「今年こそ昼も動かしたい」と思いながら、結局また夜だけで一年が終わった——そんな経験、一度はあるのではないでしょうか。
年度の変わり目や決算期になると、「昼間の家賃がもったいない」という感覚が改めて頭をよぎる経営者の方は少なくありません。夜の売上はなんとか維持できていても、原材料費・光熱費・人件費が年々上がっていくなかで、「今の状態を続けるだけでは限界が来る」という焦りを持っている方もいると思います。
この記事では、夜営業中心の飲食店が昼間の遊休時間を活用して新しい利益源を作る「飲食店二毛作」について、仕組みと導入の手順を順を追って説明します。特に「ラーメン営業に興味はあるけれど、スープや麺のことが全然分からない」という方に向けて、具体的な商品設計の考え方までお伝えします。
こんな方におすすめ
- ✅ 夜営業中心で昼間のカウンター席や厨房が空いている方
- ✅ ラーメン営業に興味はあるが、何から始めればいいか分からない方
- ✅ スープ・タレ・麺・チャーシューの知識が全くない状態から導入を考えている方
- ✅ フランチャイズに頼らず、自分のペースで新業態を始めたい方
- ✅ 少人数・短時間から小さく試してみたい方

飲食店二毛作とは何か。まず仕組みを整理する
「二毛作」というのは、もともと農業の言葉です。同じ農地で、季節をずらして異なる作物を育てる方法のことを指します。飲食店に置き換えると、同じ店舗・同じ厨房・同じ客席を使って、時間帯をずらして別の業態を運営するというイメージです。
夜に居酒屋や焼肉店を営業している場合、昼間の11時〜14時という時間帯は、厨房も客席も何も生んでいない状態がほとんどです。でも家賃は一日分かかっています。この「空いている時間に、空いている設備で、別のメニューを出す」というのが飲食店二毛作の基本的な考え方です。
新しく店舗を借りるわけでも、大きな内装工事をするわけでもありません。今あるものを活かして、新しい利益の流れを作ることが目的です。
では、昼の業態として何を選ぶのが現実的か。定食・カレー・麺類など選択肢はいくつかありますが、家系ラーメンは特に「客単価が取れる」「ラーメン専門店としての認知を作りやすい」「席数が少なくても回転が見込める」という理由から、夜業態との相性が良いと考えています。
「ラーメンが分からない」は出発点として普通のことです
焼肉店や居酒屋を長年やってきたオーナーにとって、ラーメンは「食べたことはあるけれど作ったことはない」という世界です。スープはどこで仕入れるのか、タレとは何か、鶏油(ちーゆ)はどう使うのか、麺はどこから買えばいいのか——最初は分からないことだらけで当然です。
私自身、2009年に「侍ホルモン清水駅前店」を開業して以来、焼肉・ホルモンの世界で17年間やってきました。ラーメンを始めようと思ったとき、横浜の吉村家をはじめ多くの家系ラーメン店を食べ歩き、一杯一杯を分析するところから始めました。でも食べ歩きだけでは分からないことも多く、実際に厨房で試行錯誤して初めて見えてきたことがたくさんありました。
だから「何も知らない状態から始める」ことを、弱点だとは思わないでほしいのです。ゼロから学ぶ時間と手間をどう短縮するか、という問題だと捉えた方が建設的です。
ここで一つ、よくある誤解を整理しておきます。「本格的なラーメンを出すには、何時間もスープを炊かないといけない」という思い込みです。これが、昼営業を諦める理由の一つになっているケースをよく耳にします。
でも実際には、家系ラーメンの完成度はスープだけで決まるわけではありません。山道家では、長時間店内で豚骨やガラを炊き続ける方式ではありませんが、スープだけでなく、タレ・鶏油・麺・チャーシュー・提供方法の全体を調整することで、本格的という評価を得ています。「真面目に家系をやっていると思わせる一杯」「間違いなく正統派の家系ラーメン」という声が届いているのも、この全体設計の結果です。
✓ ここまでのポイント
- 飲食店二毛作とは、同じ店舗・厨房・客席を使って昼と夜で別業態を運営する方法
- 「ラーメンが分からない」は出発点として普通。ゼロから独学するより仕組みを導入する方が現実的
- 家系ラーメンの完成度はスープだけでは決まらない。タレ・鶏油・麺・チャーシュー・提供方法の全体設計が重要
スープ・タレ・鶏油・麺・チャーシューと、設計すべき要素が思ったより多くて「どこから手をつければいいか」と感じた方もいると思います。山道家モデルの説明ページでは、レシピ・仕入先紹介・開業研修・オペレーション設計までをどうセットで提供しているかを確認できます。
商品設計の全体像。5つの要素をどう組み立てるか
「ラーメンの作り方」を理解するために、まず一杯がどんな要素でできているかを整理してみましょう。家系ラーメンの場合、大きく分けると次の5つになります。
① スープ
