9月に入ると、夏の繁忙期が落ち着いて、「この先どう売上を作っていくか」と腰を据えて考える時期になります。昼間に店舗が空いているのに、有効活用できていない——そんな感覚を持っている経営者の方から、秋口にご相談をいただくことが増えています。
ただ、「新しいことを始める」となると、真っ先に頭をよぎるのが資金の問題です。新しく物件を取って、内装を仕上げて、設備を揃えて……という一般的な開業コースは、保証金だけで数百万円が動きます。それが難しいから手が止まっている、という方が多いのが実情です。
でも、今すでに持っている店舗・厨房・客席を使えば、その投資をほぼゼロに近い状態から始めることができます。私自身、2023年に清水駅前の「侍ホルモン」の昼間の遊休時間を使って家系ラーメンの営業を立ち上げ、現在も実際に営業しながら改善を重ねています。今回はその経験をもとに、既存店舗をラーメン店として活用するための6つのポイントを、数字を交えながらお伝えします。
こんな方におすすめ
- ✅ 新規出店の資金が確保できず、新しい事業が始められない方
- ✅ 夜営業中心で、昼間の厨房・客席が空いたままになっている方
- ✅ ランチ営業を始めたいが、看板になる商品が決まらない方
- ✅ FCの加盟金やロイヤリティを避けつつ、実績のある仕組みを導入したい方
- ✅ 小さな規模から試して、手ごたえを確認してから拡大したい方

ポイント1:「新しく作る」ではなく「今あるものを棚卸しする」から始める
新規出店の相談をする前に、まず自分の店舗を客観的に棚卸ししてみてください。チェックする項目は大きく4つです。
- 昼間(例:11時〜14時)に客席が空いているか
- 業務用のコンロ・鍋・冷蔵設備が使える状態か
- 昼の仕込みを担当できる人員が確保できるか
- 昼間の集客動線(通り沿い・駅近など)があるか
焼肉・ホルモン・焼鳥・居酒屋などの業態は、仕込みが夕方以降に集中するため、午前中から昼過ぎにかけての厨房が空いているケースがほとんどです。その時間帯に「別の業態を乗せる」という発想が、二毛作運営の出発点になります。
一般的な飲食店の新規開業費用は、物件の保証金・礼金だけで家賃の6〜12ヶ月分が必要とされています。内装・設備・サインを含めると、小規模でも500万円〜1,000万円規模になることは珍しくありません。既存店舗を使うということは、この初期投資の大部分をスキップできるということです。
ポイント2:客席数は「5席」でも収益は生まれる——実証データを見る
「席数が少ないから、ラーメン営業なんて大した売上にならないのでは」と思う方もいます。ただ、実際の数字を見てもらうのが一番わかりやすいと思うので、私の実証店舗のデータをそのままお伝えします。
- 席数:カウンター5席
- 営業時間:11:00〜14:00(3時間)
- 客単価:約950円
- 月間客数:約250〜350名
- 月商:約25万〜33万円
- 基本運営人数:2名
これはJR清水駅西口から徒歩約1分の「侍ホルモン清水駅前店」の昼の時間帯を活用した「横浜家系ラーメン山道家」の実績です。5席・3時間・2名という最小構成で、月25万〜33万円の売上が立っています。
大切なのは、この数字が「夜営業の利益に上乗せされる」という点です。家賃・光熱費・基本的な人件費の多くは夜営業でカバーされているため、昼営業で得た売上は利益に転換しやすい構造になります。新しく物件を借りて同じ規模で始めた場合、固定費が別途かかるため、同じ月商でも手元に残る金額はまったく異なります。
✓ ここまでのポイント
- 既存店舗の棚卸しをすることで、新規投資なしに使えるリソースが見えてくる
- 5席・3時間・2名という小規模構成でも、月25万〜33万円の実績は作れる
- 夜営業の固定費に昼売上を乗せる構造が、利益率を高める最大の理由
設備の棚卸しはできても、「実際にどのレシピで、どの仕入先から、どんな手順で始めるか」という具体的な部分が見えないまま止まっている方が多いです。山道家モデルの詳細ページでは、レシピ・仕入先紹介・オペレーション・開業研修をまとめてどう導入するかの全体像を確認できます。説明会への申込みフォームもあるので、まず概要だけ見てみることができます。
ポイント3:ラーメンを選ぶ理由——「売れる商品」として成立するか
昼間の業態に何を選ぶかは、経営的に重要な判断です。ここでラーメン、特に家系ラーメンを選ぶ理由を整理しておきます。
まず、客単価と回転率のバランスが良い。ランチ需要は客単価1,000円前後・滞在時間15〜25分程度が一般的で、家系ラーメンはその範囲に収まりやすい商品です。また、焼肉・ホルモン・焼鳥の店主が夜営業で培ったチャーシューの技術や食材管理の知識は、ラーメンのトッピング品質に直接活かせます。
さらに、家系ラーメンは「スープを一から長時間炊かなければ本格的に作れない」というイメージを持っている方が多いですが、それは必ずしも正確ではありません。スープだけが品質を決めるのではなく、タレ・鶏油・麺・チャーシュー・提供方法の全体バランスが「一杯の満足感」を作っています。この点については、家系ラーメン二毛作を成功させる7つのポイントでも詳しく解説しています。
