ランチ営業の採算を見極める5つの数字

ランチ営業・小規模運営

9月に入ると、夏の喧騒が少し落ち着いて、「秋以降の営業をどう組み立てるか」を考え始める経営者が多くなります。夜営業はそれなりに回っている。でも昼間、厨房も席も空いたままで家賃だけが出ていく──その感覚は、一度気になり出すとなかなか頭を離れないものです。

「ランチ営業を始めようか」と考えたとき、多くの方が最初にぶつかるのは「採算が合うかどうか分からない」という壁です。売上の目標は立てられても、何の数字をどう見れば「やっていい」と判断できるのか、基準が分からないまま踏み出せずにいるケースをよく聞きます。

この記事では、ランチ営業の採算を判断するために最初に確認すべき5つの数字を、できるだけ具体的に解説します。「難しい計算をしなくていい」「まず何を数えればいいか」を知ってもらうことが目的です。

こんな方におすすめ

  • ✅ ランチ営業を始めたいが、採算が合うか判断できずにいる方
  • ✅ 夜営業中心で昼間の店舗・厨房が空いている飲食店オーナー
  • ✅ 「何席から・何円で売れば元が取れるか」を具体的に知りたい方
  • ✅ 初期投資を抑えながら新しい利益源を作りたい経営者
  • ✅ 数字に苦手意識があり、採算の考え方を基礎から整理したい方
ランチ営業の採算を見極める5つの数字 | 山道家二毛作モデル

① 固定費の「昼分」をいくらと置くか

採算を考えるとき、まず確認すべきはランチ営業に割り当てる固定費です。

夜営業中心の店がランチを始める場合、家賃・光熱費の基本料金・設備費などはすでに夜営業で負担しています。ランチはその「余白」を使う形になるため、固定費の全額をランチに乗せる必要はありません。

ただし、ゼロでもありません。目安として、月の固定費全体の15〜25%程度をランチ営業の固定費負担として設定すると、現実的な採算ラインが見えやすくなります。たとえば月の固定費が20万円なら、ランチ分として3万〜5万円を負担コストとして置く、という考え方です。

「夜で家賃を払っているからランチは丸ごと利益」と考えると、後から計算が合わなくなります。小さくてもランチ分のコスト枠を設けることが、正しい採算判断の第一歩です。

② 一食あたりの原価率を先に決める

次に確認するのは原価率です。ランチ営業では、夜と違って客単価が低くなることが多いため、原価率の管理がより重要になります。

ランチ一食の売価を決める前に、「この業態では原価率を何%に収めるか」を先に決めてしまうのが実践的です。一般的なランチ業態では30〜35%を目安にすることが多いですが、商品の性格によって変わります。

たとえば、客単価950円で原価率を32%に設定するなら、一食あたりの原価は約304円。この枠に収まる商品設計ができるかを先に確認することで、「あとで計算したら赤字だった」というケースを防げます。

ここで大切なのは、売価から考えるのではなく「原価の枠を先に決めて、商品をそこに合わせる」順序です。この逆をやると、気づかないうちに原価が膨らみます。

なお、ランチ営業の初期費用を抑える方法については別記事で詳しくまとめていますので、あわせて参考にしてください。

③ 損益分岐点の客数を計算する

固定費負担と原価率が決まったら、次は「何人来れば赤字にならないか」を計算します。これが損益分岐点の客数です。

計算式はシンプルです。

損益分岐点の客数 = 固定費負担 ÷(客単価 × 粗利率)

たとえば、固定費負担を月4万円、客単価950円、原価率32%(粗利率68%)で計算すると、

40,000 ÷(950 × 0.68)≒ 62人

つまり月62人の来客があれば、固定費分はまかなえる計算になります。

月の営業日数を20日とすれば、1日あたり約3人。カウンター5席・3時間の営業でも、十分に現実的な数字です。ここに人件費(追加スタッフが必要な場合)を加えた損益分岐点も同じ方法で出せます。

