梅雨が明けると、清水港のほうから潮の風が吹いてくる季節になります。毎年この時期になると、昼の仕込みをしながら「今日もきつそうだな」と思うお客様の顔が浮かぶんです。配送のドライバーさん、建設現場の職人さん、炎天下を歩き回る営業マンの方——体を使って午前中を乗り切った人たちが、汗を拭きながら暖簾をくぐってくれる。そういう光景がこの店の日常です。
今日は少し、普段あまり話していないことを書こうと思います。「ライス無料」という山道家のサービス、実は何気なくやっているわけじゃないんです。そこには、厨房に立ち続けてきた自分なりの理由があります。
こんな方におすすめ
- ✅ 仕事で体を使うので昼はガッツリ食べたい方
- ✅ 山道家のライス無料がなぜ続いているのか気になる方
- ✅ 清水駅周辺でコスパの良いランチを探している方
- ✅ 家系ラーメンを食べたことがない・入りにくいと感じている方
- ✅ 短い昼休みでしっかり満腹になりたい方

「おかわりできますか?」から始まった話
山道家を立ち上げてしばらく経ったころ、工事現場の帰りだという30代くらいの男性が来てくれたことがありました。ラーメンを食べ終えて、少し間を置いてから「ライスってもう一杯もらえますか?」と遠慮がちに聞いてくれたんです。
その顔を見て、すぐに持っていきました。ただ、帰り際にふと思ったんです——こういう人が遠慮なく満腹になれる店にしたいな、と。それがライス無料を「ルール」として定めた直接のきっかけかもしれません。
もともと自分は2009年から居酒屋「侍ホルモン清水駅前店」を経営していて、肉体労働の方や職人気質のお客様とは長い付き合いがあります。夜に来てくれる方たちと話していると、「昼に使える店が少ない」「コンビニに飽きた」という声がちょくちょく出てきていた。それで昼営業として山道家を立ち上げたわけですが、ターゲットは最初からはっきりしていました——午前中に体を動かして、午後もまだ仕事が残っている人たちです。
体力仕事の昼食に、ライスは「贅沢」じゃなくて「必要」なんです
ラーメンは汁物です。麺があってスープがあって、食べごたえはありますが、カロリーの密度という点でいうとごはんには及ばない。特に現場仕事や配送の方は、午後にまた体を動かす必要がある。「ラーメン一杯で足りるかな」と不安に思ったまま食事を終えてほしくないんです。
ライスを一緒に食べることで、スープや味付け海苔との相性が生まれて、食べ方の幅が広がります。海苔でライスを巻いて食べる、スープにちょっと浸して食べる——これは家系ラーメンを食べ慣れた人なら自然とやっていること。でも初めて来る方には少し敷居が高かったりする。ライスが無料でテーブルにあれば、自然とそういう食べ方を試してみようという気になる。「思ったより食べやすい」という声をいただくこともあって、それがまたうれしいんですよね。
ライスを有料にするかどうかは、正直、経営面だけ考えると悩む部分もあります。でも「今日もしっかり食べられた」と思ってもらえることのほうが、長い目で見ると大事だと判断しています。17年以上飲食店をやってきた中で、そういう積み重ねが常連さんとの信頼になってきたので。
✓ ここまでのポイント
- ライス無料は「遠慮なく満腹になれる店にしたい」という実体験から生まれたサービス
- 体力仕事の人にとってライスは贅沢品ではなく、午後を乗り切るための必要なエネルギー源
- 海苔やスープとの組み合わせで食べ方の幅が広がり、家系が初めての人も楽しみやすくなる
ライス無料を支えている、スープへのこだわり
ライス無料が機能するには、一緒に食べて「合う」スープでなければなりません。ここが実は重要なポイントで、山道家のスープは豚骨と鶏ガラを合わせて炊いています。濃度はありますが、くどくない。ライスをそのまま口に入れても、スープを少し含ませても、どちらでもちょうど良い塩梅になるように調整しています。
チャーシューは豚肩ロースを使い、低温調理のあとにスモーカーで燻製にしています。この工程が手間なのは間違いないですが、肉の旨みを残しながら香りを加えることで、ライスとの相性がぐっと上がる。「チャーシューが美味しかった」という声と「ライス無料が嬉しい」という声が同じお客様から返ってくることが多いのは、たぶんそういう理由だと思っています。
昼営業専門でやっているからこそ、仕込みに集中できる面もあります。夜のホルモン営業とは使う時間帯が分かれているので、スープもチャーシューも丁寧に準備できる。居酒屋の設備を昼に活用するモデルは、コスト面だけでなく品質面でも自分には合っていると感じています。
「ライス無料が嬉しい」
30代・男性(配送業)
「一杯950円」の中に込めていること
ラーメン800円、トッピングを加えても合計950円前後。清水駅から歩いて1分の場所でこの価格帯でやっていることを、「安いね」と言ってくださる方もいます。でも自分としては「安く抑えた」というより、「これが働く人のランチとして適切な価格帯だ」という感覚でいます。
ライスを無料にしているのも同じ考え方で、「ちょっとだけおなかが空いたままで午後に向かわせたくない」という気持ちの表れです。席はカウンター5席だけで、スペースも決して広くはない。でも、さっと座って、しっかり食べて、短い昼休みに間に合う——そういう体験を届けることに徹しています。提供が早いという声もいただいていますが、それも意識してやっていることです。
駅近で昼だけ、シンプルに。ごちゃごちゃしていない分、来てくださった方に「また来たいな」と思ってもらえるかどうかに全力を注げます。
まとめ:ライス無料は、働く皆さまへの「当たり前」にしたかった
長々と書きましたが、一番伝えたかったのはシンプルなことです。体を使って働いている人が、昼休みに遠慮なくお腹いっぱい食べられる——それを「特別サービス」ではなく「この店に来たら普通にそうなる」という状態にしたかった。ライス無料はその考えを形にしたものです。
清水駅西口から歩いてすぐ、火曜日から日曜日の11時から14時のみの営業です。一人でふらっと来ていただいて構いません。初めての方でも、迷ったらまずラーメンとライスを一緒に頼んでみてください。それが山道家の基本形です。
詳しいメニューや営業カレンダーは以下からご確認いただけます。お気軽にどうぞ。
日々の仕込みの様子やメニューの写真はInstagramにも載せています。来店前にのぞいてみてください。

