先日、静岡市内の蕎麦店を営む経営者の方からこんな相談が届きました。「昼だけの営業だから厨房が夜は完全に空いている。ラーメンを始めたいとは思っているんですが、フランチャイズに加盟すると屋号が変わってしまう。それだけは避けたくて……」
この言葉、ものすごくよく分かるんです。蕎麦屋を続けてきた年月の分だけ、その屋号にはお客様との信頼関係が積み上がっている。それを一度リセットするのは、単なる看板の話ではなく、自分が積み上げてきたものを手放すことに近い。
ただ、同時にこうも思います。昼しか使わない厨房・客席が夜に丸ごと眠っているのは、経営的にもったいない。夜の時間に別業態で収益を作れたら、その蕎麦屋をもっと長く続けられるはず、と。
今回は「蕎麦屋の屋号はそのままに、ラーメン営業を追加する」という切り口で、7つのステップを具体的に整理します。私自身、静岡・清水で焼肉・ホルモン店の夜業態に家系ラーメンの昼営業を重ね、5席・3時間という小さな規模で収益を生み出してきた経験を土台にしています。
こんな方におすすめ
- ✅ 蕎麦屋を営んでいて、夜の厨房・客席が空いている方
- ✅ ラーメンを始めたいが、自店の屋号を変えたくない方
- ✅ フランチャイズ以外の方法でラーメン営業を導入したい方
- ✅ 少ない席数から新しい利益源を試したい方
- ✅ ランチ後・ディナー前の時間帯を収益化したい方

ステップ1:「蕎麦屋の屋号を守る」を最初の前提に置く
蕎麦屋がラーメンを始めようとすると、最初に直面するのが「フランチャイズに加盟するかどうか」という選択です。FCは仕組みが整っている反面、指定された屋号・デザイン・メニューへの統一を求められる場合が少なくありません。自分の店の名前で続けたい蕎麦店経営者にとっては、ここで躊躇してしまうケースが実際に多い。
最初のステップは、「屋号を変えない」という方針を決めることです。これはわがままではなく、合理的な判断です。長年通ってくれているお客様への信頼、地域での知名度、積み上げてきた評判——これらはすべて屋号とセットで存在します。それを守ることを前提にした上で、追加業態の設計を始めるべきです。
具体的には、二つの方向性があります。一つは「今の屋号のまま、メニューにラーメンを加える」。もう一つは「今の屋号はそのままにしつつ、別の営業時間帯に新ブランドを立ち上げる」。どちらが合うかは店舗の立地・客層・営業時間帯によって変わります。まずこの二択を自分で判断できる状態にしておくことが出発点です。
ステップ2:自店の遊休時間・設備を正確に把握する
蕎麦屋の多くは、昼の営業が中心です。早い店では11時から14時、長くても15時ごろには店じまいという場合が多い。つまり夕方から夜にかけての時間帯は、厨房も客席もまるごと空いています。
「夜にラーメンをやる」というのは、この遊休時間を利益へ変える発想です。夜の店で昼に売る商品を決める7ステップでも触れていますが、逆のパターン——つまり昼営業の蕎麦屋が夜に別業態を追加するケースも、考え方は同じです。まず今の営業スケジュールを書き出して、何時から何時が空いているか、客席は何席使えるか、厨房設備は何があるかを一覧化してみてください。
蕎麦屋には出汁を引く設備、茹で場、カウンター席が揃っていることが多い。ラーメン営業に必要な基本設備との重なりが意外と大きいのが、蕎麦店の強みでもあります。
ステップ3:商品の核をスープだけで考えない
「ラーメンを始めるなら、まずスープ」と思いがちですが、実はここが最初の落とし穴です。長時間豚骨やガラを炊き続けるやり方は、専業のラーメン店でも負担が大きい。昼中心の蕎麦屋が夜に別業態としてラーメンを追加するなら、スープにすべてを賭ける設計は現実的ではありません。
私が山道家で実践しているのは、スープ・タレ・鶏油・麺・チャーシュー・提供方法の全体を組み合わせて「完成した一杯」を作るアプローチです。どれか一つに頼るのではなく、それぞれの要素を丁寧に調整することで、お客様に「本格的な家系ラーメン」と感じていただける一杯になります。
実際に清水の実証店舗では、こんなお声をいただいています。
「本格的な家系ラーメン」
実証店舗ご来店のお客様
スープだけで勝負しようとすると、仕込みの時間・コスト・技術のハードルが一気に上がります。全体のバランスで設計すると、小規模・少人数でも実現できる範囲が広がります。
✓ ここまでのポイント
- 「屋号を変えない」を最初の前提に置き、FC以外の選択肢から設計を始める
- 蕎麦屋の遊休時間・設備を棚卸しすると、ラーメン営業との相性が見えてくる
- スープだけに頼らず、タレ・鶏油・麺・チャーシューの全体バランスで一杯を設計する
屋号を変えずにラーメンを追加する方針は決まった。でも「仕入れ先をどう探すか」「研修は何をどこで受けるか」「オペレーションの実物がイメージできない」という部分で手が止まっている方が多いのが現実です。説明会では、レシピだけでなく仕入れ先紹介・研修・オペレーション設計まで含めた導入の全体像をお伝えしています。参加費等の詳細はページ上でご確認ください。
