七輪を目の前に置かれたとき、「どこで焼けばいいの?」「焦げたらどうしよう」と戸惑ったことはありませんか?
実は私自身、調理師として料理の世界に入ったばかりの頃、七輪の扱いに苦手意識がありました。ガスコンロなら火力の調節がボタン一つで済みますが、炭火はそうはいきません。思ったように火が安定しない。強すぎると焦げる。弱すぎると旨味が逃げる。「炭火ってなんてやっかいなんだ」と感じていた時期が、正直あったんです。
でも、ホルモンと向き合ううちに気づいたことがあります。七輪の炭火は「制御するもの」ではなく、「付き合うもの」だということ。その考え方が変わってから、七輪で焼く時間がまったく別のものに見えてきました。
今回は、七輪焼きを囲む時間をもっと楽しんでいただくための基本的な知識を、私の経験を交えながらお伝えしていきます。
こんな方におすすめ
- ✅ 七輪焼きの楽しみ方がよくわからない方
- ✅ 炭火の火加減に戸惑った経験がある方
- ✅ ホルモンを七輪で焼いてみたいけれど、焼き方に自信がない方
- ✅ 地元で長く通えるホルモン焼き居酒屋を探している方
- ✅ 食事の時間そのものをもっとゆったり楽しみたい方

七輪との向き合い方が変わった、あの夜のこと
2009年に清水駅前で侍ホルモンを開いてから、しばらくの間は「いかに早く・きれいに仕上げるか」ばかりを考えていました。厨房での感覚でいうと、時間のかかる調理は効率が悪い。炭火もどこか、そういう目で見ていたんです。
転機になったのは、ある常連のお客様の一言でした。仕事帰りによく来てくれていた60代の男性で、七輪の前でじっくりとホルモンを焼きながら、「この時間が好きなんだよな」とひとりごとのようにつぶやいたんです。
焼けるのを待ちながら、炭の音を聞きながら、隣に座った同僚と話す。急かされることもなく、自分のペースで肉を焼いて食べる。その方にとって七輪の前に座る時間は、料理を待つ時間ではなく、食事そのものだったわけです。
それ以来、私のなかで「七輪の使い方」への意識が変わりました。お客様にお出しするときの案内の仕方も、少しずつ変えていきました。
七輪の「強火ゾーン」と「弱火ゾーン」の使い分けが頭に入ったところで、「実際にどの部位から焼けばいいか」という次の疑問が出てくるはずです。当店のメニューページでは、ホルモンや和牛の各メニューを事前に確認できるので、来店前に「今日はこれを焼いてみよう」とイメージしてからいらっしゃる方も多いです。予約なしでも気軽に眺めてみてください。
炭火の「強火ゾーン」と「弱火ゾーン」を使い分ける
七輪を初めて使う方から一番よく聞くのが、「どこで焼けばいいかわからない」という声です。これ、実はとても自然な疑問です。
炭火の七輪には、ガスコンロのように均一な火力はありません。でもそれが、逆に使いやすさにつながっています。炭の真上が最も火力が強く、端にいくほど穏やかな熱になります。この「強火ゾーン」と「弱火ゾーン」を意識するだけで、焼き方の幅がぐっと広がります。
たとえば、脂が多いホルモンは最初に強火ゾーンで表面をさっと焼いて、その後は端のほうでじっくり火を通すのがおすすめです。脂がほどよく落ちて、中はやわらかく仕上がります。逆に、脂が少ない部位や薄切りの肉は、強火で手早く焼いたほうが旨味が閉じ込められます。
部位によって焼き方を変える。この「使い分け」を知ったとき、七輪の前に座ることが、ちょっとした調理体験になります。お客様がそれを楽しんでいる様子を見るのが、私はとても好きです。
「焼きすぎない」がホルモンをおいしくするコツ
ホルモンが苦手という方のなかには、過去に「硬くてゴムみたいだった」という経験をお持ちの方も少なくありません。原因のひとつが、焼きすぎです。
ホルモンは、火を入れすぎると急速に水分と脂が飛んで、食感がかたくなります。適切に下処理されたホルモンを、七輪の炭火でちょうどいい加減に焼くと、脂がとろっと溶けて、内側からじゅわっと旨味が広がります。この焼き加減を自分で見つけていくのが、七輪の醍醐味です。
