先日、焼肉店を経営されているオーナーから、こんな相談をいただきました。「週末はかなり入るし、売上は悪くない。でも月末に通帳を見ると、ほとんど残っていない。何がいけないんでしょうか」と。
正直、私も同じ問いを自分自身に投げかけた時期がありました。2009年から「侍ホルモン清水駅前店」を経営してきて、夜の焼肉・ホルモン営業は順調なときでも、原価・人件費・光熱費・家賃をすべて引き終えると、手元に残る額が思っていたより少ない。売上を見て安心していたのに、利益を見て現実を知る、という繰り返しでした。
この記事では、「売上はあるのに儲からない」という状態の正体を掘り下げ、私自身が実際に取り組んできた考え方と打ち手をお伝えします。
こんな方におすすめ
- ✅ 夜営業の売上はあるのに利益が残らないと感じている飲食店オーナー
- ✅ 原材料費・人件費・光熱費の上昇が利益を圧迫していると感じている方
- ✅ 昼間に店舗や厨房が空いているが、何をすべきか分からない経営者
- ✅ 新規出店ではなく、今ある店舗を活かして収益を増やしたい方
- ✅ 固定費の回収効率を改善したいと考えている小規模飲食店の店主

「売上が上がれば解決する」は本当ですか?
売上はあるのに儲からない飲食店で最初に起きていることは、「売上と利益を混同している」ことではなく、「売上を増やす努力だけをしている」ことだと思います。
夜の客数を増やすための販促、メニュー改訂、SNS投稿。どれも間違いではありませんが、売上を10万円増やしても、それに連動して原価・スタッフの残業代・光熱費が増えれば、手元に残る利益は思ったより少ない。売上という数字を追いかけているうちに、固定費の重さを見落とすことがあります。
私が気づいたのは、「売上を増やす」と「利益を増やす」は、取り組み方がまるで違うということです。利益を増やすためには、今すでに発生しているコストを、もっと長い時間にわたって回収する仕組みが必要です。
固定費が「夜だけ」を圧迫している、とはどういうことですか?
飲食店の固定費の中で、最も重いのが家賃です。これは月額で発生しますが、実際に店舗を使っている時間は、夜営業中心であれば1日のうちせいぜい5〜6時間程度です。残り18〜19時間は、店舗は閉まっている。
家賃は営業時間に関係なく請求されます。厨房も、冷蔵設備も、客席も、昼間は何も生み出していないのに、費用だけは一日分かかっている。これが「固定費を昼間に回収できていない」という状態です。
夜の売上が、夜だけのコストを回収しているように見えて、実は朝から夜まで発生しているコストを、夜の数時間だけで全部回収しようとしている。その構造的な重さが、「売上はあるのに儲からない」という感覚の正体だと私は考えています。
これは、努力が足りないとか、商品力が低いとかいう話ではありません。昼間という時間帯を収益に変えていないという、構造的な問題です。
✓ ここまでのポイント
- 売上を増やすだけでは、連動してコストも増えるため利益が残りにくい
- 家賃などの固定費は昼間も発生しているのに、夜営業だけで全額を回収しようとする構造が利益を圧迫している
- 「儲からない」の正体は努力不足ではなく、店舗の稼働時間の短さにある
昼間の遊休時間を「利益源」に変えるには、何から考えればいいですか?
