「隣のテーブルの方と話が盛り上がってしまって、気づいたら閉店近くまで飲んでました」
こんなことを帰り際に笑顔で話してくださるお客様が、年に何度かいらっしゃいます。
正直に言うと、これは狙って演出しているわけではありません。ただ、お店の構造や七輪という道具の性質が、自然とそういう空間を生み出しているのだと、17年この仕事をしてきて感じるようになりました。
今日は、普段お客様にはあまりお伝えしていない、侍ホルモンという場所で起きている小さな裏話を書いてみようと思います。
こんな方におすすめ
- ✅ 一人や少人数でホルモン居酒屋に行くのが少し不安な方
- ✅ ホルモンに臭いのイメージがあって、まだ一歩踏み出せていない方
- ✅ 清水駅周辺で地元の雰囲気があるお店を探している方
- ✅ チェーン店ではなく個人店ならではの空気感を楽しみたい方
- ✅ 仕事帰りにゆっくりできる馴染みの店を見つけたい方

七輪が人をつなぐ、ちょっと不思議な理由
テーブルの中央に七輪が置かれると、人は自然とそちらに視線と意識が向きます。炭の熱を感じながら、箸を動かして、煙の流れを気にして。食事という行為が、テーブルの外に少し「漏れ出す」んです。
隣のテーブルが七輪を使っていると、焼けてくるいい香りが漂ってきます。そこに「それ、何ですか?」という会話が生まれることが、実はたまにあります。
壁のメニューを見ながら「あれ美味しいですよ」と声をかけてくださる常連のお客様。そのひと言がきっかけで、初めてご来店の方がホルモンの世界に足を踏み入れる。そういう場面を、私はカウンター越しに何度も見てきました。
七輪は「囲む」道具です。同じテーブルの人との距離が縮まるのはもちろん、お店全体の空気がどこか近くなる。それがこのお店の、言葉にしにくい居心地の良さに繋がっているのかもしれません。
実は「臭い」と思っていた方ほど、驚いてくださることが多い
ホルモンに対して「臭そう」「苦手かも」という印象をお持ちの方は、今でも少なくありません。これは決してお客様の思い込みではなく、過去にどこかで食べたホルモンが、十分な下処理をされていなかったことが原因である場合がほとんどです。
私が調理師として18年向き合ってきたのは、まさにこの「ホルモンの第一印象」の問題でもあります。
ホルモンは鮮度と下処理が命です。仕入れたその日のうちに丁寧に処理をして、適切な状態でお出しする。この工程を省いたり、手を抜いたりすることは、ホルモン専門店としてあってはならないことだと思っています。表から見えない仕込みの部分こそ、17年間ずっと変えていない部分です。
だから、「実はホルモンが苦手で…」と遠慮がちにおっしゃるお客様ほど、食べてみて「あれ、全然違う」と顔が変わる瞬間があります。その顔を見るのが、正直この仕事をしていて一番うれしい瞬間の一つです。
「地元にこんなお店があることを知らなかった」
地元在住のお客様
清水に長く住んでいても、ホルモン専門店があることを知らなかった、という方は意外と多くいらっしゃいます。清水駅西口から徒歩約1分という立地にもかかわらず、「こんな近くにあったんですね」という言葉をよく聞きます。
知ってもらえれば、来てもらえる。来てもらえれば、食べてもらえる。食べてもらえれば、きっと伝わる。そう信じてやってきた17年でした。
✓ ここまでのポイント
- 七輪という道具の特性が、テーブルを越えた自然な交流を生み出すことがある
- ホルモンの「臭い」というイメージは、鮮度と下処理の問題によるものが大きい
- 専門店ならではの仕込みの丁寧さが、初めての方の印象を変えるきっかけになっている
ホルモン好きのお客様同士が仲良くなる、もう一つの理由
七輪の話とは別に、もう一つ気づいていることがあります。
ホルモンが好きな方というのは、どこかマニアックな入口から来ている方が多い。「あの部位が好きで」「あの焼き方を覚えてから」「あそこのお店で初めて食べて」と、それぞれに自分だけのエピソードを持っています。
そういう話は、共通の「好き」を持つ人同士でないとなかなかできません。でも、ホルモン居酒屋という場所では、隣のテーブルも似たような話をしていることが多い。自然と話が合うわけです。
ご夫婦でいらっしゃったお客様が、隣の常連グループの方から「そのタレ、絶対おすすめですよ」と声をかけてもらったことがありました。その後、そのご夫婦は何度かまたお見えになって、その常連グループの方たちとも顔見知りになっていました。
こういうことは、私が意図して作り出せるものではありません。ただ、ホルモンという料理が、こういう空間を作りやすいのは確かだと感じています。
初めてのお客様が次の常連になるまで
「ホルモンって何から食べればいいんですか」という質問は、今でも毎週のようにいただきます。
その度に私や店のスタッフは、お客様の好みや食べ慣れているものを聞いた上で、最初の一皿をご提案しています。脂が苦手な方には比較的あっさりした部位から。歯ごたえが好きな方には食感が楽しめる部位から。こってりが好きな方には旨味が濃い部位から。
こうしたやり取りの中で、自然と会話が生まれます。そして次に来てくださったとき、「前に教えてもらった部位、また食べたくて」とおっしゃってくださる方がいます。そういう積み重ねが、通ってくださるお客様との関係になっていく。
ホルモンミックスボウルは、そういった「最初の一皿」をご提案しやすい構成で作っています。人気の部位を一度に食べ比べられるので、「自分はどの部位が好きか」を発見する入口として使ってもらっています。初めてご来店される方や、部位選びに迷っている方にご案内することが多い一品です(レギュラーサイズ1,780円〜)。
「ホルモンが苦手だと思っていたが好きになった」
初めてご来店されたお客様
この言葉を聞くたびに、「ちゃんと伝わっている」と思います。料理そのものの力と、下処理の丁寧さと、最初の一皿の選び方。その全部がうまく重なったときに、こういう言葉が生まれる。
まとめ|七輪を囲む時間の中にある、小さなつながり
普段、接客しながらでないとなかなか伝えられないことを、今日は少し文章にしてみました。
ホルモンが苦手だと思っていた方に「好きになった」と言ってもらえること。隣のテーブルとの会話が自然に生まれること。初めてのお客様がいつの間にか顔見知りになっていること。
こういうことは、お店の側が演出して作れるものではなく、七輪という道具と、ホルモンという料理と、そこに来てくださるお客様が自然と作り出してくれるものだと思っています。
清水駅西口から徒歩約1分。2009年から17年間、この場所で同じスタンスで営業を続けてきました。「地元にこんなお店があったんですね」という言葉を、これからも受け取り続けられるよう、仕込みも接客も続けていきます。
ホルモンが初めての方も、久しぶりの方も、いつも来てくださっている方も、ぜひまたお越しください。お席でゆっくり七輪を囲む時間を、一緒に過ごしましょう。
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