実は一杯のラーメンより大切にしていることがあります

11月に入って、清水の朝晩がぐっと冷え込むようになりました。駅前を歩くお客様の服装も、少しずつ厚手になってきていますね。こういう季節になると、昼の仕込み中にスープの湯気がよりありがたく感じられます。温かいものを作っている、という実感みたいなものが、冬の厨房には確かにあります。

今日は少し、普段はなかなか表に出さない話をしようと思います。「横浜家系ラーメン 山道家」として昼営業を始めて3年。毎日スープを炊いて、麺を茹でて、チャーシューを仕込んで。そうやって一杯を作り続けるうちに、「自分がいちばん大切にしているのは、ラーメンそのものじゃないかもしれない」と気づくようになりました。

誤解しないでください(笑)。スープのことも麺のことも、真剣に向き合っています。でも、それ以上に自分の中で軸になっているものが、実はあるんです。今日はその話を、少しだけ。

こんな方におすすめ

  • ✅ 山道家がどんな思いで昼営業をしているか知りたい方
  • ✅ 清水駅周辺でランチのお気に入りを探している方
  • ✅ 「なぜここのラーメンは毎日食べても飽きないのか」が気になる方
  • ✅ 働く人を応援する店づくりに共感してくれる方
  • ✅ 家系ラーメンに興味はあるけど入りにくいと感じていた方
実は一杯のラーメンより大切にしていることがあります | 横浜家系ラーメン 山道家

「昼も稼ぐ」ではなく「昼だからこそできる」という発想

私は2009年に「侍ホルモン清水駅前店」を開いて、今年でちょうど17年目になります。居酒屋として地元の皆さんに支えていただいてきた中で、あるとき真剣に考えたんです。「昼間、この厨房と設備は何もしていない」と。

飲食店の固定費って、昼夜関係なく毎日かかります。家賃も光熱費も、人件費も。「だったら昼も活用すればいい」という計算は当然ありました。でも正直に言うと、最初から「儲けたいから昼もやろう」という気持ちだけだったら、山道家は続いていなかったと思います。

昼営業を始めて一番よかったのは、「夜とはまったく違うお客様と向き合える」ということでした。昼に来てくれるのは、昼休みが短い会社員の方、現場仕事の途中に寄ってくれる方、営業まわりの合間に立ち寄ってくれる方。みんな、仕事の真っ最中なんです。

そういう方々が「また来ます」と言って席を立っていく瞬間、「あ、自分はこれをやりたかったんだ」と思えるんですよね。儲けるための昼営業じゃなくて、働く人の昼ご飯を支える場所を作りたかった。それが今、山道家の軸になっています。

スープのこだわりより、「提供の早さ」にこだわる理由

家系ラーメンをやっていると、「スープどうやって作ってるんですか?」とよく聞かれます。豚骨と鶏ガラを合わせた濃厚なスープ、燻製仕上げのチャーシュー……そういうこだわりについて話し出すと止まらなくなるくらい、作る側は真剣です。

でも山道家のお客様の多くは、昼休みが50分か1時間しかない。往復の移動を含めると、実際に食事に使える時間は30分もないこともある。そういう現実を知ってから、自分の中での優先順位が変わりました。

「どんなにスープが完璧でも、出てくるのが遅かったら意味がない」

これは極端な言い方ですが、昼営業においては本当にそうだと感じています。だから仕込みの段階から、提供スピードを意識した工程を組んでいます。注文が入ってからお客様の前に一杯が届くまでの時間を、毎日自分の中でチェックしています。

お客様に「提供が早くて助かった」と言ってもらえるのは、料理の評価と同じくらい、いや正直なところそれ以上に嬉しい言葉です。昼休みという限られた時間の中で、少しでもゆっくり食べてもらいたい。それが提供スピードへのこだわりの本音です。

✓ ここまでのポイント

  • 山道家の昼営業は「稼ぐため」ではなく「働く人の昼ご飯を支える場所を作りたい」という思いから始まった
  • スープや食材へのこだわりと同時に、提供スピードを最重要項目に置いているのは、お客様の昼休みという時間を守りたいから

「一人でも気軽に入れる」を、あえて意識してデザインした

家系ラーメン、ちょっと入りにくいイメージ、ありませんか?常連さんだらけで、店主が怖そうで、注文の仕方にルールがありそうで……(笑)。私自身、食べ歩きが趣味でいろんな店に行くので、その「入りにくい感じ」は体感としてよくわかります。

山道家はカウンター5席だけの小さな店です。この規模だからこそ、一人で来ても居心地よくいられる空間にしたかった。メニューもシンプルにしました。あれこれ迷わせるより、「ラーメンと、トッピング好きなものを」という流れで注文できる。初めての方でも、迷わず座れて、迷わず注文できて、ゆっくり食べて出ていける。

50歳になった今でも、古着やミリタリーウェアを探しに街を歩いたり、ギターやドラムをいじったり、清水港近くで釣りをしたりしています。仕事一辺倒じゃない自分だから、「お客様にとっての昼の1時間」の価値がわかる気がしています。その時間を気持ちよく過ごしてほしい、という気持ちが、空間づくりにも出ているといいなと思っています。

「思ったより食べやすくて、一人でも全然入りやすかったです。ライス無料なのも嬉しいし、また来ます。」

30代・男性(会社員)

「駅からすぐで、出てくるのも早い。午後も頑張れた気がします。」

40代・男性(営業職)

ライス無料は「サービス」じゃなくて「意思表示」です

よく「なんでライス無料なんですか?」と聞かれます。正直に言うと、コスト的にはプラスにはならない。でも、やめようと思ったことは一度もないんです。

体を使って働く人が、昼に一杯のラーメンだけで足りるか?午後にもう一踏ん張りできるくらい、しっかり腹に入れてほしい。そう思ったらライスを無料にするのは当然の話でした。「満足してもらいたい」という意思表示として、ライス無料は山道家のやり方の一つです。

家系ラーメンにライスを合わせるのは、王道の食べ方でもあります。スープをライスに絡めて食べると、それだけで幸せな気持ちになれる。そういう食べ方を、気軽に楽しんでほしい。950円という客単価の中で、どれだけ満足感を届けられるか。それを毎日考えながら店に立っています。

まとめ:一杯の向こうにいる人を、ちゃんと見ていたい

「実は一杯のラーメンより大切にしていることがある」というタイトルで書き始めましたが、伝えたかったのはこういうことです。

スープの味、麺の茹で加減、チャーシューの仕込み。そういうことを手を抜くつもりはまったくないし、今日も明日も真剣にやっていきます。ただ、それよりも自分の中で大事にしているのは、「その一杯を食べる人の時間と、その人の午後を、ちゃんと意識して作っているか」ということです。

清水駅西口から歩いて1分の小さなカウンター席。昼だけしか開いていない、席が5つしかない店。それでも、ここで食べた一杯が誰かの「午後も頑張れた」につながっているなら、この昼営業を続けてきた意味があると思っています。

まだ来たことがない方も、ぜひ一度のぞいてみてください。難しいルールも、常連ならではの空気もありません。火〜日曜の11時から14時まで、清水駅前でお待ちしています。

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