当店に初めてご来店された方には、どのタイミングで返すか、どんな色になったら食べ頃かを、できる限りお伝えするようにしています。「焼き方を教えてもらったら、一気に楽しくなった」という声をいただくことも多く、そのたびにこうして伝え続けてきてよかったと感じています。
「七輪で焼くホルモンが想像以上に美味しかった」
ご来店いただいたお客様より
この声を聞くたびに、七輪という道具の持つ力を改めて実感します。炭の遠赤外線がじっくりと素材に火を通すことで、フライパンやガス火では出しにくい焼き上がりになる。それは、機械的に説明するより、実際に七輪の前に座って焼いてみることで感じていただけるものだと思っています。
✓ ここまでのポイント
- 七輪には「強火ゾーン」と「弱火ゾーン」があり、部位によって使い分けると焼き方の幅が広がる
- ホルモンは焼きすぎないことが、やわらかくジューシーな食感につながる
- 七輪を「待つ時間」ではなく「楽しむ時間」と捉えると、食事の体験がまるで変わる
「焼き方を教えてもらったら一気に楽しくなった」という声を紹介しましたが、初めての方こそ席についてからの最初のひと言が肝心です。ホットペッパーグルメの予約ページでは席のご希望なども事前に伝えられるので、「七輪を囲みながらゆっくりしたい」という雰囲気のご要望も書き添えていただけます。
七輪を囲む時間が、「また来たい」につながる理由
清水駅西口から歩いて1分ほどの場所で店を開けて、今年で17年になります。最初から常連のお客様がいたわけではありません。一人一人のお客様と、七輪の前で少しずつ会話を重ねてきた積み重ねが、今につながっていると感じています。
七輪を囲む時間には、独特のゆったりとした空気があります。焼けるのを待つ間に話が弾む。「これ、どう焼くのが一番おいしい?」と聞いてくださるお客様に答えながら、気づけばホルモンの話、仕事の話、清水の話へと広がっていく。その会話のなかで「また来ます」という言葉が生まれることが、私にとっていちばんうれしい瞬間です。
食事の時間は、料理を食べるだけではありません。七輪を囲みながら話をして、炭の音を聞きながらビールを飲んで、その場の空気ごと楽しんでいただく。そういう時間を提供したくて、ガスではなく炭火の七輪にこだわり続けています。
初めてホルモンを食べる方には、まず人気の部位をバランスよく盛り合わせたホルモンミックスボウルをお勧めすることが多いです。一度にいくつかの部位を七輪で焼き比べながら、「これが好き」「次はあれを頼んでみよう」という会話が自然に生まれます。その流れが、次の来店のきっかけになってくれることも多いと感じています。
まとめ:七輪の前に座ることから始まる、長く通える店との縁
七輪焼きの楽しみ方は、ひとつのやり方に決まっているわけではありません。強火で一気に焼いてみる日もあれば、弱火でじっくり向き合う日もある。その日の気分や、誰と来るか、何を飲んでいるかによっても変わってきます。
大切なのは、七輪の前に座る時間そのものを楽しむこと。料理の仕上がりを「待つ」のではなく、焼く過程を「楽しむ」感覚で向き合ってみてください。そうすると、七輪が急に身近な道具に見えてきます。
清水駅前で17年間、炭火七輪にこだわってきたのは、その時間の楽しさを伝えたかったからです。初めての方でも、七輪の使い方や焼き加減について気軽に聞いていただければ、丁寧にご案内します。一度ご来店いただければ、七輪の前での時間がどんなものかを、実際に体感していただけると思っています。
ご予約やご来店前のご相談は、お電話でも承っています。
📞 054-363-2766(火〜土 17:30〜23:00/日・祝 17:30〜22:00/月曜定休)
七輪を「待つ時間」ではなく「楽しむ時間」と捉えると食事の体験がまるで変わる、というのがこの記事でお伝えしたかったことです。その体験を実際に味わいたい方は、清水駅西口から徒歩1分の侍ホルモンへどうぞ。ご予約いただければ、初めての方にも焼き方をご案内しながらお迎えします。


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