夜の営業を終えて翌朝、何もない静かな店内を眺めながら「このまま昼も閉めておくのはもったいないな」と感じたことはありませんか?
家賃は1日24時間分かかっています。厨房の設備も、カウンター席も、夜だけ使って昼間はただそこにある。その「何も生み出していない時間」に目を向けたとき、初めて二毛作経営の入口が見えてきます。
私は静岡市清水区で夜営業の焼肉・ホルモン店を運営しながら、昼の空き時間を使って家系ラーメン「山道家」を始めました。5席・3時間・基本2名という小規模から始め、現在も実証店舗として営業を続けています。この記事では、既存店への別業態導入を検討している飲食店の経営者に向けて、実際にやってきた手順を6つのステップに整理してお伝えします。
こんな方におすすめ
- ✅ 夜営業中心で昼間の厨房・客席が空いたままになっている方
- ✅ 固定費(家賃・光熱費)を昼の時間帯でも回収したいと考えている方
- ✅ 新規出店の資金はないが、売上の柱を増やしたい方
- ✅ ラーメン導入を考えているが、どこから手をつければよいか分からない方
- ✅ FCの加盟金やロイヤリティを負担に感じている方

なぜ「昼の空き時間」が問題になるのか
夜営業を主体とする飲食店の多くは、午後5時から深夜にかけての数時間だけ稼働しています。それ自体は悪いことではありませんが、家賃・光熱費・設備リースといった固定費は営業時間に関係なく毎月発生します。
つまり、1日のうちランチタイムの3〜4時間が「費用だけかかって売上ゼロ」の時間帯になっているわけです。この構造に気づいたとき、「昼に何かできないか」という発想は自然と生まれます。ただ、問題はその「何か」を決めるまでの手順が分からないことです。
ラーメンはその答えになりうる業態の一つです。回転率が高く、客単価が安定していて、少人数での提供が可能。夜の仕込みと時間帯が重なりにくいという特性も、既存店との相性がよい理由の一つです。
ステップ1:自店の「使える資産」を棚卸しする
まず最初にやるべきことは、今ある店舗の資産を正確に把握することです。「新しく作るのではなく、今ある店舗を活かす」というのが基本的な考え方なので、出発点は手持ちの資産の確認です。
チェックするのは主に3点です。
- 席数:カウンター席が何席あるか。テーブル席しかない場合も問題ありませんが、ラーメン業態は一般的にカウンター席との相性が良好です。
- 厨房設備:コンロ・シンク・冷蔵設備の位置と使い勝手。夜の仕込みに使う棚や冷蔵庫と昼に使う設備を混在させないための整理も必要です。
- 昼間に使えるスタッフの頭数:夜のスタッフが昼も入れるか、または新たに1名確保できるかを事前に確認しておきます。
私の実証店舗では夜に使っていないカウンター5席を昼専用に割り当てました。席数は少ないですが、5席でも月間250〜350名のお客様にお越しいただけています。小さいことを恐れず、まず「使える資産」を明確にすることが先決です。
ステップ2:業態を決める——ラーメンを選ぶ理由を言語化する
次に、なぜラーメンなのかを自分の言葉で整理しておく必要があります。これは気持ちの問題ではなく、仕入れ・オペレーション・集客の設計に直結する実務的な判断です。
ラーメンを選ぶ主な理由は以下のとおりです。
- 客単価が900〜1,200円程度で安定しやすく、昼の短時間営業でも売上が読みやすい
- 提供までの時間が短く、少人数でも回転率を確保できる
- メニュー数を絞りやすく、仕込みの負担を最小化しやすい
- 家系・醤油・塩など、ジャンルを絞ることで商品設計がシンプルになる
なかでも家系ラーメンを選んだのは、スープ・タレ・鶏油・麺・チャーシューという構成要素が明確で、それぞれを個別に調整できるからです。長時間豚骨やガラを炊き続ける方式でなくても、各要素のバランスを丁寧に設計することで、お客様から「本格的な家系ラーメン」という評価をいただけています。完成した一杯の満足度がすべてだという考え方です。
業態を決める段階では、「自分が好きなもの」と「オペレーション上で実現できるもの」の両方から検討することをおすすめします。
✓ ここまでのポイント
- 固定費は昼夜問わず発生している。昼の空き時間はコストであり、同時に収益化のチャンスでもある。
- 新しく物件を借りるのではなく、今ある席数・設備・スタッフを最大限に使うことが出発点。
- ラーメン業態は短時間・少人数・小規模から始められる点で、既存店との相性がよい。
スープの炊き方よりも「一杯全体のバランス設計」が大事だと分かっても、タレ・鶏油・麺・チャーシューをどう組み合わせて調整すればよいかは、文章を読むだけでは実感しにくい部分です。説明会では、実証店舗で実際に改善を重ねてきたレシピ設計とオペレーションの考え方を具体的にお伝えしています。
ステップ3:商品設計——スープ単体でなく「一杯全体」を設計する
多くの経営者がラーメン導入を考えたときに最初につまずくのが、スープの問題です。「長時間炊けないから無理」と感じて止まってしまうケースをよく聞きます。
しかし、一杯のラーメンを構成するのはスープだけではありません。タレ・鶏油・麺・チャーシュー・提供方法、それぞれが一杯の完成度に影響します。スープを炊くことに固執するより、これらの要素全体を丁寧に設計する方が、結果として満足度の高い一杯に近づきやすい。
