本7項目でも触れていますので、合わせて参照してみてください。
④ 製麺所が小規模店舗への納品実績があるかを確認する
製麺所には大きく分けて、チェーン店向けの大量納品を主力とするところと、個人店・小規模店への対応を得意とするところがあります。前者に問い合わせると、「最小ロット以下は対応不可」「冷凍麺のみ対応」といった回答が返ってくることがあります。
小規模飲食店が昼営業で家系ラーメンを導入する場合、週単位で柔軟に発注できる製麺所との取引が現実的です。「小規模個人店への納品実績はありますか?」と直接聞くのが最短の確認方法です。断られることを恐れずに聞いてください。それが分かるだけでも、選択肢の絞り込みに役立ちます。
⑤ 保管環境と保存期間を営業スタイルに合わせて判断する
夜営業中心の店舗が昼にラーメンを始める場合、冷蔵スペースを夜の仕込み食材と共有することになります。生麺は冷蔵保存が基本で、保存期間は製品によって異なりますが数日〜10日前後が多い。冷凍麺は保存期間が長い分、解凍・茹での手順が増えます。
「冷蔵スペースにどれだけ余裕があるか」「夜の仕込みに影響しないか」を先に確認してから、生麺と冷凍麺のどちらが自分の店に合うかを判断してください。正解は一つではなく、店舗の設備状況によって変わります。
⑥ 麺単体ではなく、一杯のバランスで最終判断する
麺の評価は、麺単体で完結しません。私が山道家の麺を選んだときも、最終的な判断は「このスープとこのタレとこの鶏油と合わせたとき、お客様にどう届くか」でした。
実際にお客様から「間違いなく正統派の家系ラーメン」という声をいただいたとき、それはスープだけでも、麺だけでも、チャーシューだけでもなく、一杯として届いた結果の評価だと受け取っています。麺の仕入れは一杯を完成させるためのパーツ選びであって、麺の仕入れ先を決めることがゴールではありません。
✓ ここまでのポイント
- 家系ラーメンの麺には「唯一の正解」はなく、自店のスープ・提供スタイルに合わせて選ぶ余地がある
- 最小発注ロット・保存期間・廃棄リスクは、席数・客数見込みから逆算して事前に確認することが不可欠
- 麺の評価は麺単体ではなく、タレ・スープ・鶏油との組み合わせで一杯として判断する
麺の太さや加水率は調べられても、「自分の店のスープに合うか」「最小ロットが客数見込みと合うか」は、実際に営業してみないと分からない部分が残ります。山道家モデルの詳細ページでは、実証店舗で選定した仕入れ先の紹介や開業研修の内容を確認できます。まずどんな仕組みかを知るところから始められます。
「間違いなく正統派の家系ラーメン」
実証店舗(山道家)ご来店のお客様
独学で仕入れ先を探すことの現実的なコスト
製麺所への問い合わせ、サンプル取り寄せ、試食、調整、再問い合わせ——このサイクルを独学で回すと、決定までに3〜6ヶ月かかることも珍しくありません。その間、店舗の昼間は空いたままです。
私が山道家モデルを整理するにあたって重視したのは、「実際に営業できる状態になるまでの時間を短縮できるか」という点でした。麺に限らず、タレ・鶏油・チャーシューの仕入れ先もそれぞれ一から探すとなると、商品開発だけで半年以上が経過し、その間の固定費は動き続けます。
独学でのラーメン営業立ち上げに不安を感じている方には、はじめての家系ラーメン開業に必要な準備から営業までの全体像が参考になります。
まとめ:麺の仕入れは「選ぶ順番」が結果を左右する
麺仕入れで失敗するケースのほとんどは、順番が逆になっています。製麺所を先に決めてから、その麺に合わせてスープを調整しようとする。あるいは、数字スペックだけで麺を選んで、実際に一杯にしてみると何かが違う、という状態です。
正しい順番は、「一杯のゴールイメージを固める→スープ・タレ・鶏油の方向性を決める→それに合う麺の条件を整理する→製麺所に問い合わせる→サンプルで検証する」です。この順序で進めるだけで、問い合わせの精度が上がり、決定までの時間が短縮されます。
「新しく店を作るのではなく、今ある店舗を活かす」という考え方のもと、私自身が実証店舗で検証してきた仕入れの仕組みやオペレーションについて、具体的にお伝えできることがあります。現在の営業スタイルや厨房環境を教えていただければ、あなたのお店に合った進め方を一緒に考えることができます。
まずはお電話でのご相談も受け付けています:054-363-2766(山道家二毛作モデル・鈴木)
製麺所への問い合わせで止まっている状態が続くほど、昼間の遊休時間だけが過ぎていきます。説明会では、麺を含むスープ・タレ・オペレーション全体の設計をどう進めるかを、実店舗の数字をもとに話しています。申込みの前に詳細ページで内容を確認することができます。


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