豚骨と鶏をベースにした白濁スープが家系の特徴です。昼だけの営業のために数時間かけて炊くことは現実的ではないため、業務用スープを活用します。どのメーカーのどの製品を選ぶか、水との割合をどう調整するかが、味の土台を決めます。
② タレ(かえし)
スープに加える醤油ベースのタレです。家系らしいキレと深みを出すための配合は、スープとのバランスが重要です。同じスープを使っても、タレが違えば全く別の味になります。
③ 鶏油(ちーゆ)
家系ラーメン特有のコクとツヤを出す鶏の脂です。量が多すぎても少なすぎても完成度が変わります。提供直前に加えるタイミングや量も、見た目と香りに影響します。
④ 麺
家系に使う麺は、太めのストレート麺が基本です。茹で時間・茹で方・麺量の設定が、食べたときの満足感に直結します。仕入れ先の選定と、店舗の厨房設備に合わせた茹で方の確認が必要です。
⑤ チャーシュー
「チャーシューが本当に美味しい」というお客様の声を複数いただいています。チャーシューはラーメン全体の印象を大きく左右します。製法・漬けダレの配合・スライスの厚みや提供温度まで、細かい設定が大切です。
「チャーシューが本当に美味しい」
山道家 実証店舗ご来店のお客様
「家系を食べるならここ一択」
山道家 実証店舗ご来店のお客様
この5つを個別に考えるのではなく、一杯として口に入ったときのバランスを基準に全体を調整する——これが商品設計の基本的な考え方です。一つだけ良くても、他が合っていなければ完成度は下がります。
導入の手順。何から始めて、どう進めるか
「分かった、やってみたい」となったとき、実際に何をどの順番で進めればいいかを整理します。
ステップ1:店舗の状況を確認する
昼間の席数・厨房の設備・動線・スタッフの体制を書き出してみましょう。「カウンター何席が使えるか」「コンロは何口あるか」「ガス火かIHか」といった基本情報が、仕入れ先選定やオペレーション設計の出発点になります。
ステップ2:商品設計のベースを手に入れる
ゼロから配合を開発するのではなく、実店舗で検証されたレシピを導入することが最短ルートです。スープの割合・タレの配合・鶏油の量・麺の茹で時間・チャーシューの製法まで、一通りの設計図があれば、自分の厨房で再現することに集中できます。
ステップ3:仕入れ先を確保する
スープ・麺・チャーシュー用の肉・その他食材の仕入れ先を決めます。業務用スープのメーカー選定は特に重要で、複数を試して自店の設計に合うものを選ぶ必要があります。仕入れ先の紹介があると、この工程にかかる時間を大幅に短縮できます。
ステップ4:研修・試作で再現性を確認する
仕入れた素材・レシピ・調理手順を使って、実際に一杯を作ってみます。ここで「再現できるかどうか」を確かめることが大切です。一人で作れるか、2名体制が必要か、どの工程に時間がかかるかを把握します。
ステップ5:オペレーションを整える
昼営業の開始・終了・片付け・夜営業の仕込みへの移行という流れを時系列で整理します。山道家の実証店舗では、10時に準備を始め、11時から14時まで営業し、終了後に夜の仕込みへ移行する流れで運営しています。この流れを自店に合わせて調整することが、「昼営業が夜に影響しない」状態を作るポイントです。
ステップ6:小さく始める
カウンター5席・3時間・基本2名という山道家の実証モデルが示しているのは、「大きく始めなくていい」ということです。月間250〜350名のご来店、月商25万〜33万円という実績は、5席という小さな規模から生まれています。最初から満席を目指すのではなく、仕組みを回せる状態を作ることが先決です。
まとめ:分からないことを解決してから、動き出す
飲食店二毛作は、新しい店舗を作る話ではありません。今ある店舗・厨房・客席・スタッフを使って、空いている時間に新しい利益の流れを作る話です。
「スープはどう仕入れるのか」「タレはどう作るのか」「麺はどこで買えるのか」——ラーメンに関する知識がゼロの状態から始めることは、決して珍しいことではありません。大切なのは、独学で時間を使うのではなく、実店舗で検証された仕組みを活用して、できるだけ早く「実際に営業できる状態」に持っていくことです。
ラーメンを始めることが目的ではなく、利益を生み出すことが目的です。その手段として家系ラーメンが合っているかどうかも含めて、まず現状を整理してみることをおすすめします。
電話での相談も受け付けています。
054-363-2766(山道家二毛作モデル)
「5席・3時間から始められる」と分かっても、実際に自分の店舗に当てはめたときに何が必要かは、店ごとに違います。説明会では、あなたの店舗の状況をもとに導入の流れと必要な準備を具体的に確認できます。


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