少し前のことになりますが、常連のお客様から「また来ます」とひと言いただいたことがありました。
その方は建設現場で働いている40代の男性で、週に3〜4回、昼休みの限られた時間に来てくださっています。ある日、食べ終わって立ち上がりながら、ぼそっと「ここで食べると午後も気合い入るんだよな」と言って、そのまま店を出ていかれました。
その言葉が、今でも頭の中に残っています。ラーメンを作ってよかった、と素直に思えた瞬間でした。
今回は、山道家を立ち上げた経緯と、創業から変わらずに持ち続けている想いをお話しさせてください。
こんな方におすすめ
- ✅ 昼食後に午後のエネルギーが続かないと感じている方
- ✅ 山道家がどんな想いで作られた店か気になっている方
- ✅ 清水駅周辺で「通える」昼ご飯の場所を探している方
- ✅ 家系ラーメンに興味はあるけれど、まだ足を踏み入れたことがない方
- ✅ 働く人の昼ご飯にこだわりたいと思っている方

居酒屋17年目の気づき——「昼に何もしていない」
私が「侍ホルモン清水駅前店」を始めたのは2009年のことです。以来17年以上、夜の飲食を軸に店を続けてきました。
夜の営業には自信がありました。ホルモンを焼く煙と笑い声が混ざる空間、お酒の進む会話、常連さんとの積み重ねてきた関係——それが私にとっての飲食店でした。
でもあるとき、ふとした疑問が頭をよぎったんです。
「昼間、この厨房は何もしていない。」
設備はある。道具もある。仕込みの時間だってある。それなのに、昼の11時から14時の間、清水駅前のこの場所はただ静かに時間が過ぎていた。もったいない、というよりも、「昼にここで何かできることがあるはずだ」という感覚が強くなっていきました。
同時に、もう一つのことも気になっていました。近くで働いている人たちが、昼休みに何を食べているのか。コンビニの袋を持って歩く姿、急ぎ足で立ち食いそばをすすっている姿——清水駅前には、短い昼休みにしっかり食べられる場所が、思ったより少ないと感じていました。
この二つの気づきが重なったとき、方向性が見えた気がしました。「昼にラーメンを出そう。しかも、働く人が本当に満足できるものを。」それが山道家の出発点です。
山道家がどんな想いで作られた店かは、言葉だけでなく実際の様子を見てもらうのが一番伝わります。Instagramでは、日々の一杯やカウンターの雰囲気など、記事では書ききれない日常を発信しています。フォローするだけでも、来店前のイメージが具体的になります。
「軽く食べればいい」じゃない——午後に元気が出ない理由
山道家を始める前、自分自身の昼食を振り返ってみたことがあります。仕込みの合間につまむおにぎり、冷めた弁当、手早く済ませるためだけの食事。それで午後に集中力が続いたかというと、正直そうでもなかった。
現場仕事や営業職で体を使っている方ならなおさらです。午後2時ごろに急に眠くなる、体が重くなる——こういった声をお客様からよく聞きます。原因のひとつは、昼食の「量と質」にあると思っています。
「軽く食べれば眠くならない」と思って、少なめの食事で昼を済ませると、午後の途中でガス欠になる。かといって何でもいいからたくさん食べればいいかというと、それも違う。大切なのは、食べた後に「満足した」と思えるかどうかだと私は考えています。
満足感というのは不思議なもので、胃の中に何が入ったかだけでなく、「ちゃんと昼ご飯を食べた」という実感からも来るものです。スープを飲んで、麺をすすって、ライスと一緒に食べて——そのひとつひとつの動作が、午後の気持ちを切り替えるスイッチになる。そう信じているから、山道家のスープとライスにはこだわりを持っています。
豚骨と鶏ガラを合わせたスープは、濃厚でありながら飲み疲れないバランスを意識して仕上げています。食べ終わった後に「重かった」と感じてほしくない。でも、「物足りなかった」とも思ってほしくない。その絶妙な着地点を毎日探しながら、スープを炊いています。
短い昼休みでも満腹になれるランチについて詳しく書いた記事もありますので、合わせて読んでみてください。
✓ ここまでのポイント
- 山道家は、居酒屋の昼の遊休時間と「清水駅周辺で働く人の昼食問題」という二つの気づきから生まれた。
- 午後に元気が出ない原因は「軽すぎる昼食」にある場合が多く、満足感のある一食が午後のパフォーマンスを変える。