「月に何人来れば黒字か」を数字で持っておくと、営業中の感覚的な判断に頼らなくて済みます。

✓ ここまでのポイント

  • 固定費の昼分を「月の固定費の15〜25%」程度で設定すると、採算判断が現実的になる
  • 売価から逆算するのではなく、原価率の枠を先に決めてから商品設計を行う
  • 損益分岐点の客数を出すことで、「1日何人来ればいいか」が具体的に見える

損益分岐点の客数まで計算できても、「何を売れば原価率がその枠に収まるか」という商品設計の部分で詰まる方が多いです。説明会では、実際の仕入先・レシピ・オペレーションを含めた全体の組み立て方を具体的にお伝えしています。事前の準備は不要で、現状の店舗情報だけお持ちください。

山道家モデルの商品設計・採算の仕組みを説明会で確認する

④ 人件費を「増えるコスト」として計算する

ランチ営業で見落とされやすいのが人件費の増分です。

「店主が一人でやるから人件費はゼロ」という考え方は、短期的には成り立ちますが、採算の判断としては不正確です。店主の時間にも価値があり、長期的に続けるなら「もし人を雇ったらいくらかかるか」を想定コストとして置くことをおすすめします。

一方、既存スタッフがランチにも入れる場合は、追加コストを最小化できます。二人で回せるランチ営業のオペレーション設計でも触れていますが、2名体制で回る仕組みができているかどうかが、採算の安定に大きく影響します。

人件費を含めた損益分岐点を計算しておくと、「スタッフを1人加えたときに何人分の客数が増えれば吸収できるか」という判断も自分でできるようになります。

⑤「月商」ではなく「月の利益額」で評価する

5つ目の数字は、最後に確認する月の利益額です。

ランチ営業の成否を「月商」で測ると、判断を誤ることがあります。月商が30万円あっても、原価・人件費・固定費負担を引いたあとに残る利益が3万円なら、そのために費やしている時間・労力のコストに見合わない可能性があります。

私自身が静岡市清水区で運営している実証店舗では、カウンター5席・営業時間3時間・基本2名という小さな枠組みで運営しています。月商は約25万〜33万円ですが、この数字そのものより大切なことを自分の言葉でこう伝えています。

「数字は営業日数や季節によって変動します。実績の中心的な意味は、5席・3時間という小規模営業でも収益を生み出せることです。」

山道家二毛作モデル 店主・鈴木 諭

月商の数字を追うのではなく、「この規模でいくらの利益が残るか」を最初から目標に置く。これが小規模ランチ営業を長続きさせる採算管理の考え方です。

実際のお客様からは次のような声もいただいています。

「本格的な家系ラーメン。真面目に家系をやっていると思わせる一杯でした。」

ご来店のお客様

商品の質と採算設計が両立してこそ、継続できる営業になります。

5席から始めるランチ営業の具体的なステップも参考にしながら、まず小さな規模で数字の感触をつかむことをおすすめします。

まとめ:5つの数字を「事前に」持っておく

ランチ営業の採算を見極めるために確認すべき5つの数字を整理します。

  • ① 固定費の昼分:月固定費の15〜25%程度をランチ負担として設定
  • ② 原価率:売価より先に原価の枠(目安30〜35%)を決める
  • ③ 損益分岐点の客数:1日何人来れば赤字にならないかを数字で持つ
  • ④ 人件費の増分:追加コストを想定して採算ラインに組み込む
  • ⑤ 月の利益額:月商ではなく「手元に残る額」で成否を判断する

これら5つは、難しい会計知識がなくても、電卓一つで計算できます。「始める前に一度だけ数字を並べてみる」。それだけで、漠然とした不安がかなり具体的な判断材料に変わります。

何か数字の見方について個別に確認したいことがあれば、お電話でも気軽にご相談ください。
📞 054-363-2766(山道家二毛作モデル/侍ホルモン清水駅前店)

「5席・3時間で収益を生み出せる」という実績の中身、つまりどの数字をどう設計したかを、説明会では順を追ってお話しします。自分の店の規模・席数・営業時間に置き換えたシミュレーションも、その場で一緒に確認できます。

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