ポイント4:設備と仕入れの「準備コスト」を最小化する6つの確認
既存店舗でラーメン営業を始めるにあたって、追加で必要になるものと不要なものを分けて考えることが重要です。以下の6項目を確認してください。
- 麺の茹で設備:業務用コンロがあれば基本的に代用できます。専用の麺茹で機がなくても、鍋と火力があれば対応可能です。
- スープの保温:既存の保温器・ウォーマーが流用できるか確認します。新規購入が必要な場合も、比較的低コストで準備できます。
- 器・レンゲ・箸:ラーメン専用の器は必要ですが、什器類の中で最もコストを抑えやすい部分です。
- 仕入れルート:スープ素材・麺・タレの仕入先を確保できるか。既存業者との取引がある場合、そこから横展開できることもあります。
- 昼間の人員配置:夜のスタッフが昼にシフトを組めるか、または店主一人で回せる時間帯かを確認します。
- 看板・メニュー表示:既存の看板の横に昼営業を示す告知を追加するだけでも、最初は機能します。
この6項目のうち、ゼロから用意が必要なものだけに投資が発生します。多くの既存飲食店では、この準備コストを数十万円以内に収めることが現実的です。新業態としてラーメンを始める5つの準備も参考にしてみてください。
「本格的な家系ラーメン。真面目に家系をやっていると思わせる一杯でした」
実証店舗ご来店のお客様
「チャーシューが本当に美味しい。家系を食べるならここ一択」
実証店舗ご来店のお客様
これらの声は、長時間のスープ炊きを前提としない山道家の一杯に対していただいたものです。完成した一杯の満足度は、「何時間炊いたか」ではなく、「トータルの設計がどこまで整っているか」によって決まるということを、現場で実感しています。
ポイント5:FCを選ばないという判断——ロイヤリティのない構造を選ぶ意味
ラーメンを始めようとすると、FC(フランチャイズ)の選択肢が候補に上がることがあります。FCには認知度・ブランド力・研修体制という利点がありますが、加盟金・月額ロイヤリティ・契約期間といったコスト構造が伴います。
既存店舗で昼の3時間だけ営業する場合、月商の数%を毎月支払うロイヤリティは、利益を圧迫する要因になります。月商30万円に対して仮に5%のロイヤリティがあれば、毎月1万5,000円が継続的にかかり続けます。5年で90万円です。
山道家モデルが目指しているのは、レシピ・オペレーション・仕入先・研修を一度導入したあとは、毎月の費用を発生させない構造です。「小さく始めて改善しながら育てる」というやり方には、毎月固定の費用が発生しない方が向いています。自店の屋号を守りたい方向けのオリジナルプランと、山道家のブランドをそのまま使いたい方向けのブランドプランの2つから選べる点も、FCとは異なる部分です。
家系ラーメン導入パッケージの比較ポイントについても、別記事で整理していますので参考にしてみてください。
ポイント6:「月に何万円の新しい利益を目指すか」から逆算する
既存店舗の活用を考えるとき、最初に「何の業態を始めるか」を決めようとしてしまいがちです。でも本来の順番は逆で、「月にいくらの新しい利益が欲しいか」を先に決めて、そこから逆算する方が現実的です。
たとえば「月に8万円の新しい利益が欲しい」という目標があるとします。客単価950円・原価率30%・2名人件費を差し引いたとして、月250〜350名の来客があれば届く計算になります。週5営業・1日10〜15名のペースです。清水の実証店舗では、カウンター5席・3時間という規模でこの数字に到達しています。
「うちの立地や席数では無理では」と感じる方もいると思いますが、大切なのは自分の店舗条件に合わせた目標設定と、そこへの道筋を設計することです。山道家モデルには一つの正解はなく、店舗ごとの最適解があります。一律の方法を押しつけるのではなく、あなたのお店の条件から考えることを大切にしています。
まとめ:今ある店舗は、すでに「資産」として使える
新しく事業を始めることと、新しく物件を借りることは、同じではありません。今の厨房・客席・営業時間は、使い方次第で別の収益源に変わります。
私が2023年に清水駅前の自店舗を使って始めた家系ラーメン営業は、5席・3時間・2名というミニマムな構成で現在も続いています。「間違いなく正統派の家系ラーメン」という声をいただきながら、実際の数字として月25万〜33万円の売上を積み上げています。理論ではなく、実際に稼働している店舗のデータとして受け取っていただけると思います。
まずは現在の店舗の棚卸しから始め、昼間に使える時間帯・設備・人員を確認してみてください。その確認が、新しい利益源への最初の一歩です。
個別の状況についてご相談がある場合は、お電話でもお気軽にどうぞ。
📞 054-363-2766(山道家二毛作モデル 鈴木)
「月8万円の新しい利益」という目標が現実になるかどうかは、自分の店舗条件で試算してみないと分かりません。説明会では、あなたの店舗の席数・営業時間・立地をもとに、具体的な導入の可否や進め方を一緒に整理することができます。オリジナルプランとブランドプランの違いも、ここで比較検討できます。


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