- 豚骨と鶏ガラのスープは、濃すぎず・物足りなくないバランスを毎日意識して仕込んでいる。
「また来ます」と言ってもらえる店にするための毎朝の積み重ね——その話を読んで、実際にどんな場所か確かめてみたくなった方もいるかもしれません。営業時間や場所など、来店前に知っておきたい情報は店舗ページにまとめています。昼休みのルートを考えるときに役立てください。
「また来ます」——その一言が教えてくれたこと
先ほど冒頭でご紹介した、「また来ます」という言葉。短い言葉ですが、これほど店主の心に刺さる言葉もないと思っています。
山道家を始めたばかりのころ、正直なところ、反応がどうなるか不安でした。居酒屋の昼に家系ラーメンを出す——そのアイデアが清水の人たちに受け入れられるかどうか、誰にも保証はなかったから。
でも少しずつ、顔なじみができていきました。「今日も来たよ」と言って席につく方、無言でもいつもと同じカウンターの端に座る方、食べ終わって「ごちそうさま」とだけ言って出ていく方。そのひとりひとりの積み重ねが、山道家という店をつくってきたと感じています。
「また来ます」
40代・男性(建設業)
この言葉をいただくたびに、「今日も変わらない一杯を出せた」という確認になります。特別なことをしたわけじゃない。いつも通りのスープを、いつも通りの火加減で、いつも通りの麺と一緒に出しただけ。でもそれが「また来たい」につながるなら、それでいい。創業から続けてきたことへの、静かな手応えを感じます。
食べ歩きが好きで、いろんな店のラーメンを食べてきた私が思うのは、「また行きたい」と思わせる店には、派手さより一貫性がある、ということです。毎回同じ味、毎回同じ対応、毎回同じ空気感——それが積み重なって「信頼」になる。山道家でもそれを目指し続けています。
ラーメン一杯で笑顔になる瞬間についての記事にも、その感覚に近いことを書いています。
変わらないために、毎朝変え続けること
「創業から変わらない」という言葉を使いながら、実は毎朝、細かいことをあれこれ確認しています。昨日のスープと今日のスープの色は同じか、麺の茹で加減は適切か、チャーシューの状態はどうか。
低温調理で仕上げた豚肩ロースのチャーシューは、スモーカーで燻製にすることで、香りに少しの奥行きを持たせています。これはメニューには書いていませんが、食べた方が「なんか他と違う」と感じる部分のひとつです。そういう「言葉にならないこだわり」を毎日続けることが、「また来ます」につながっていると思っています。
ライスを無料にしているのも、意図があります。「ラーメンだけじゃちょっと足りないかも」と感じる方に、気兼ねなくもう一歩満足してほしい。ライスをスープに浸して食べる、あの食べ方が好きな方には特に喜んでいただいています。初めて家系ラーメンを食べるときのおすすめの食べ方も以前まとめていますので、参考にしてみてください。
昼営業の時間は11時から14時と短いですが、その3時間に集中することで、一杯一杯の質を保てている側面もあります。夜の居酒屋経営で培ってきた仕込みの技術と、昼に特化した提供スピードの工夫——この二つが山道家の骨格になっています。
これからも、清水駅前の「昼の場所」であり続けたい
JR清水駅西口から歩いて1分という立地は、本当にありがたいと思っています。昼休みが30分しかない方でも、往復の時間を考えながら来てもらえる。営業の途中に立ち寄れる。そういう使い方をしてもらえる場所に、山道家はあります。
清水港の近くで働く方、清水駅前の会社に勤める方、配送の途中に少し時間が空いた方——そういう「働いている人」の昼に、山道家がいつもそこにある存在でいたい。それが、創業から変わっていない一番大きな想いです。
派手な宣伝はしていません。特別なキャンペーンもありません。でも、「また来ます」と言ってくれる方が少しずつ増えていることが、続けていく理由になっています。
今日の昼も、いつも通りのスープを炊いて、皆さまのお越しをお待ちしています。
創業から変わらない「働く人の午後を支えたい」という想いは、清水駅前のカウンター5席で毎日続いています。火曜から日曜の11時〜14時、駅西口から歩いて1分の場所で、今日も一杯を用意しています。まず場所と時間を確かめてから、昼休みに足を運んでみてください。

