先日、焼鳥店を経営されている方からこんな相談をいただきました。「昼もやってみたいけど、何をどう売ればいいか全然見えない。ラーメンは気になってるけど、スープを炊く時間なんてどこにもない」というお話でした。
この悩み、すごくよく分かります。私自身、2009年から夜の焼肉・ホルモン店を経営してきて、昼に何かを始めようとしたとき、最初に立ちふさがったのが「スープどうするんだ」という壁でした。豚骨を何時間も炊き続ける余裕は、夜営業をしている店主には現実的にありません。夜の仕込みに影響が出れば、本業そのものが傾く。
だから私は、スープを炊くことを前提にしない方法を探し、研究し、実際に清水駅前で昼営業として形にしてきました。今回はその経験をもとに、昼営業メニューを決めるときに使える5つの基準をお伝えします。
こんな方におすすめ
- ✅ 昼間の厨房・客席が空いていて、何かを始めたい方
- ✅ ラーメンに興味はあるが、スープを炊く時間も設備もない方
- ✅ 夜営業の仕込みに支障なく、昼の新しい利益源を作りたい方
- ✅ メニュー選びの基準が分からず、踏み出せずにいる方
- ✅ 少人数・短時間でも成立する業態を探している方

基準①「仕込み時間が夜営業を圧迫しないか」
昼営業メニューを決めるうえで、まず最初に問うべきことはここです。どれだけ魅力的なメニューでも、昼の準備が夜の仕込みを削るなら意味がありません。
たとえばラーメンで考えると、「豚骨を店内で長時間炊く」という方法は、夜営業中心の飲食店には構造的に合いません。朝から数時間火を入れ続ければ、体力も時間も消費する。しかも、それが毎日続く。
私が行き着いたのは、「炊く工程を省いても、完成した一杯の満足度は作れる」という考え方です。業務用スープを軸に据え、タレ・鶏油・麺・チャーシューの組み合わせで全体を設計する。炊く時間をゼロにするのではなく、仕込みを「夜営業に影響しない範囲」に収める設計をする。これが出発点です。
昼に何を売るかより先に、「夜に何を守るか」を決める。そのうえでメニューを選ぶのが正しい順番です。
基準②「スープ以外の要素で商品の価値が作れるか」
「スープが命」という言葉はラーメン業界ではよく聞きます。でも、お客様が「美味しい」と感じる体験はスープだけで決まっているわけではありません。
山道家では、スープ・タレ・鶏油・麺・チャーシュー・提供方法を総合的に設計することで、「本格的」という評価を実際に得ています。
「チャーシューが本当に美味しい」
実証店舗へのお客様の声
この声が教えてくれることは、スープ以外の要素がお客様の評価を形成するということです。チャーシューの火入れ・味付け・食感は、スープを長時間炊かなくても磨くことができます。タレの塩加減、鶏油の香り、麺の食感とのバランス。これらをひとつひとつ調整することで、「間違いなく正統派」という評価につながる一杯は作れます。
昼営業メニューを選ぶとき、「どの要素で価値を作るか」を事前に整理しておくことが重要です。スープが難しければ、他の要素で勝負できるメニュー構成を選ぶ。これが2つ目の基準です。
基準③「少ない席数・短い時間でも成立するか」
夜の飲食店が昼に使える席数は、多くの場合カウンター数席程度です。テーブルを全部使える状況は少なく、実際には限られたスペースでの営業になります。
山道家の実証店舗はカウンター5席、営業時間は11時〜14時の3時間です。この規模で月間250〜350名、月商は25万〜33万円という実績があります(営業日数や季節によって変動します)。
重要なのは「5席・3時間という制約でも収益は生まれる」という事実です。これは、メニューの単価・回転率・オペレーションがセットで設計されているから成立しています。
昼営業メニューを考えるとき、「この席数・この時間でも回るか」を確認しておくことが必要です。大人数対応が前提の料理、仕込みが複雑で一人では回せない料理は、小規模昼営業には向きません。シンプルなオペレーションで、少人数でも提供できる設計かどうかを確認することが3つ目の基準です。
