ラーメン店のチャーシューを、ただの「トッピング」だと思っていませんか? 実は、一枚のチャーシューが完成するまでに最低でも丸一日以上の時間がかかっています。スープやタレと同じように、チャーシューもまた「一杯のラーメン」を支える大切な柱。今回は、静岡市清水区で昼営業専門の横浜家系ラーメンを提供している「山道家」の店主・鈴木諭(50歳)に、チャーシューが完成するまでの一日に密着しました。
居酒屋「侍ホルモン清水駅前店」を2009年に創業して以来、17年以上にわたって飲食店を経営してきた鈴木さん。その経験と目利きが、山道家のチャーシューにぎゅっと詰まっています。
こんな方におすすめ
- ✅ 山道家のチャーシューのこだわりを知りたい方
- ✅ 家系ラーメンのトッピングに何が使われているか気になる方
- ✅ 清水駅周辺でランチ探しをしている方
- ✅ 燻製チャーシューに興味がある方
- ✅ 働く人が通える「行きつけの一杯」を探している方

前日夜からはじまる仕込み――肉と向き合う時間
実は、チャーシューの仕込みは営業日の前日夜からスタートしています。鈴木さんが最初に行うのは、豚肩ロースの下処理。余分な脂をトリミングし、表面をしっかり焼いて香ばしさを閉じ込めます。
「タレに漬け込む前の焼き付けが大事でね。ここをさぼると、全体の味が締まらないんですよ」と鈴木さんは話します。焼き色がついた肉をタレに漬け、そのまま冷蔵庫へ。一晩かけてじっくり味を染み込ませます。
「昼営業しか提供しないから、前日の準備がすべて。朝に慌てて作れるものじゃない」――17年のキャリアで培ったリズムが、ここにも表れています。仕込みを丁寧にやり切ることが、翌日のスムーズな提供につながる。そのシンプルな信念が、鈴木さんの仕事の根幹にあります。
朝イチの作業――低温調理器が静かに働く時間
翌朝、鈴木さんは営業開始の数時間前に厨房へ入ります。タレに漬け込んだ豚肩ロースを低温調理器にセットするのが最初の仕事です。
山道家では、チャーシューを低温調理器でゆっくりと火を通す方法を採用しています。高温で一気に火を入れると肉が締まって固くなりやすいのに対し、低温調理は繊維を壊さずしっとりとした食感を生み出します。
「ラーメンのスープは濃いからこそ、チャーシューはあくまでも柔らかく仕上げたい。噛んだ瞬間にほろっとほどけるくらいがちょうどいい」
設定温度と時間は、試行錯誤を重ねて鈴木さん自身がたどり着いた数字。「食べ歩きが趣味だから、いろんな店のチャーシューを食べて研究しましたよ」と笑います。各地のラーメン店を食べ歩いて得たインプットが、山道家のチャーシューに生かされているわけです。
燻製という仕上げ――山道家らしさを生む一手間
低温調理が終わった後、山道家のチャーシューにはもう一工程が待っています。それがスモーカーを使った燻製仕上げです。
燻製チャーシューをラーメンに使っている家系ラーメン店は、清水区内でもそう多くはありません。鈴木さんがこの工程を取り入れたのは、「居酒屋ならではの調理技術をランチにも活かしたかったから」という理由から。侍ホルモンで培った食材の扱い方が、山道家の個性をつくっています。
燻製によって表面に香ばしいスモーキーな風味が加わり、豚骨と鶏ガラのスープに沈めると、その香りがじんわりとスープにとけ込んでいきます。「チャーシュー単体で食べても美味しいけど、スープと絡んだときに本領発揮するような味にしたい」と鈴木さん。一枚のチャーシューが、スープ全体のおいしさを底上げするように設計されているのです。
✓ ここまでのポイント
- チャーシューの仕込みは前日夜からスタート。漬け込みで一晩かけて味を入れる
- 低温調理器でしっとり柔らかく仕上げ、スモーカーで燻製の香りを加える
- 居酒屋経営17年のノウハウが、昼営業専門ラーメンのチャーシューに生きている
11時の開店――チャーシューが一杯のラーメンになる瞬間
仕込みを終え、11時の開店を迎えると、いよいよチャーシューが「一杯のラーメン」として完成します。豚骨と鶏ガラを合わせた濃厚なスープにもちもちの中太麺が入り、海苔とほうれん草が添えられた上に、仕上げのチャーシューがのる瞬間。鈴木さんが一番好きな場面だと言います。
「前日の夜から準備して、朝に調理して、やっと一杯になる。そのラーメンを食べて『うまい』って言ってくれるのが、一番嬉しいよね」
JR清水駅西口から徒歩約1分という立地もあり、昼休みに立ち寄る会社員や営業途中のビジネスマン、配送や建設関係の仕事をしている方など、さまざまな「働く人」が山道家の暖簾をくぐります。提供スピードを意識しているのも、昼休みが限られているお客様への配慮から。
「提供が早く助かる。しかもちゃんとうまい」
40代・男性(配送業)
「午後も頑張れた。ライス無料もありがたいです」
30代・男性(会社員)
ライス無料というサービスも、体を使う仕事をしている人に「しっかり食べてほしい」という鈴木さんの思いから生まれています。一杯800円のラーメンにライスをつけて、しっかり満腹になって午後の仕事へ向かう――そんなランチのかたちを、山道家は清水の街で提案し続けています。
14時の閉店後――次の日への準備がまたはじまる
14時の営業終了後、鈴木さんはすぐに翌日の仕込みへと頭を切り替えます。使った器具の洗浄を終えたら、次のチャーシュー用の豚肩ロースを確認し、再びタレの準備へ。この繰り返しが、毎日安定したクオリティを生み出す土台になっています。
「夜は侍ホルモンの営業があるから、昼の片付けが終わったら切り替えないといけない。でも、そのぶん昼の時間は山道家のことだけ考えられる。集中できるんですよね」
古着やミリタリーウェアの収集、ドラム演奏、ルアーフィッシングと多趣味な鈴木さんですが、清水港や清水駅周辺を愛するこの街への愛着が、山道家を続ける原動力にもなっています。「清水で飯を食うならここ」と思ってもらえる店を作りたい――その一心で、今日もチャーシューの仕込みがはじまります。
まとめ――一枚のチャーシューに込められた一日
前日夜の漬け込み、翌朝の低温調理、燻製仕上げ、そして11時の開店。山道家の燻製チャーシューは、こうした積み重ねの上に存在しています。「手間をかけているから美味しい」という当たり前のことを、17年のキャリアを持つ店主が毎日丁寧に実践している。それが山道家のラーメンの味わいの根っこです。
清水駅西口から歩いてすぐの場所で、毎週火曜から日曜の11時〜14時だけ開いているこの小さな店に、ぜひ一度足を運んでみてください。チャーシューがスープに沈んでいく一杯を、ぜひご自身の口で確かめてほしいと思います。
メニューの詳細や営業情報は、以下からご確認いただけます。お気軽にのぞいてみてください。
日々の仕込みの様子や、できたてのラーメンのビジュアルはInstagramでも発信しています。ぜひフォローしてチェックしてみてください。

