ラーメンのトッピングとして当たり前のように丼の上に乗っているチャーシュー。でも「どうやって作られているんだろう」と気にしたことはありますか? 食べ終わったあとに「今日のチャーシュー、なんか違うな」とふと思ったことがあるなら、その直感は正しいかもしれません。仕込みの手間次第で、チャーシューの味は大きく変わります。
今回は静岡市清水区・JR清水駅西口から徒歩約1分の場所にある「横浜家系ラーメン 山道家」の店主・鈴木諭が、燻製チャーシュー完成までの工程を一日密着形式でお届けします。仕事で体をフルに使う働く皆さまに「ガッツリ食べて午後も頑張れる」一杯を届けるために、厨房の裏側で何が起きているのか、包み隠さずご紹介します。
こんな方におすすめ
- ✅ ガッツリ食べて午後の仕事も乗り切りたい方
- ✅ チャーシューがどうやって作られているか気になる方
- ✅ 清水駅周辺で満足感のあるランチを探している方
- ✅ 山道家のこだわりや仕込みの裏側を知りたい方
- ✅ 家系ラーメンを初めて食べてみようか迷っている方

朝いちばん——仕込みはまだ誰もいない厨房から始まる
「侍ホルモン清水駅前店」の夜営業が終わってから翌朝まで、厨房はしばし静かな時間を過ごします。そして朝、私が最初に手をつけるのはチャーシュー用の豚肩ロースを冷蔵から出すことです。冷たいまま仕込みに入ると肉の芯まで火が通るタイミングがズレるので、まず常温に戻す時間を確保します。この「待ち」の時間も仕込みの一部です。
豚肩ロースを選んでいるのは、適度な脂のサシがあって食べ応えがあるから。会社員や現場仕事の方が昼に来てくれたとき、「食べた」という充実感を感じてほしい。そのためには、とにかく肉のボリューム感と旨みが重要なんです。
下味から低温調理へ——手間をかけるほど旨みが深まる
常温に戻した豚肩ロースに、まずタレを丁寧に揉み込みます。表面だけでなく、肉の繊維の間にもしっかり浸透させるイメージで。タレの配合は公開できませんが、何度も試行錯誤して今の比率に落ち着きました。
タレを揉み込んだ後は、低温調理器を使ってじっくり火入れをします。高温で一気に焼くと肉が締まって硬くなる。低温でゆっくり時間をかけることで、肉本来の柔らかさと旨みを引き出せます。仕上がりまでにそれなりの時間がかかりますが、ここを急ごうとすると食感と味がまったく変わってしまう。「早く終わらせたい」という気持ちが出たら負けだと思っています。
17年以上飲食の世界にいて気づいたのは、手間をショートカットしたものはお客様に必ず伝わるということ。それは理屈ではなく、口が感じ取るんです。
仕上げはスモーカーで——「燻製」が山道家のチャーシューを特別にする
低温調理が終わったら、次はスモーカーを使った燻製工程に入ります。ここが山道家のチャーシューで一番こだわっている部分です。
燻製をかけることで、表面に香ばしいスモークの香りとほんのりした焦げ色がつきます。豚骨と鶏ガラを合わせた濃厚なスープとの相性を考えたとき、チャーシューにも香りの奥行きが欲しかった。スープだけで完結させず、トッピングのチャーシューが丼全体の味を底上げしてくれるような設計を目指しています。
燻製の時間や温度管理はその日の肉の状態によって微調整します。「毎回同じにやればいい」というわけにはいかない。肉は生きもの(だったもの)ですから、気温や湿度によっても変わってくる。この感覚は、正直マニュアルには書けません。
✓ ここまでのポイント
- 豚肩ロースを常温に戻す「待ち時間」から仕込みはすでに始まっている
- 低温調理とスモーカーを組み合わせることで、柔らかさと香りの両方を実現している
- 毎回の微調整が、食べた人に「また来たい」と思わせる差になる
開店前——スープと麺の準備、そして「あの一言」が支えになっている
チャーシューの仕込みが一段落したら、スープの仕上げと麺の確認に移ります。豚骨と鶏ガラを合わせたスープは、時間をかけて炊き出したもの。営業直前にもう一度状態を確認して、必要なら火加減を調整します。
11時の開店に向けてカウンターを整えているとき、ふと先日来てくれたお客様の言葉を思い出します。
「ライス無料が嬉しい」
30代・男性(建設業)
この言葉、シンプルだけど僕にはすごく刺さります。体を使う仕事をしている人は、ラーメン一杯では足りないこともある。白いご飯と一緒に食べることで、本当の意味での「腹いっぱい」になれる。ライスを無料にしているのはサービスのためだけじゃなく、「ちゃんと食べてほしい」という気持ちからです。午後の仕事も、腹が満ちていれば頑張れるから。
完成したチャーシューが丼に乗るまで——仕事帰りの一杯を思いながら
スモーカーから出てきたチャーシューは、営業が始まるまでに適切な厚みにカットします。薄すぎると食べ応えがなくなる。厚すぎると麺とのバランスが崩れる。毎回同じ厚みに切るためのガイドはあるけれど、最後は手の感覚です。
「今日も現場に出てきたんだろうな」「昼休みが短い中で来てくれたんだろうな」と、来てくれるお客様の顔を思いながら切っていると、不思議と丁寧さが増します。チャーシューに限らず、何のためにこれをやっているかを忘れないことが、飲食の仕事を長く続けるコツだと思っています。
清水駅西口から徒歩約1分という場所で、カウンター5席の小さな店です。席数は少ないけれど、その分一杯一杯にちゃんと向き合える。燻製チャーシューが丼に乗るまでの工程を知ってもらえたなら、次に食べるときに少し違う感じ方ができるかもしれません。
まとめ——仕込みに手を抜かないのは、来てくれる人がいるから
チャーシューが完成するまでの工程を振り返ってみると、「待つ」「調整する」「感じ取る」の繰り返しだと気づきます。効率化できる部分は限られていて、手間を惜しんだらそのまま味に出る。それが飲食の世界の正直なところです。
清水区で働く皆さまが「今日もガッツリ食べて午後も頑張ろう」と思えるような一杯を出し続けることが、山道家を始めた理由でもあります。ライス無料で腹いっぱい食べてもらって、職場に戻って元気に仕事してほしい。そのための仕込みを、これからも続けていきます。
清水駅にお越しの際は、ぜひカウンターに顔を出してください。火曜〜日曜の11時から14時まで営業しています。詳しい情報は以下からどうぞ。
仕込みの様子や日々の厨房の風景は、Instagramでも発信しています。ぜひのぞいてみてください。