昼営業を追加したときの稼働率の変化について詳しく知りたい方はこちらもあわせて読んでみてください。
✓ ここまでのポイント
- 昼のメニュー選びは「夜営業を守れるか」から逆算する
- スープ以外の要素(タレ・鶏油・麺・チャーシュー)でも商品の満足度は作れる
- 5席・3時間という小規模設定でも、設計次第で収益は生まれる
スープ以外の要素で価値を作れると分かっても、「実際にどう仕入れて、どう組み合わせるか」の具体的な手順が手元にないと、現場では動けません。山道家モデルの詳細ページでは、タレ・鶏油・麺・チャーシューを含むレシピ構成と仕入先の考え方、開業研修の内容を確認できます。
基準④「客単価と回転数のバランスが取れるか」
昼営業は夜に比べて営業時間が短く、客単価も下がりやすい。だからこそ、単価と回転数のバランスを最初に計算しておく必要があります。
山道家の場合、客単価は約950円です。5席で1日2〜3回転すれば、1日の売上はおよそ9,500〜14,250円になります。この水準を安定させるために、提供時間・調理手順・盛り付けをすべてシンプルに整えています。
高単価のメニューを時間をかけて提供するより、適切な単価のメニューをスムーズに出せる設計のほうが、昼の短時間営業には合っています。「美味しい」と「早く出せる」の両立が、昼営業の継続に直結します。
メニューを決める段階で、「一杯あたりの提供時間」「一人でも二人でも対応できる手順か」「単価と席数の掛け算で採算が取れるか」を試算しておくことが重要です。
なお、昼営業が家賃回収にどう機能するかという観点で整理した記事も書いていますので、収益の見通しを立てたい方はあわせて確認してみてください。
基準⑤「今ある設備・仕入れ先で始められるか」
新しく何かを始めるとき、「設備を揃えるところから」と考えると、費用と時間が膨らみます。でも昼営業の強みは、今ある厨房・客席・道具をそのまま使える点にあります。
家系ラーメンであれば、大型の専用設備は基本的に必要ありません。鍋・寸胴・ガスコンロといった既存の厨房設備で対応できます。業務用スープの仕入れ先さえ確保すれば、スープ炊きの設備投資は不要です。
「新しく店を作るのではなく、今ある店舗を活かす」という考え方は、初期費用を抑えるだけでなく、失敗したときのリスクも小さくします。すでに支払っている家賃・光熱費・人件費の中で昼営業を回せれば、固定費の回収という観点でも意味が出てきます。
メニューを選ぶ最後の基準は、「今持っているもので始められるか」です。新たな投資ありきではなく、現状の資産から逆算して選ぶ。これが昼営業を継続させるうえで最も現実的な判断基準だと考えています。
昼営業を始めることで夜営業に影響が出るのかどうかを気にしている方は、この記事も参考にしてください。実際の営業現場での経験をもとにまとめています。
まとめ:メニューを決める前に「制約」を整理する
昼営業のメニュー選びは、何が売れそうかより先に、「自分の店の制約」を整理するところから始まります。夜営業に影響しない仕込みか、少ない席数と短い時間で回るか、今ある設備で始められるか。この順番で考えると、候補は自然に絞られてきます。
スープを長時間炊けないことは、昼営業をあきらめる理由にはなりません。タレ・鶏油・麺・チャーシュー・提供方法の全体を設計することで、お客様に「本格的」と感じてもらえる一杯は作れます。それは私自身が静岡市清水区の実店舗で、今も営業しながら確認し続けていることです。
何から手をつければいいか迷っている方、まずはお電話でのご相談も受け付けています。
📞 054-363-2766
5つの基準を整理したところで、次に必要なのは「自分の店に当てはめたときに何が課題になるか」を洗い出すことです。山道家モデルの説明会では、席数・営業時間・仕込み体制を踏まえた個別の相談ができます。加盟金もロイヤリティも不要な仕組みで、何から始めるかを一緒に考えます。


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