「昼営業を増やせばいい」と聞くと、「何を売ればいいか分からない」「仕込みが増えて夜に影響する」「スタッフが足りない」という不安が先に来る方が多いと思います。私も最初はそうでした。
私が実際に選んだのは、家系ラーメンでした。夜に使っていないカウンター席を活かし、11時から14時の3時間だけ、ラーメン営業を始める。そのために新しい物件を借りるのではなく、すでに持っている厨房と客席をそのまま使う。
最初に考えたのは、どれだけ夜営業の負担にならずに昼を回せるか、という点です。長時間スープを炊くことは現実的ではない。仕込みが増えれば夜の体力が削られる。だから、業務用のスープをベースにしながら、タレ・鶏油・麺・チャーシュー・提供方法の全体をどう組み合わせれば、お客様に満足してもらえる一杯になるかを徹底的に研究しました。
試行錯誤を重ねた結果、今の山道家では長時間店内で豚骨やガラを炊き続ける方式を取っていませんが、スープだけでなく、タレ・鶏油・麺・チャーシュー・提供方法の全体を調整することで、実際のお客様から「本格的な家系ラーメン」「真面目に家系をやっていると思わせる一杯」「間違いなく正統派の家系ラーメン」という声をいただいています。
「チャーシューが本当に美味しい」
実証店舗ご来店のお客様
「家系を食べるならここ一択」
実証店舗ご来店のお客様
大切なのは、「店炊きかどうか」ではなく、「お客様が満足できる一杯かどうか」です。素材や工程の一つひとつに根拠を持ち、全体のバランスとして完成させる。その考え方が、実際の評価につながっています。
実際にどのくらいの規模から始められますか?
私の実証店舗では、カウンター5席・営業時間11時〜14時・基本2名で運営しています。客単価は約950円、月間客数は約250〜350名、月商にすると約25万〜33万円という実績です。
5席という数字を見て「小さすぎる」と感じる方もいるかもしれません。ただ、これは「どのくらい小さく始められるか」の基準として考えてください。夜の焼肉店やホルモン店のカウンター席が5席空いているだけで、この規模は十分に実現できます。
重要なのは月商の数字そのものより、「昼間に何も生み出していなかった時間が、利益を生む時間に変わった」という事実です。家賃は今まで通り払い続けている。スタッフも既存のシフトの中で回せる。新しく物件を借りていない。その上で、月に数十万円の売上が加わる。固定費の回収効率が上がれば、夜の利益の残り方も変わってきます。
「5席だけでも収益は生まれます」というのは、私が実際に運営して確かめたことです。理想論ではなく、今日も清水駅前で営業している実証店舗の話です。
「新しく始めること」と「賢く始めること」は、何が違いますか?
「昼営業を始めよう」と決めた経営者が最初に考えることは、多くの場合「何を売るか」です。でも、その前に整理しておくべきことがあります。
まず、今ある店舗の何が使えるか。厨房・冷蔵設備・客席・入り口・換気。夜営業のために整えてきたものが、昼営業でもそのまま使えるかどうかを確認します。次に、夜の仕込みや体力に影響しないオペレーションを設計できるか。昼が終わって片付けて、そのまま夜の仕込みに入れる動線が作れるかどうかです。
この二つが整って初めて、「何を売るか」の話になります。商品だけ先に決めても、オペレーションが夜に影響するようでは、長続きしません。新しく始めるのではなく、賢く始める、という順番の話です。
山道家モデルでは、レシピや仕入先の紹介だけでなく、こうしたオペレーション設計の部分も含めて、店舗ごとの状況に合わせた導入をサポートしています。一律の答えを押し付けるのではなく、あなたのお店に合った方法を一緒に考えるのが、私たちのやり方です。
まとめ:「売上があるのに儲からない」を解くための出発点
売上はあるのに利益が残らない飲食店には、多くの場合、昼間の店舗・厨房・客席が何も生み出していないという共通点があります。固定費は一日分発生しているのに、収益を生む時間が夜だけに限られている。その構造を変えることが、利益改善の出発点です。
客数を増やすことだけを目指すのではなく、営業時間そのものを利益へ変える。今ある店舗を活かして、小さく始める。その考え方が、私が17年間の飲食店経営を通じて行き着いた答えです。
「昼間の時間をどう使えばいいか分からない」「ラーメンに興味はあるけれど、何から始めればいいか」という段階でも、ぜひ一度ご相談ください。あなたのお店の状況を聞いた上で、現実的な選択肢をお伝えします。
お電話でのご相談も歓迎しています。まずは気軽にお話しください。
054-363-2766


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