実際、私の店でも業務用スープを活用しながら、タレの配合・鶏油の量・麺の種類・チャーシューの製法を何度も調整してきました。改善を重ねた結果として、お客様から「真面目に家系をやっていると思わせる一杯」「間違いなく正統派の家系ラーメン」という言葉をいただいています。
「本格的な家系ラーメン」
実証店舗ご来店のお客様
この評価は、店炊きかどうかではなく、一杯の完成度を追いかけた結果です。商品設計の段階では「何をどう炊くか」より「どんな一杯を出すか」から逆算して考えることが重要です。
参考として、焼肉店にラーメンを導入するときの商品設計の考え方もあわせてご覧ください。業態が違っても、商品設計の基本的な発想は共通しています。
ステップ4:オペレーション設計——夜の仕込みに影響させない動線を作る
商品が決まったら、次は実際の動線を設計します。ここで重要なのは「昼の営業が夜の仕込みを邪魔しない」という原則です。
具体的に整理すべき点は以下です。
- 仕込み時間の分離:ラーメン用の仕込みは昼営業の開始前(例:10時〜11時)に完了させる。夜の仕込みが始まる前(例:14時以降)には片付けが終わっている状態にする。
- 食材・調理道具の棚分け:昼用と夜用の食材・道具を冷蔵庫・棚で明確に分けておく。混在すると確認ミスや廃棄ロスの原因になります。
- 提供フローの簡略化:注文から提供まで何分かかるかを事前に確認し、2名で回せる上限客数を把握しておく。
私の実証店舗では11:00〜14:00の3時間営業を基本2名で運営しています。この時間設定は「夜の仕込みに絶対に入り込まない」という条件から逆算して決めたものです。オペレーション設計は現場で試してみないと分からないことも多いので、最初は席数を絞って試験運用することをおすすめしています。
夜営業から昼ラーメン営業を始めるまでの具体的な流れでは、実際の導入スケジュールについてより詳しく解説しています。
ステップ5:集客の準備——開業前から「存在を知らせる」
オペレーションが整ったら、開業前から集客の準備を始めます。「始めてから告知する」では出だしが遅くなります。
夜の常連客は昼のラーメンにとって最初のお客様になりやすいです。夜の営業中に「来月から昼もラーメンをやります」と口頭で伝えるだけでも、開業初日の来客数は変わります。Googleビジネスプロフィールの営業時間・業種を更新することも、ローカル検索からの流入を増やすために早めにやっておくべき作業です。
メニュー表・卓上POP・外からのぼり旗など、「ここでラーメンが食べられる」と通行人に伝えるものを最低限用意しておきましょう。看板商品を一つ決めて、その一品を軸に告知するとメッセージが伝わりやすくなります。
ステップ6:試験営業と改善——小さく始めて修正する
最後のステップは、試験営業を通じた改善です。最初から完璧な状態で始めようとすると、準備期間が長くなり開業が遠のきます。小さく始めて改善する、という姿勢が二毛作営業を軌道に乗せるうえで最も大切なことだと感じています。
試験営業中に確認すべきチェックポイントは以下です。
- 2名のスタッフで提供が滞らないか(ピーク時の動きを確認)
- 仕込み量の過不足(廃棄が出すぎていないか、売り切れが早すぎないか)
- お客様からの反応(味・量・価格への感想)
- 夜の仕込みへの影響がないか(片付け時間が予定どおりか)
改善の積み重ねが、後の口コミや再来店率に直結します。「良いか悪いかを最終的に判断するのはお客様」というのが私の基本的なスタンスです。試験営業中の感想は、できるだけ直接お客様に聞くか、反応を観察して記録しておきましょう。
軌道に乗せるまでの具体的な管理方法については、二毛作ラーメン営業を安定させるためのステップ管理が参考になります。
まとめ:「昼の3時間」が固定費を回収する時間に変わる
6つのステップを振り返ると、既存店へのラーメン業態導入は「新しいビジネスを作る」というより「今ある店舗の稼働時間を伸ばす」という発想が核心にあります。
新しく物件を借りる必要はありません。大人数のスタッフを採用する必要もありません。まず自店の資産を棚卸しし、商品・オペレーション・集客を順番に整えていく。5席・3時間という小規模でも、月間250〜350名のお客様にお越しいただける実績は、その可能性を示しています。
「ラーメンを始めることが目的ではなく、利益を生み出すことが目的です」というのは、この取り組みを始めてから一貫して変わっていない考え方です。昼間の空き時間が費用だけを生んでいるなら、その時間を少しずつ収益に変えていく選択肢は、確かに存在します。
個別の状況についてご相談がある場合は、お電話でもお気軽にどうぞ。
054-363-2766(山道家二毛作モデル/静岡市清水区)
6つのステップを読んで「自分の店でどこから手をつけるべきか」が気になっている状態なら、それが導入を検討する具体的な入口です。山道家モデルの説明会・詳細ページでは、オリジナルプランとブランドプランの違いや、仕入先紹介・開業研修の内容まで確認できます。


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