ステップ4:メニュー・価格・席数をシンプルに絞る
新しい業態を加えるとき、ついあれこれ詰め込みたくなります。でも、蕎麦屋の本業の仕込みと並行して別業態を回すなら、オペレーションは徹底的にシンプルにする必要があります。
おすすめは、最初は1〜2品に絞ること。家系ラーメンであれば、ラーメン・味玉・チャーシュー増しの3点で十分スタートできます。メニューが少ないほど仕込みが安定し、品質のブレが出にくい。価格は客単価900〜1,000円あたりを基準に考えると、席数が少なくても収支計算が立てやすくなります。
席数についても、最初から満席を狙う必要はありません。私の実証店舗はカウンター5席・1日3時間の営業で、月間250〜350名のお客様にご来店いただいています。5席でも収益は生まれます。「小さく始めて改善する」という順番が、結果的に一番安定した立ち上がりになることが多い。
ステップ5:屋号の見せ方と導線を決める
屋号を変えない場合、「蕎麦屋がラーメンを出している」という見せ方をどうするかが次の課題です。これは単なる看板の話ではなく、既存のお客様への説明と、新しいお客様の集め方の両方に関わります。
一つの方法は、「夜の時間帯に限定メニューとしてラーメンを提供する」という形で、今の屋号のままメニューを追加するやり方。もう一つは、夜の時間帯だけ店名の一部に「ラーメン」という言葉を加えたサブブランドを作り、SNSや店頭POPでその時間帯を案内する方法です。
どちらを選ぶにせよ、既存のお客様が混乱しないような案内をすることと、新規のお客様がラーメン目当てで検索・来店できる導線を作ることの両方が必要です。Googleビジネスプロフィールに夜の営業時間とメニューを追記するだけでも、来店の入口は大きく広がります。
ステップ6:仕入れ・研修・オペレーションを整える
「レシピさえあれば始められる」と思いがちですが、実際に動かすには仕入れ先・研修・現場のオペレーション設計まで含めて整っている必要があります。飲食店向けのラーメン導入ガイドでも書いていますが、レシピを受け取っただけで「実際に売れる状態」になるわけではない。
特に蕎麦屋の場合、出汁・麺・薬味の仕入れルートはしっかりしていても、ラーメン用の業務スープ・タレ・鶏油・ラーメン麺の仕入れは別ルートになります。開業前に仕入れ先を確保し、発注ロット・納品スケジュールを確認しておくことが欠かせません。
また、一人で蕎麦とラーメンの両方を仕込むのか、夜だけ別スタッフを入れるのかという人員計画も、この段階で具体的に決めておく必要があります。「誰がどの作業を何時にやるか」が明確でないと、開業後に現場が混乱します。
ステップ7:小さく始めて、数字で改善を繰り返す
ここまで6つのステップを整えたら、あとは実際に始めて、数字を見ながら改善するだけです。「完璧に準備してから始める」は、飲食の現場ではほぼ不可能です。お客様の反応は、実際に提供してみて初めて分かる。
最初の1〜2ヶ月は、月間客数・客単価・食材の廃棄率・仕込み時間を記録することに集中してください。そこから「何を変えると数字が改善するか」が見えてきます。小規模ランチ営業を始めるための6ステップでも同じことを書いていますが、最初の設計よりも「始めてからの改善」のほうが、最終的な結果を大きく左右します。
大切なのは、あなたのお店に合った方法を選ぶことです。5席からでも、夜の3時間だけでも、蕎麦屋の屋号を守ったままでも、新しい利益源を作ることは十分に可能です。
まとめ:蕎麦屋の「今ある強み」を活かしてラーメンを始める
蕎麦屋がラーメンを始めるための7つのステップを整理しました。
- 「屋号を変えない」を最初の前提に置く
- 遊休時間・設備を正確に棚卸しする
- スープだけでなく全体バランスで商品を設計する
- メニュー・席数・価格をシンプルに絞る
- 屋号の見せ方と集客導線を決める
- 仕入れ・研修・オペレーションを整える
- 小さく始めて数字で改善を繰り返す
フランチャイズへの加盟が唯一の選択肢ではありません。自分の屋号を守りながら、今ある店舗と設備を活かして新しい利益源を作る方法は、確かに存在します。新しく店を作るのではなく、今ある店舗を賢く使う——それがこのモデルの根っこにある考え方です。
具体的な内容について話を聞いてみたい方は、お電話でもお気軽にどうぞ。
📞 054-363-2766(山道家二毛作モデル)
「蕎麦屋の屋号を守りながら夜にラーメンを出す」という方針を7つのステップで整理しました。次のステップは、あなたの店舗の遊休時間・席数・既存設備に合わせた具体的な設計を確認することです。説明会への申込みページで、導入の流れとプランの内容を確認できます。


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